獣耳へのこだわり

今では成績の開示もWeb上で行われている…はずなのですが、現在の京大文学部ではさしあたって2日間、昼間しか見られなとか。
セキュリティ保護のため、とありますが……成績に用があるのは他人です。他人が成績を見て「(卒業を含め)こいつをどう扱うか」判断するわけです。
本人も見られる時が極端に制限されるほどに隠してどうするつもりでしょうか。

 ~~~

ところで、『おおかみこどもの雨と雪』について、「おおかみこども」が「猫耳を出す」と形容されていた人を見ましたが……
「狼」が「猫耳」……
日本語の使い方に疑問はないか、と思ってしまいました。

電子ゲーム機を何でも「ファミコン」と言うおばさんと同じようなものかも知れませんが。

それと関係があるようなないようなで思い出した漫画がありました。
竹本泉氏の『よみきりものの…』収録短編「みみだったりみみだったり」です。

よみきりものの…たちこめるバラのかおり (BEAM COMIX)よみきりものの…たちこめるバラのかおり (BEAM COMIX)
(2009/06/25)
竹本 泉

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風邪をひいた、といって帽子を被ってきたクラスの少女・王神葉知子(おうかみ はちこ)

王神1
 (竹本泉『よみきりものの… たちこめるバラのかおり』、エンターブレイン、2009、p.134)

が、その帽子に何となく妙な様子を見て取ってみると……

王神2
 (同書、p.135)

ここでちゃんと「猫耳?」という問いに「失礼ね オーカミよオーカミ」という応答があります(同書、p.136)。
実は魔法使いやら狼憑きやらの存在する世界観で、皆「知らなかった」と言うのみ、特別な問題にはなりません。

王神5
 (同書、p.150)

『おおかみこども』でも変身の仕方は多様な段階がありました。

そう言えば「正太郎とアンジェリケ」シリーズ(『よみきりもの』8巻等に収録)で少年魔法使いの正太郎が客の応対に当たって初老の男に変身する設定も『ハウルの動く城』に先んじていましたし、竹本氏の描くイメージは侮れません(ちなみに、『ハウル』の原作小説『魔法使いハウルと火の悪魔』にこの設定はありません)。

さて、「みみだったりみみだったり」に戻ると、この話のある意味で凄いのは、これと言って事件も起こらない話の中で、狼の耳の動物的な描写を実に丁寧にやっていることです。

王神3
 (『よみきりものの… たちこめるバラのかおり』、p.146)

耳の中を強引に拭かれて耳を閉じたり。

王神4
 (同書、p.149)

実際、動物の耳は大抵敏感なので、触ろうとすると避けます。さすが猫を飼っている作者。
今や「獣耳」は萌えのカテゴリーとして広く認知されていますが、こういう丁寧な描写は存外に貴重です。
他方で、コスプレのアクセサリであるはずの猫耳が「ぴこぴこ動く」というテクノロジーを描写しているライトノベルは複数ありましたが、耳を伏せることまではおそらく出来ますまい。

そしてもう一つ、人間の耳から変身したものである以上、獣耳になれば人間の耳はなくなっているはず――いなければ困る――なのですが、では眼鏡はどうするのか。
これも竹本氏はちゃんと「バンド止め」と説明しています。
獣耳眼鏡っ娘、というのもメジャーなキャラがどれだけいたか咄嗟に出てきませんが(いないことはありません)、この辺の描写はやはりあるとは限りません。

逆に「人間の耳と獣耳、合わせて4つの耳がある」という設定もないではありませんね。
しかし人間の耳の方を髪の毛で隠さず、堂々と耳を4つ描いてしまった桜玉吉氏はやはり只者ではありませんでした。

べるの
 (桜玉吉『しあわせのかたち 愛蔵本 1』、アスペクト、2000、p.181)

「『なんで耳が4つあるんですか』とゆーおたよりを死ぬほどいただいた」とのことですが、何の説明もなくこんな風に描かれていればそれも然り。
耳を塞ぐのに両手足を使っていたりしますし……

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コメント

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獣耳に関する考察、参考になります。
やはり狼の耳は狼耳ですよね。

『よみきりものの...』読んでみたくなりました。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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