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売り物にならない労働の話

京大吉田キャンパスは、外にも色々な看板が並んでいますが(反原発もあります)、キャンパス内にも――だいぶボロボロになっているものの――こんな訴えの看板がまだ残っています。
春には講義棟内にもありましたが……

立て看板

文学研究科は、前整理掛長のパワハラを認め、直ちに(……)を復職させよ


これと同一の件かどうかは確認していませんが(しかし、他の看板の文言を思い起こすにおそらくは当該でしょう)、京大文学部図書館の時間雇用職員に対するパワハラ及び契約打ち切りの件は以下の本に比較的詳しく述べられていました。

ルポ 賃金差別 (ちくま新書)ルポ 賃金差別 (ちくま新書)
(2012/04/04)
竹信 三恵子

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元職員の井上さんらが学内の一画を占拠して「くびくびカフェ」を開店したというのは結構有名な騒動だったようで。

この件は裁判も時間雇用職員側敗訴となっています。短時間労働は夫に扶養される妻などが行う「家計補助的労働」であるがゆえに解雇権濫用法理は適用されないとのこと。

 仕事を「家計補助」とそうでないものに線引きし、家計補助には労働権は認められないとする。その「家計補助」的労働の定義は、「独立して食べられないような働き方」とされている。このため、雇う側が、独立して食べられないような働き方を設定すれば、その枠に入れられた働き手は労働権の外に置かれてしまうことになる。
 独立して食べられない働き手が、三人に一人以上に増え、働き手に選択の余地がない社会になっていることが、この判決文ではほとんど視野に入っていない。
 また、この論法では、家庭責任を果たす役割に置かれて長時間働けない人や、人間らしい暮らしを求めて労働時間を短縮したい人は、解雇や大きな賃金格差があってもしかたないということにもなる。短時間労働を選んだだけで、なぜ、仕事の中身にかかわりなくこれほどの低賃金を強いられ、簡単にクビになってしまうのかという問いに、この判決文は答えていない。
 (竹信三恵子『ルポ 賃金差別』、筑摩書房、2012、pp.36-37)


どんな会社でも経営者は必ず社員のことを考えているはずで、「利潤を第一に考え労働者を搾取する資本家」等というのはマルクス主義の考案した虚構である、と思われてきましたが、どうやらそれこそが捏造された神話だったようです。
まあ、電気の使用量が一定ラインを超えると夕方にはエアコンが止まることがあるような貧乏大学ですからねぇ。


そもそも、仕事の内容ではなく、働き手がどれだけの収入を得るべくして働いているか(独立して食べていくつもりなのか家計補助か)ということで給料が決まるのなら、金持ちこそ一番安い労働力になるはずでしょうか。

だから私などはいつもタダ働きなのです。

――半分は冗談ですが、そもそも忙しくアルバイトをしている苦学生ならばそうそうタダ働きを引き受けられるはずがないことに注意されたし。

employment(雇用)とは給料を貰って働くことであり、ボランティアはそこに含まれないとすれば、極限においてニート(NEET = Not in Education, Employment or Training の略)と勤勉さは一致するわけです。
日本型ニートの定義も34歳までで、私も博士課程まで修了すればそれくらいの歳になるので、もうニートを名乗れる日は来ない可能性もありますが、そのような次第で私が本性によりニートであることは、私に物を頼んだことの人間ならばご存知かと思います。

※ そう言えば、登場人物が大部分ニートで、「生き様」としてのニートを描いたライトノベルがありました。

神様のメモ帳 (電撃文庫)神様のメモ帳 (電撃文庫)
(2007/01/06)
杉井 光

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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