オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
本当に得をするのは誰か
芸人・河本準一が年収5000万円ありながらその母親が生活保護を受給していた、ということが話題になっていますが、結局、何が問題になっているのでしょうか。
ざっとニュースを漁っただけだから分からないのだと言えばそうなのでしょうが、それにしてもよく分かりません。
たとえば河本氏が年収を全て使ってしまって、母親に仕送りする金がなかったとします。
まず年収5000万円の何割かの税金をすでに払っていることでしょう。残った金も使うということは誰かの収入になるということであり、(全て海外からの個人輸入で使ったのでない限り)彼らがまた一部を税金として払います。その中からわずかに200万円だけがお母さんのところに生活保護として行く――これなら金の流れに「不正」なところは何もないはずです。
もちろんこの場合、「最低収入と言わず、もうちょっとお母さんに仕送りしてやれよ」という親孝行の問題で非難するなら話は分かります。しかしどうやら、問題は孝行ではないようです。
そもそも河本氏が全収入を使ったかと言えば、おそらくそうではないでしょう。
しかし、彼の「セレブ生活」が同時に報道されている、ということは、多額を使っていたことは間違いないでしょう。
問題が孝行でないとすれば、やはり“国庫の金”を“不正に持っていった”ということでしょうか。
ですが、そもそも扶養は義務ではありません。「常識」として収入幾らからならば親を扶養するべきなのかも問題です。
「不正」と言い立てるのは正当なのでしょうか。
その上、上記のように、むしろ親に仕送りをするより金を使っていた方が、国庫に金を納めるのに貢献していた、という考え方も成り立ちます。
文字通りの「不正」が存在していたとすれば、河本氏が母親に仕送りをしつつ、母親がそれを隠して生活保護を受給していた場合でしょう。この場合、本来ならば役所は保護を打ち切るべきだったのが、調査が及ばなかったということになります。
しかし、どうやらそういうわけではなさそうです。
そして仮に、「不正受給」があったとして、全国で全受給額の0.4%とも言われる生活保護の不正受給対策にどれだけ血道を挙げるべきかというのはまた別問題ですし(いくらコストをかけるつもりでしょうか?)、ましてや必要としている人の分の保護まで「見直す」等というのは何の関係もありません。
ところがこの機に(?)自民党は「生活保護制度の見直し」とまで言い出している模様。
察するに、敵を作って攻撃するというのは一番手っ取り早い人気取りの手法なのですが、今では外国を仮想敵とするやり方は使いにくいので、「不正に金をせしめている奴がいる」と言い立てて「仮想敵」にしているのではないでしょうか。
しかし、この発想は民主党の事業仕分けと同じです。
一万円単位の事業を仕分けるのに、仕分け会議の出席者にいくらの手当てが支払われたのか?
「どんな対価を払ってでも、コスト削減を達成します!!」
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