オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
反イノベーション論
今や何かと「イノベーション」ということが言われます。今の経済ではイノベーションが必要だ、それがなければ生き残れない、云々…
して、イノベーションを成した人の代表例がたとえばスティーブ・ジョブズだったりします。
しかし考えてみると、iPhone や iPad がなければ世の中変わったかと言うと、そうでもありません。
他にも携帯電話やパソコンはあります。便利ではあるのかも知れませんが、アップル製品であることによる決定的な違いとはどれほどのものでしょうか。
携帯電話やインターネットそのものの功罪についてはこの際さておくとしても、携帯電話やパソコンそのものに比べれば小さいことです。
結局イノベーションというのは、常に新しい製品を買ってもらわないと会社が潰れてしまうという企業の側の都合です。そこで「他社製品ではなくこれを買いたい」と思わせる品を作ったのは、ビジネスとしては功績でしょう。
アップル製品の取り得は「可愛くて、買いたいと思わせるデザイン」だという意見を聞きましたが、然りと思います。
(このことは同時に、前の大学のデザイン専攻の某先生が今までベンツを20何台買い換えたという噂や、その同僚のある先生が集中講義の間毎日東京から愛知まで新幹線で通っていたという事実――非常勤講師を給料を考えると元が取れるかも怪しいのに――をある程度説明します。デザインこそビジネスの要です)
しかし、この新製品を買ってもらわねばならないという「企業の都合」は、要りもしないものをも生み出します。
パソコン関係のソフトウェアが次々バージョンアップされるのなど、その好例です。バージョンアップされても大して便利になっていないわ、新バージョンで作られたデータは旧バージョンでは開けないといった事情により新バージョンを強要されるわ、今度はこっちで苦労して作ったデータが相手のところでは開けないと言われるわ、いいことなしです。
そこまでして新しいものを作り、消費して――本当にそうすることが経済には必要なのでしょうか。
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