オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
トランスジェンダー論

このシーンは、女装趣味の彼氏なんて「へんな彼氏」という話から続くもので、「ゆくゆくは結婚したら」と話を飛躍させている訳ですが、あえて無茶を承知で言うと、これはあり得るかも知れないな、と。
つまり家には「その家固有のルール」というものがあって、外では決して通らないことが行われていたりするのです(そして当の家の住人はおかしいと思わないのです)。もちろん「夫が女装する家」は極めて稀だと思いますが、それに劣らぬ奇習は十分あり得るのではないかと。
そして、そんな家庭を持つ気になれるかどうかは大問題ですが、受け入れてしまえば、家の中でやってる分には大きな問題は発生しないでしょう、多分。
そう考えると、「男が女装すること」自体は、場面によっては必ずしも重大問題ではない、とも考えられます。歌舞伎の女形(おやま)というものもありますし。
それはそういう職業だからであって、趣味でやったら変に思われる――という説明もあり得ますが、なぜその職業では良いのか、という疑問は残ります。職に貴賎はないと言ったところで、世間の目が厳しい職業というのもあるでしょうに。
この『放浪息子』という漫画でも、主人公・修一の「女装が似合う」ことは誰もが認めていて、性倒錯した演劇(男役を女が、女役を男が演じる)も何度も繰り返し行われます。しかし修一が女装して学校に行ってしまうと事態は一転します。
どうも本当に問題になっているのは、学校という「公的な場」でジェンダーに然るべき格好をして来ない、ということのように思われます。
して見ると、学校で男女別の制服が決まっていることは実に象徴的ですね。
(ただこの理屈は、「女子が男子の服装を着て来てもそれ程問題にならないのに、逆は厳しい」という事実を説明するものではありません)
(芸術学2年T.Y.)
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