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二代目の困難

まずは昨日公開の映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』を観てきました。
先に『特命戦隊ゴーバスターズ』にゲスト出演していた新ギャバン・十文字撃は地球人の宇宙飛行士で、スペースシャトルの自己で宇宙に消えた……かと思いきや、実は宇宙警察に助けられてギャバンとなっていた、という設定です。
撃とともに調査に行っていた飛行士・大熊遠矢(おおくま とおや)と、地球で宇宙物理学研究開発機構「SARD」に勤めている女性・河井衣月(かわい いつき)という幼馴染三人の友情と三角関係が物語の軸となり、それにまつわる苦難を乗り越えて撃が一人前の宇宙刑事となる――という話なのですが……

物語の内でかなりのウェイトを占めるこの地上の恋愛ドラマがドロドロしていて重く、宇宙刑事という設定やB級然とした特撮怪人たちと微妙に合っていない気もしました。
まあ、この世界のスペースシャトルは火星軌道まで有人探査に行けるようですし、地上の設定もやはり荒唐無稽ではあるのですが、敵の登場するシーンが「夜にガラスに映った自分の姿が自分と違う動きをする」とか「女性研究員が悲鳴を上げて追い回される」といったホラー的なものであったせいもあって、余計に敵怪人がもっとおどろおどろしくないと合わないような印象になってしまったのでしょうか。

同じく主人公たちが「宇宙を目指して」いた『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』など、序盤でいきなり、高校生に宇宙へ行って衛星兵器を止めてもらおう、という話になります。あの方がマッチしていましたね。

まあ、その手の不整合はたとえば『鳥人戦隊ジェットマン』にもあったのですが、『ジェットマン』の場合、味方も敵もキャラが立っていたと言うか、人格的な魅力がありましたからねぇ。
今作の撃はまだ正式な宇宙刑事ではないという設定(その点で先代とは逆に、すでに宇宙刑事であるらしいシャリバンとシャイダーの方が先輩です)で、何かとピンチになって助けられる場面が多く、頼りないんですね。

中盤で先代ギャバン・一条寺烈が助けに現れると一気に盛り上がりましたし、戦闘のBGMも主題歌が流れて、「ようやく『ギャバン』らしくなってきたか」という印象を禁じえませんでした。敵の方のドラマがはっきり見えてくるのもその辺以降ですし。
やはり先輩ヒーローの存在感というものは途方も無く大きく、それが大葉健二氏ほどの大物であればなおさらです。対して主人公が「まだ頼りない新米」というのは、やはり大きなネックとなり得ます。主人公が最初は新米で頼りないのはよくあることとしても、巨大な実績を持つ「先輩」が同時に出演する限り、永遠に比較され続けますから(『仮面ライダーディケイド』はその点をクリアする設定を打ち出しましたが、先行作品に対する尊重が欠けていたのが難でした。『海賊戦隊ゴーカイジャー』はそうした先例を踏まえて上手くやったかと思います)。
周りと比較して「弱い」ということが「未熟で頼りなかろうが負けようが、彼(女)より他に頼れるものはない」というヒーローの重みを損なうという事態は軽視できないものがあります。

もっとも、これが長期シリーズでなく単作の映画であることを考えると、「新たなギャバンが誕生するまで」の物語としては及第点なのでしょう。
また、烈が「俺も愛する父を殺された」と語っている通り、主人公がこうした個人的ドラマを経て成長するのはかつての『ギャバン』のコンセプトから大きく外れてはいないのかも知れませんが、問題は全体の内でのウェイトと、演出ですね。

 ~~~

帰りがけに『コミック怪』の新号と『百器徒然袋 山颪 薔薇十字探偵の憤慨』の単行本が発売されているのを確認しました。

百器徒然袋 山颪    薔薇十字探偵の憤慨 (怪COMIC)百器徒然袋 山颪 薔薇十字探偵の憤慨 (怪COMIC)
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コミック怪 Vol.20 2012年 秋号 (単行本コミックス)コミック怪 Vol.20 2012年 秋号 (単行本コミックス)
(2012/10/24)
京極 夏彦

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『コミック怪』では「山颪」に続く『百器徒然袋』シリーズの続き「五徳猫」が連載開始、同時に『狂骨の夢』が最終回です。
『五徳猫』はまだ依頼人と会っただけで、問題となっている事件の内容すらまだ語られていませんが……
お喋りな家政婦・並美木セツ(原作では『絡新婦の理』で初登場)が登場。

並美木セツ
 (京極夏彦/志水アキ「百器徒然袋 五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」『コミック怪 No.20』、角川書店、2012、p.18)

『狂骨の夢』はと言うと、主要な謎解きはこの1回でほとんどこなしましたね。若干詰めた感もありますが、しかし映像化困難と思われたネタを描けば描けるものだな、と感心することしきりでした。
次号から間を空けることなく『姑獲鳥の夏』が連載開始のようです。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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