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大学の困難と個人的な学び

大学では授業科目名が同じでも、内容が同じとは限りません(かなり厳しく内容が指定されているものもありますが)。先生が変わればもちろんのこと、1人の先生が年によってネタを変えていることもあります。
本学の教養科目の1つ「日本文化史」で昨年扱われていたのは「日本の大学について」でした。この題材でやるのは2回目だか3回目だかという話でした。まあ確かに「日本」の「文化」には違いありませんが、「何で…」と思う人も多かったかと思います。(シラバスにもちゃんと書いてあったんですが)

しかし実際、大学の置かれている状況は大変なものではあるんですね。大学進学率は上がり続けているとは言え、少子化で総数は減少する一方、今も大学が新設され続けている状況で、入学定員が進学者総数を上回る「大学全入時代」の到来ですから。(もう全入になっていたかも知れません)
とは言え、やはり「大学ならどこでもいい」という人ばかりではない、むしろ、どうせ全入ならできるだけ「いい大学」に行きたいと思う向きも多いでしょうから、一流大学に人気が殺到する一方で定員割れの大学が大量発生という二極化が発生しています。
そういう中、文部科学省も「競争を煽って研究・教育レベル高める」という目的で、研究費を限られたところに重点配分、さらには国公立大学の助成金を毎年1%カットという恐るべき動きに出ています。
本学の状況も当然、厳しいものです。ただでさえ施設・教育あらゆる点においてお金がないのは明らかであることは再三言ってきました。さらに助成金も減少。元々知名度も今ひとつで、このままだと一体いつまで受験生が集まることか…昨年の入試出願状況を見せると「油(画)の倍率10倍切ったか。俺達の頃は20倍超えてたよな」と先生が言うのが遠いですね。
(あまりこういうことばかり言うのも失礼な話で、そういう時に限って新入生は優秀だったりするんですが…)

さて昨年の「日本文化史」の授業に話は戻って、何より「自分たちの置かれた状況について考える」のが目的で、これといった習得目標がある訳ではありませんでした。レポート課題も、自分の聞いた話でも考えでも何でも良しという感じのものでしたし(まあこういう傾向は他の授業でも同じで、大体先生のタイプによって決まっているものですが)。
しかし私はかなり真面目に調べました。主題は政策面、特に新自由主義です。このために資料を積み上げて(結局読まないものも多いんですが)、「原稿用紙3枚以上」のレポートを10枚分以上は書きました。

資料の中でも大きな示唆を与えてくれたのはデヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義 その歴史的展開と現在』でした。要するに、上で「競争を煽って」と言いましたけれど、行政が上から「自由」競争を煽るというのはどういうことなのか、新自由主義は決して「市場原理主義」ではなく本質的にそうした抱えていること、また今や「(日本の場合)小泉新自由主義政策で格差が拡大した」といった話もよく聞くようになりましたけれど、これは単なる間違いではなくて、意図して行われており、世界中で発生している事態であること、等をハーヴェイは示していきます。
結局これは「現代はどういう時代なのか」という問題につながり、私は今もハーヴェイの『ポストモダニティの条件』を原書で取り寄せたりしつつ、この話に付き合い続けています。(「ポストモダン」という、すっかり人口に膾炙した言い回しからして問題含みですね。またいずれ機会があれば触れます)

再び本学の授業に戻って、こういうのが常に良い形であるとは言いません。勉強しなくても単位は取れますから、勉強しない人はしないでしょう。あまり各自に任せるのも勉強の仕方が分からない人にはどうしようもないでしょうし、偏るおそれもあります。ただ、別に高度な話をしている訳ではないようでも、周辺を掘り下げていけば学ぶことは再現なくあるという話の、1つの例として挙げておきます。
                           (芸術学2年T.Y.)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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