FC2ブログ

これは新しいタイプ……か?

語る間もないまま、先の日曜日には『特命戦隊ゴーバスターズ』が最終回を迎え、新番組『ドキドキ!プリキュア』は早くも第2話でした。
今回のプリキュアの主人公・相田(あいだ)マナ生徒会長です。過去シリーズでもメンバー中に生徒会長がいたことはままありましたが(『ハートキャッチ~』の明堂院いつきとか。前作『スマイル~』の青木れいかも途中で生徒会長になっていたはず)、第一に変身する主人公が生徒会長というのは珍しいかも知れません。しかも、先生からも頼りにされています。
まあ、会長の割には雑用係のように自ら駆け回っていますが、しかしこういうアクティヴなキャラはスポーツ少女であることが多かったのを考えると、やはり見慣れないタイプのような気がします。

もっとも、何でも自力で解決しようと奔走しすぎなのは別の意味で危うさを感じさせますし、それは友達の菱川六花ひしかわ りっか、次回彼女もプリキュアに変身予定)にも心配されていましたが、「今回の主人公は頼りになるタイプ」という印象は間違いではなかったようで、第1話で初めてプリキュアに変身したところで引きとなったのが、第2話ではあっさり敵を倒してしまいました。
第1話がこの引きとなった場合、第2話の前半は不慣れなこともあって力を使いこなせず一時敗退、後半でようやくヒーローとして様になって勝利、ということも多く――当初一人だった『ハートキャッチ~』も、第1話で二人同時に変身した『スイート~』も――、だから変身当初の主人公は頼りないイメージがあったのかも知れませんが、今作はだいぶ印象が違います。
それでいて第2話で次が変身するかと言うとそうではなく、六花の変身は第3話予定です。

それからこの『ドキドキ!~』の特徴として、冒頭で異世界の戦士・キュアソードが自らの世界を「守れなかった……」と立ち尽くすところから始まっており、それゆえ相田マナが変身するキュアハートは作中登場する二人目のプリキュアです。
似たパターンは『ハートキャッチ~』でもありましたが、『ハートキャッチ~』の場合冒頭で登場したキュアムーンライトは戦いに敗れて力を失っており、プリキュアとして復帰するのは後半で、事実上四人目のメンバーでした。『ドキドキ!~』のキュアソードはきっちり現役で、彼女の戦いを目にしてマナも変身することになります。
今のところソードの変身前の姿は不明ですが…

他にプリキュアになる予定のメンバーは、上記のマナの親友・六花と、マナと幼馴染である大金持ちのお嬢様・四葉ありす(ちなみに、今回はトランプの柄がモチーフなので、プリキュアが終始四人なのはほぼ確定でしょう)。
これを観て期待する気になっているところから逆に思うのですが、前作『スマイル~』では5人もいて全員が同じクラスというのがどこか物足りなかったのかも知れません。
彼女たちは最初から友達というわけではなく、新たなクラスメートとしての出会いと親交を深める過程はありましたが、5人相互の距離感にそれほど大きな差がない印象があったのかと…いやまあ、いいんですが。
今作の場合、ありすはマナの幼馴染だけれど今は別の学校らしく、キュアソードは今のところかなり冷淡な態度と、関係の距離感にもバリエーションが見込めそうです。

現時点で登場している敵幹部は――最近の2作に比べると――割とシリアス寄りな印象。
敵のモンスターは人間のエゴイスティックな心を抜き取って生み出す「ジコチュー」……最初に登場したのがハートに足の生えたカニだったこともあって、ポケモン図鑑に載っていても違和感がありません。

そうそう、プリキュアの正体を秘密にしなければならない理由として、「正体を明かせばその人を戦いに巻き込むことになる」という比較的もっともらしい説明を妖精がしていました。
もっとも、問題は「戦いに巻き込む」ということの意味であって、プリキュアシリーズでは通常、敵はプリキュアの正体を知っており、プリキュア周辺が襲撃を受けることが多いのを考えると、正体を明かせばどう状況が変わるのかは微妙な問題かも知れませんが……
しかし、その上で悩んだ末に「親友に隠し事なんかできない」と自ら六花に正体を明かす主人公、というのも前代未聞ではないかと。と言っても、敵襲を前にして六花の目の前で変身するという形だったということを考えると、「やむを得ず」とも言えるかも知れませんが。いずれにせよ、次回で六花もプリキュアとなれば結果オーライなんですけどね。

それから、今作のマスコット妖精たちはどういうわけか、プリキュアが変身する時には携帯電話のような形になります。いつの間に変形しているのかはよく分かりません。
ヒーローの変身アイテムが携帯電話なのはこの10年で珍しくなくなりましたが、プリキュアでは――というか少女向けでは――多くはないでしょうか。
しかし妖精の顔が付いていて喋ります。

そう言えば、『魔法少女育成計画』にはハート型の端末は画面が見づらいという現実的な指摘をするネタがありましたっけ…

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

「魔法少女」のその後

唐突ですが、「魔法少女」というからには、「少女」でなければならないのでしょうか。
だとすると大人になったら、どうなるのでしょうか。

結論から言えば、それは作品により様々です。大人になったら実際に引退せねばならないという設定もあり、魔法少女になれるのは「少女」の内だがその後は生きている限り続けられるという設定もあり、「魔法少女」は単なる通称で特に年齢制限はないという場合もあり、ラディカルなケースとして変身後の外見が少女なだけで中身は何者でもいいというのまであり(『魔法少女育成計画』)……

魔法少女をメタ的に主題化した『魔法少女地獄』もこの主題に少しだけ触れられていましたが――「魔法少女」をやめさせるには外見年齢を加齢させればいいとか、後数年で引退しなければいけないという述懐とか――、あまり掘り下げられている様子はありませんでした。まあこの作品は多くの点に関して同様なのですが…

この主題をメタ的にもラディカルな、と言っていい水準で追求したの作例ということならば、メタ作品ではなく『ハートキャッチプリキュア!』を挙げたいところです。
何しろ『ハートキャッチ』においては、主人公・花咲つぼみ(キュアブロッサム)の祖母・薫子もかつてキュアフワラーとして砂漠の使徒と戦った人物です。現在は一戦を退いてはいるものの、1回だけキュアフラワーとして復活します(変身後は往年の若い姿に)。さらに、中学生という枠を破り初の高校生プリキュア・キュアムーンライトも登場するなど、年齢枠を大幅に広げた作品でしたが、一番重要なポイントは別にあります。

最終話、戦いを終えた後のエピローグで来海えりか(キュアマリン)は「無限プリキュアにまでなっちゃって、あたしの人生この後何が残ってるの~?」と言い、「えりかはいつまでも引き摺って…」と妖精に叱られていたりするのです。
これは「ヒーローのその後」を鋭く衝いた台詞であろうと思います。
『ハートキャッチ』のメンバーは皆実にいい味のキャラクター揃いでしたけれど、一番人気はキュアマリンではないかと予想しています。それはやはり、こういうコメディタッチで非常にラディカルな名台詞を言うからです。

まあ人気のことはさておいて、「少女」の年齢でヒーローとして栄光を極めてしまっても、その後の人生においていつまでも過去の栄光に引き摺られていてはいけない、これは若くして成功してしまった人間につきまとう問題でしょう。
そして、「今の自分から変わる」という少女の成長物語に相応しいテーマから始まった『ハートキャッチ』(第1話放送当時の記事「新番組」参照)は、このテーマをきちんと貫き通したのでした。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

最大の仕事とは……

当今しばしば「決められない政治」と聞く一方で、頼んでもいないことばかり「決まって」いる気がするのは気のせいでしょうか。

たとえば、消費税増税が決まりました。
まあ、中には増税を期待する向きもあるのかも知れませんし、大っぴらに反対運動が起きていないところからしても多くは潜在的賛成と見なせる、少なくとも政府はそう判断したのかも知れません。
しかし、これが公約違反なのは間違いなく、手続きから言えば選挙で政治に「頼んだ覚えがない」ことは確かです。
ちなみに、今の我が家の近隣では時々、日本共産党が消費税増税反対を訴えています。共産党の主張にしては小さい気もしますが…

他にも、野田首相になってからTPP参加推進とか……

民主党政権になったのはもう遠い昔のような気がして首相も3人目。震災で「解散・総選挙をしている場合ではない」という雰囲気になったのも影響していますが…

結局、実はある一部の人々にとって都合のいいことは容易に「決まって」いるのか、それともそうした「一部の人々」すらいないで場当たり的なのか、そしてそのどちらが良いのやら……

 ~~~

アニメ『這いよれ!ニャル子さん』第12話(最終話)観ました。
基本的なキャラ像等に関する先立っての印象は基本的には変わりませんでしたが、シナリオは敵のしょうもない目的による陰謀というくだらないオチがついて、思ったよりは原作に近いテイストでした。
さすがに最終話ということでか、久々に派手な戦闘シーンもありましたし。
まあ、描かれる技のバリエーションが少なく、大味に消化された印象はどうしてもありますけれど…
ちなみに、大量に出てきた敵の中には原作7巻に登場したミ=ゴの姿も(↓背景のクリーチャー達)。

ユゴス・アタック扉絵
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん7』、ソフトバンククリエイティブ、2011、p.175)

こういうのも、サービスと考えるか、いささか乱暴に使い捨てられたと考えるかで印象が変わってきますけれど。

ネタとしては八坂頼子の「さあ、あなた達の罪を数えなさい!」も本当にやりましたし…
さらにニャル子の「私の強さにあなたが泣いた」――第1話の「いきがるだけの強さじゃ私には勝てませんよ」に引き続き『仮面ライダー電王』のキンタロスの台詞ですが、これは当のキンタロスの声優であるてらそままさき氏がナレーターで出演しているからでしょうか…?

色々ありましたけれど、それなりには楽しませていただきました。
キャラ像やシナリオに関する改変も、独自のポリシーに基づくものと見るならば後は見解の相違だけです(アリメオリジナルのシリアス寄りなエピソードにしても、原作にもシリアスな部分はないわけではないのであって、問題はそれがもつ意味です)。
演出やら小ネタやらに関しては原作に対する深い理解に基づく(と推測される)いいものもありましたし。
レーベルが弱小なためになかなかアニメ化に恵まれなかったという事情もありますからね。
ただ、「アニメの役割は原作の販促」と割り切ってしまうなら、最大の仕事は放送前のPV動画の時点で終わっていたことになりかねないので、言えることは言わせていただきましたが。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

そう見せたいと言うのなら……

ライトノベル新刊など色々ある中でワンテンポ遅れた話ですが――

アニメ『這いよれ!ニャル子さん』第11話はオリジナルエピソードでした。
が、その内容云々よりも、原作に対応する箇所にあった一場面から取り上げた方が、ある特徴を浮き彫りにしてくれるのではないかと思われます。
たこ焼き屋台を営業しているルーヒー・ジストーンに関する場面です。

「ありがと、おばちゃん」
「……それとね、私の事はお姉さんって呼ぶといいと思うわ」
 少女にしか聞こえないように、ルーヒーはこっそりと指摘した。先ほどからずっと気になっていたキーワードをそのままやり過ごせるほど、自分はまだ歳月を重ねていない。若さを誇りに思ってすらいる。先輩の女として、それを少女に教えてあげなければ。
「うんっ。わかったよ! おねーちゃんのおばちゃん!」
 駄目だ、こりゃ。
 苦笑して、ルーヒーは少女の頭を優しく撫でてあげた。ふと保護者に視線を向けると、あちらさんは申し訳なさそうにぺこりと頭を下げる。種族は違えど同じ女として、おばさん扱いされる悲哀を分かってくれているらしい。
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん8』、ソフトバンククリエイティブ、2011、p.49)


対してアニメでは、アニメオリジナルキャラのグタタン(迷子の邪神の少女)におばさん呼ばわりされたルーヒーは露骨に表情を固くし、自分が行った方向を誤魔化しておいてほしいという真尋の頼みを無視します。
「苦笑して」見送る原作と比べると、(最近始めたばかりとは言え)子供客も多いであろう商売をやっている身として、“大人気ない”印象なのは間違いありません。

この辺がその他のキャラの行動にも、そしてストーリーにも影響してきます。
原作の真尋なら朝ごはんはちゃんと作りますし、邪神三人の暴走はねじ伏せて黙らせ、

ニャル子さん5巻
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん5』、ソフトバンククリエイティブ、2010、p.35)

そして邪神たちも普段はバカばかりやっていたり、仕事のことを忘れたような顔をしてツッコまれたりしていますが、ここというところ(まあ主にドンパチ限定ですが)ではきちんと決めます。

 居候トリオの言葉を聞いて、真尋は胸が熱くなるのを感じた。無化h氏はどうだか知らないが、今のニャルラトホテプとクトゥグアは何だかんだで喧嘩するほど仲がよいように見える。そして、二人の共通のよき友人であるハスター。協調性ならば子供の頃の比ではないだろう。しかも、地球圏では最強のその三人が、今はそれぞれ本気の姿になっているのだ。
 (同書、p.280)


いざというところでこれだからこそ熱いということを作者はよく心得ています。
とりわけハス太はつねに味方のフォローに回ります。

「ああもう、騒ぐな! 向こうに聞こえちゃうだろ!」
「あ、それはだいじょぶだよ、まひろくん。キッチンの入り口に真空つくっておいたから。空気がなければ、音もつたわらないよっ」
 便利すぎる特技だ。安定感抜群のサポート要員のハスターだ。この気配りを宇宙人全体に求めたいのだが、きっとそれは無理な願いなのだろう。
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん6』、ソフトバンククリエイティブ、2010、p.136)


 コクピットのキャノピーが開いていく。
 宇宙服も着ないで真空の宇宙とご対面。確か生身で宇宙空間に出ると血液が一瞬にして沸騰したり宇宙船で即死したりと、その手のやばい話ばかり聞いている。何をどうしていいか分からず、両手をばたばた振ろうとすると、横からハスターに優しくなだめられた。
「だいじょぶだよまひろくん、空気の壁はちゃんとはってるから」
「お、おま、お前ら、先に言えぇぇぇ……!」
 (『這いよれ!ニャル子さん8』、p.199)


他方でアニメ第11話の場合、発情したり朝ごはんを求めたりで暴走する邪神を相手に真尋は鎮圧するより逃げ出し、挙げ句に邪神たちは真尋とグタタンを敵(はぐれショゴス)との戦いの余波に巻き込んで、真尋は怒りを爆発させます。
はしゃぎすぎて真尋に怪我をさせたりする場面は、第3話においてすでに見られました。

全員に関して言えるのは、責任の意識の違いです。

ところで、本作の料理描写はなかなか念入りです。

 冷蔵庫を開ける。ここ最近この中を選挙していた青魚の姿も、ようやく見えなくなった。両親が出立前に買いだめしたアジもそろそろ鮮度が心許なくなったので、昨晩は油で揚げて蒲焼きのタレに漬けて食べたのだ。
 初めて作った料理だったけれど、なかなかうまくできた。宇宙人共にも大好評で、クトゥグアなどは無表情でご飯を三杯もおかわりしていた。その様子を「居候のくせに図々しい」とニャルラトホテプが力強く罵倒していたが、奴も同じくらい大飯食らっていた事を真尋は絶対に忘れない。
 中途半端な時間なので、朝は簡単に済ませて昼にしっかり食べよう。そう思って真尋は、冷蔵庫から卵とベーコンを、野菜室からはレタスを取り出した。卵は鶏卵である事をしっかり確認する。またいつだかのようにシャンタッ君の卵でも紛れ込んだら洒落にならない。
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん3』、ソフトバンククリエイティブ、2009、p.21)


料理の時間と次の食事との兼ね合いまでしっかり計算している真尋はまことに主夫的な感覚の持ち主です。
そうして見れば、邪神たちの暴走を制して仕事をしているかどうかツッコむのも、家政を管理し、家人が仕事をしているかどうか見張る感覚に近いのではないでしょうか(なぜ自分が宇宙から来た公務員の仕事まで監視しなければならないのか、真尋は不満でしょうが)。
これはやはり、自分の立場に相応の責任を果たそうという意識です。

一見関係ないようですが、実はこれと関連してくるのが年齢ネタです。

「しかしまあ、それは冗談としても授業は受けた方がよいのでは。私も特待生とはいえ大学受験を経験した身で言わせていただきますと、高校二年生の単元ってのは意外に出ますよ」
「……前々から気になってたんだけどさ」
「はい?」
「お前、いくつなの?」
 真尋が問いかけると、ばっ、とニャルラトホテプはものすごい勢いで明後日の方向を向いた。その態度たるや、胡散臭さを通り越してむしろ清々しささえ感じさせる。
「昨日、幻夢境で話してたよな。高校卒業して大学卒業して惑星保護機構に就職したって」
 真尋がさらに突っつくと、ニャルラトホテプはこちらに一切目を合わせずに口笛を吹き始めた。どこかで聞いたことがある極だと思ったら、口笛と荒野のRPGのメインテーマだった。
「宇宙の時間の流れなんて分からないけど、地球に換算したらお前ってもしかしてにじゅ」
「アーアーきこえなーい!」
 真尋の言葉を遮るように、ニャルラトホテプは両耳を塞いで声を張り上げた。ここまで過剰に反応するという事は、ひょっとしたらひょっとするのかもしれない。
 (同書、pp.95-96)


少なくともいい年した大人、勤続期間次第ではもしかするとアラサー(=アラウンド・サーティー、27~33歳)以上、揃ってオタク、職場で嫌われている疑惑があったり(ニャル子)最近までニートだったり(クー子)……と考えると急に哀愁すら漂ってきます。
もちろん、そこまで行くとかなり穿った読みですが。

対してアニメにこのネタはなく、ニャル子の兄のニャル夫が大学浪人して受験勉強している回想シーンはありましたが、そこでニャル子自身の学歴は触れられていませんでした。
どうもアニメは、ニャル子を本当にティーンエイジャーのように思わせたいようです。

「いい大人」ではなく責任意識も未熟な若者たちが、その未熟さゆえに衝突して繰り広げるのがラブコメだ――そのような信念に基づいてこのような改変が行われているのなら、――個人的には必ずしも全面的に同意はしないにせよ――自分なりの筋を通した作品を作ろうとする姿勢は一定の評価をするに吝かではありません。


ただ、それとは別にどうも肯定しがたいのは、コンテンツを使い潰そうとする姿勢です。
たとえば、第11話ラストでニャル子達が消えるのは、原作9巻と重なる展開です。ただ、『涼宮ハルヒの消失』と違って、そこで「ニャル子達を取り戻すかどうか迷わない」ことにこそ特徴を見いだした私の解釈とはやはり正反対になりそうですが。
もちろん、アニメに続き(フラッシュアニメから数えて第4期)があるかないかと言えば、ない可能性の方が高いわけですが、メンバーを揃えることばかり急いで今ひとつスポットが当たらず活躍しないキャラと言い、息の長く使えそうな部分を乱暴に使い潰す傾向が見えるのは遺憾なことです。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

何が活かされているか

さて、アニメ『這いよれ!ニャル子さん』も10話まで消化となりました。
あまり原作からの違和感やら不満やらばかり言うことになっても……と思いちょっと感想を控えていましたが……

第9・10話は原作3巻――「イースの偉大なる種族」編です。
イースの偉大なる種族のイス香の手違いになより、真尋とニャル子の精神が入れ替わってしまう話です。

……どっちが喋っているのやらかなり混乱しそうになりましたが、これ、声優は変えていない、つまりニャル子の身体に真尋の精神の方はニャル子の声の阿澄佳奈、真尋の身体にニャル子の精神の方は真尋の声の喜多村英梨……ですよね。
お互いのキャラを見事演じきっていましたね。本当に印象が変わるもので……これは成功ではないかと。

例によって細部は省略しつつ、大筋は原作通りでこの話も2話で完結。
そして残り2話はどうやらアニメオリジナルエピソードをやって終わりのようです。
やはりハス太・ルーヒーの登場編(原作4巻、アニメ第4~6話)にだけ3話使ったのが目立ちます。そしてそのため、今回のエピソードでは原作よりメンバーが多くて(原作ではハス太加入前)、戦わせる余地もありそうにも関わらず、戦闘シーンの盛り上がりがないのも気にはなりますが……

ついでに言えば、ニャル子と真尋の声優の演技には感嘆した分、ルーヒーには違和感が残ります。

「服装のたるみはSAN値のたるみ。私が教壇に立つからには、たるみは絶対に許さないわ」
 クールビューティーという言葉が似合うルーヒーにそう言われると、クラスメイト達は弾かれたように己を省みて、服装を正した。どうでもいいが一般市民の前でSAN値とか言うな。
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん8』、ソフトバンククリエイティブ、2011、p.100)


「何をぐずぐずしているの」
 見かねたのかルーヒーがすぐ側までやってきた。スーツを着た美人に切れ長の瞳で見下ろされると、中身は案外駄目邪神なのだと分かっている真尋でも気後れするものがある。
 (同書、p.102)


アニメの第7話以降ではこの「クールビューティー」な印象は希薄で、「可愛い系」の感が強いですね。声だけの問題ではなく、台詞を見ても、当初はぶっきらぼうな中で気が付けばハス太とフラグが立っていた原作と違って、すでに「優しいお姉さん」になっている印象が……

それと、本来ならイースの偉大なる種族は未来から精神のみを飛ばしてこの時代の人間と精神を入れ替えていて、だからこそ間違ってニャル子と真尋の精神を入れ替えてしまったりしたのですが、アニメでは帰り際に「記憶は消しておきますョ」と言って、しかも珠緒に記憶が残っていたりと、何だか単に憑依していたような扱い……
しかもその後でぬいぐるみの姿でまた来ていますし(原作でも9巻ではフィギュアのような姿で再登場しましたが、これはヨグソトスの能力によるものなので…)。それが出来るなら精神交換云々は何だったのか。
とは言え、そうした少々妙な点を押してでもイス香と珠緒の関係を描いたのは良かったかも知れません。原作でも珠緒のことを気遣い続けているイス香はなかなか印象的ですが、その辺を描いた7巻の短編などは(たとえアニメの続きがあろうと)アニメ化されそうにありませんでしたからねぇ。


ちなみに、アニメでのイス香のぬいぐるみ形態は「球根のような姿」という原典準拠の記述に準じていますが、原作9巻で再登場した時はと言うと……

イス香(フィギュア)
 (『這いよれ!ニャル子さん9』、2012、p.89)

何だこの萌え化したドラえもんのようなもの(髪型はちょっとまどか風ですが)。

作者はあまりキャラの外見のことは考えていないようで、たとえばいつぞや引用したクー子の容姿にしても、結局はっきり指示されているのはほぼ「赤い髪のツインテール」と「無表情」のみですしたが、今回もはっきりした描写は二頭身の少女フィギュア(つまりはねんどろいど風)という点のみ。
ここでこういうネタにしてくるイラストの仕事っぷりも見事ですね。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
03 | 2020/04 | 05
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告