オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
いよいよ解決編へ……
しかし、入学試験の結果待ちでそこまで緊張した覚えもないのですが。
まあ入試は今や、事前に結果を判定しやすいというのもありますし、それにだいたいいつ合格発表が行われるか分かっているというのもあります。いつ通知が来るか分からないものを待っているのは、結構精神的に負担なのです。
(しかも学会誌に投稿した論文の査読結果は合否いずれにせよ通知が来るからいい方で、世の中には話が完全にスルーされるということもあり得ますし……)
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さて、また少し遅くなりましたが、今月も『マガジンSPECIAL』発売、『絡新婦の理』コミカライズ第17話掲載です。
内容的には当然原作第9章、つまり美由紀編(聖ベルナール女学院)の締めに入ります。
実行犯が捕まったものの、まだ決定的証拠は挙がっていないから警察には引き渡せないとか(保身のため)あれこれ言って警察と揉めている学院関係者たち。
そんな中、渦中の美由紀は自分の犯人指摘が正しかったのか、今更悩んだりするのですが……
そこえすぱっと断言し、「前向きに生きなさい」と言ってくるのが、榎木津です。
原作だと、善人ではあるけれど今一つ言葉に実感のない柴田(前理事長)とは正反対だとか書かれていて、真剣味がないように見えて不思議と頼れるし、勇気付けられる榎木津への美由紀の信頼感がよく伝わりました。
その辺は漫画版でもよく感じられます。
そして、「うるさい奴」こと京極堂が来ることを告げる榎木津。
「探偵のお仲間ですか?」と美由紀が訊くと……

(京極夏彦/志水アキ「絡新婦の理」『マガジンSPECIAL』2016年No. 10、講談社、p. 268)


(同誌、p. 269)
「あれはどちらかというと死神だな…悪魔かな?」
「この世界はなるようになるようにできている なるようにならないようにする為にはあの男が必要だ」
今回の作品においては、真犯人「蜘蛛」の仕組んだ仕掛けにより事件が進展していくことは京極堂と言えど止められないのですが、しかしこの言葉はある意味で当を得ています。
起こる出来事は起こる。ただ言葉を操る陰陽師は、意味を変えることができるのです。
そんな中、この期に及んで両方への同情から、犯罪を指摘する側(美由紀)と指摘される側とで「意見のすりあわせ」はできないか、等と言いだす柴田前理事長。
学院内から売春・殺人者を出し、その犯行が確定すれば学院経営を続けることは難しいという状況ですが、ここで「最善を尽くそう」と言うのも、往生際が悪いだけにしか見えません。

(同誌、p. 271)
そしてそんな学院に、目潰し魔の捜査に木場修が訪れます。

(同誌、p. 278)
原作だとここで、美由紀が木場のことを「この人が探偵の呼んだ悪魔?」と思うものの、榎木津の反応からすぐに違うと気付いたり、はたまた30何年の付き合いらしいが罵りあってばかりの榎木津と木場の関係(まさに男の友情)を理解できなかったりする場面があり、それはそれで好きな場面だったのですが、漫画版では誌面の都合でカット。
まあ、ストーリーへの影響は少ない部分なので、仕方ないところでしょうか。
そんな中、学院内に勾留中の容疑者が新たな騒ぎを起こすのですが、その緊迫感の中、ついに京極堂が登場。

(同誌、p. 285)
とは言え、京極堂の仕事はたんに事件を解決することではなく、「呪い」を解いて、犯人たちが自らのやったことを受け入れられるようにすることです。
それがただちに「救い」になるとは限りませんが、しかし救いの可能性はおそらくそこにしかないのです。
かくして、次回から京極堂の憑き物落としが始まります。

(同誌、p. 296)
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来月には単行本3巻も発売予定で楽しみ……と思っていると、なんと『マガジンSPECIAL』休刊の報が。
『コミック怪』に続き、なぜ掲載誌の休刊が付きまとうのか……
2017年1月20日の号で最後ということは、あと4号でしょうか。
本作に関しては一応、原作第9章と第10章を2話、第11章を1話で片付ければ休刊号で完結できる計算ですが……あまりそのしわ寄せが出ないことを祈ります。
そして、百鬼夜行シリーズ残り作品のコミカライズはあるのでしょうか……何とか、また別の掲載誌を見つけてやって欲しいところですが。少なくとも飛ばした『鉄鼠』を……
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