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「アートは分からない」

スペイン旅行の話の追加から始めます。

プラド美術館を見た後、これまた別の女の子が「(ガイドさんの)説明がなかったらもっと分からなかった」と言っていました。「もっと」と言うことは、あっても必ずしもよくは分かっていないという感想だったのでしょう。
まあ、ただでさえ普通の日本人に馴染みのあるとは言えないキリスト教主題の絵画が多い上、ガイドさんの話もこんなテクニックが使われているとか、結構細かいものがありましたから、当然かと思います。
しかし一方で、普段絵を見て「分からない」と意識しているか、どうか。

「古典的な芸術(いわゆる「写実的」作品)は分かるけれど、現代アートは分からない」という人が結構いて、現代アート系の研究者や批評家、アートを扱う商売の人もそういう人を意識して、「現代アートは難しくない、こんなに面白い」とよく主張しています(「現代アート入門」といった本を探せば、たくさん見つかります)。それは良いのですが、一方でそれより遙かに多くの「そもそも“アート”なんか分からない」という人がいるではないか、と思ったのです。こればっかりは、芸大にいると見えにくいことのような気がしますけれど。
もっともそういう「アートなんか分からない人」はアートの関する本を読んだり、アーオ関係の仕事をしている人と(少なくともアートについては)話したりしないでしょうから、「アートは面白い」と説こうとしても無理でしょうけど。
それに皆が1つのことに興味を持つというのもおぞましい話で、大半の人は「アートになんか縁がない」のは普通のことだとも思います。(あまりに誰からも興味を持たれないジャンルは将来先細りでしょうけど。客員教授の北川フラム先生が講演で、「この1年間で“絵を描いたことのある人”もほとんどいない。今の世の中でアートは必要とされているか」と厳しく言っていたことが強く印象に残っています)

けれど、多くの「興味のない人」は積極的に避けているのではなくて、あまり考えたこともないというのが実態でしょうから、何かのきっかけで気にかかることもあるでしょう。そしてそういう意味でプラド美術館のような名作の殿堂は、確かに効果があるんだな、と思った訳です。
そしてそういう時に、一歩でもその分野に先んじている人がその「知りたい」意志に答えられなければ、学んでいることなんて空しいのではないか、と思います。
                           (芸術学2年 T.Y.)
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テーマ : 芸大・美大・その他美術系学校 - ジャンル : 学校・教育

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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