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先生にまつわるややこしい話

森田恒之先生が我々の入学と同時に客員教授に就任して、今年で2年目です。(フルネームで呼ぶのは、森田義之――大変よく似た名前なのは偶然だそうです――先生と区別するためです)
この方は博物館学芸員として文化財の保存修復に携わっており、絵画技法史を専門としてベルギーに留学経験あり、という方です。作品度は特別講義で絵画の見方を話しておられましたが、かなり美術史家の言うこと――通例画集や美術史の本に書かれているような――とはかなり違った視点なのは明らかで、ご本人も「こういうことはいくら画集を見たって書いてない。作品を見ないと分からない」と強調しておられました。『画材の博物誌』等の著作は画家の安野光雅氏も感銘を受けたそうです。
常勤の先生方に聞いた話では「日本の文化財学の第一人者」「保存修復の技術を備え語学にも堪能、歴史的知識も自然学的知識も備えた希有な方」とのことです。

こういう話をしているのは別に先生の人格紹介がしたいのではなくて、本専攻の教育事情に触れるためです。
 ※以下の話に事実に関して誤解を招く表現が含まれていた場合、責任は私に帰属します。

今年、この森田(恒)先生の授業は1年生向けのガイダンス授業に組み込まれた「文化財学の学び方」と、後期の「文化財学特講」がありまして、いずれも芸術学の学生は全学年が受けるように、と(これは常勤の先生方による)通達がある程の力の入りようです。
この辺の事情は先生方と話していると少し察せられるのですが、「(上記のような)希有な方なので後継者がいない」という言葉を聞きましたから、そういう期待もあるのだと思います。まあ後継者というとおな「同じようにならなければならない」といいう誤解を招きそうな気もするので、「これ程の方の知をできる限り受け継いで貰いたい」とでも言った方が良さそうですが。
ただこれだけなら、ずっと現場――博物館――で働いておられたため一箇所で教えられたことはない、という理由が大きいようで、「教えを受けた人」はたくさんいるそうです。しかし問題は他にもあって、芸大出身者に自然科学に通じた人は少ないし、保存“科学”の方の専門家はあまり現場には関わらない…という次第で、こういう方はなかなか出て来ない、という事情もあるようです。

現場を考えても問題は山積みで、、(もう学内では2回くらいつべこべ言ったんですが――こういううるさい奴ってどこにでもいますよね)本学を見ても自然科学教育が充実していないことは明らかです。ここの教養教育の問題点についてここでは繰り返しませんけれども、森田(恒)先生にしてから自然科学についてはほとんど独学だそうですから、本質的な事情は半世紀前からそれ程変わっていないものと思わざるを得ません。
つまり、芸大で科学教育が充実していなくても、芸大生が「科学は苦手だから、避けて通って」も、誰も疑問に思わないということです。
しかし、本当にそうか、ということは強調しておきたいことです。美術を研究するのに材料の性質に関する科学的知識は必要ないか、学芸員として働く時に保存状態のデータの取り方を知っている必要はないか、と。
人によって進路も様々ですし何が役に立つかは分かりませんから、こういうことが必ず必要だとは言いませんが、重要性があまり認識されていないとすると、好ましいことではない気がします。

ただし、「それでも私はそんなことはできないし、やらない」という人をどうにかする方法を私は知りませんが(これは何事につけそうです)、もし勉強したいと言うのであれば、方法は色々見付かるということも言っておきたいと思います。その辺は、また後程。
                           (芸術学2年 T.Y.)

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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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