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未来への絆――『仮面ライダーフォーゼ』最終回

本日で『仮面ライダーフォーゼ』最終回となりました。
前回で歌星賢吾がコアスイッチから地球人を模して生まれたコアチャイルドであったことが判明し、そして一気に我望に消されたりと慌しい展開満載である一方、テーマ的には今までの『フォーゼ』らしい安定した締めであったとも言えます。
戦闘シーンも、今までその強さを見せ付けられてきた相手に対し工夫をこらしたり新戦力を投入したりするのではなく、ストーリーの勢いと精神論で乗り切った印象でしたし。熱かったのでは確かですが。

ひとまずポイントを絞るとすると、

・季節外れながら締めは王道で卒業式ネタ
・我望光明の絶望

でしょうか。

まず前回明らかになった過去話から。「宇宙最高の知性体」であるプレゼンターは宇宙中にコアスイッチをバラ撒き、それを解析して自らの下に辿り着く知的生命を待っていました。
我望と歌星博士は月面でコアスイッチを発見しましたが、やがてプレゼンターの下に行く方法を巡って対立。

・歌星博士のフォーゼシステムは進化に時間がかかり、彼らの世代中にプレゼンターのところに行くのは困難。
・我望のゾディアーツスイッチで人間の急激な進化を促せばもっと短い時間で出発できるが、代償は大きく、プレゼンターの下に行けるのはおそらく一人だけ。

結局この対立から、我望は歌星博士を始末させました。
そして現在、仮面ライダー部の月面基地であるラビットハッチを襲撃した我望は言います「ラビットハッチ……私の人間に対する絶望の象徴として破壊したと思っていたが、残っていたとは…忌々しいことだ」
前回は賢吾が我望に消されて引きとなりましたが、今回冒頭、仮面ライダー部は賢吾の遺した手紙の「もし俺が我望に消滅させられていたとしても、彼を憎まず、その憎しみを受けとめてやってくれ」という言葉に従うことを決めます。

そして、最後の戦いの舞台は天ノ川高校の体育館。そこで仮面ライダー部は「我望理事長からの卒業式」を行います。
これが1~2月に終わる番組ならば、学園ドラマの最終回に卒業式は定番ですが。今のライダーシリーズは9月開始なので、先輩達が途中で卒業したりして、最終回は夏休み明けの始業式となりました。しかし、彼らは(卒業した隼と美羽も制服を着て)自主卒業式を行います。
「天高を作ってくれてありがとう」と我望に感謝しつつ、「俺たちは学園を自分の手に取り戻します」と宣言して。

実際、仮面ライダーの活躍する場にして彼らが青春を謳歌する場であった天ノ川高校は、本当は我望がゾディアーツを進化させるために作った箱庭だったのであって、仮面ライダーでさえ、進化を促す刺激としては容認されているという状況でした。ですから、前々回に弦太郎は「俺たちの青春は何だったんだ!」と悲痛な叫びを上げています。
我望に感謝しつつ、その支配を脱して自分で青春を摑み取るという宣言は、この点にちゃんとけじめを付けたと言って良いでしょう。

そして勝利するフォーゼ。「お前たちは何者だ…」と驚愕する我望に、弦太郎は「言っただろう、俺はこの学園の全員と友達になる男だ!」といつもの宣言、そして我望とも「友達」になります。

もっとも、これだけのことをやった上、最後で自らの正体を全校に明かしたのですからもう仕方がないと言うべきか、我望は急激すぎた進化の代償として消滅します。
ただ、彼は最後に仮面ライダー部に自分が「果たせなかった夢」を託します。「プレゼンターに会いに行ってくれ」と。


さて、作中で明言はされなかった我望の絶望とは何だったのでしょうか。
それは、自分がプレゼンターの下に行こうと思えば、多くの他者を犠牲にして一人で行くしかなく、その過程で友をも切り捨てねばならなかったということ――そうまでしなければプレゼンターへの道が遠いという人間の無力に対する絶望だったのではないでしょうか。
彼も必死でした。少年時代にプレゼンターからの「声」を聞いた我望はその時の「約束」を果たして自分がプレゼンターの下に行かねばならないと思っていたからです。
だからこそ、仮面ライダー部は皆で、自分たちが我望の手中に収まっている存在ではないことを見せ付けます。あなたはもう孤高の存在ではないし、その必要もない――と。

『仮面ライダーキバ』においては「父と子の物語」として描かれた「未来の世代に受け継ぐこと」という題材が、ここでは「友情」という形で描かれています。
友情とは未来との、自分の手中に収まる範囲を超える可能性との関係です。
親の世代である我望がラスボスで、それと最後に「友達になる」物語にすることでそれを描いたのは、やはり見事な締めだったと言いたいですね。

これからの仮面ライダー部の目標は宇宙に行ってプレゼンターを目指すことになりました。「宇宙人とも友達になってやるぜ!」と弦太郎。
前回コアチャイルドとして覚醒した賢吾も弦太郎に「君という非常識な存在にはプレゼンターも興味を持つだろう」と言っていました。
実際、宇宙中にスイッチをバラ撒いて他の知的生命からのアクセスを待つような存在が、他者との関係に興味を持たないはずはないと思えます。


それから、この最終エピソードは先の劇場版とは好対照をなしていたという点についても一言。
映画では衛星兵器XVIIと友達になりながら、XVIIを踏みにじられた弦太郎が「頭にきた――っ」と珍しく敵への怒りを見せ、宇宙鉄人を撃破するために戦います。そしてそのために、我望ですら絆の力を貸すのです。
他方でTVシリーズ最終回ではその我望が友情を否定する敵として立ちはだかり、それでも弦太郎は相手を受けとめて友達になります。
しかしこの両者ともまぎれもなく『フォーゼ』であるという不思議。

最後に、(案の定と言うべきか)賢吾は蘇りました。
我望が最期にアクエリアス・ゾディアーツの癒しの力でコアスイッチを再生したようですが、コアスイッチの力は失われているようで。これもアクエリアスの癒しの力という設定がちゃんと布石として生きている辺りが丁寧なところでしょう。
それから、新番組『仮面ライダーウィザード』の主人公らしき妙な指輪の男も通りすがりに出演。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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