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「きちがい」考

「きちがい(気違い・気狂い)」という言葉がいつから差別用語として避けられるようになったか、ということは今はあまり気にするつもりはありません。

※ 差別的ということなら、私は「精神障害者」の語を悪意を持って、罵倒として投げかけられて殴られたことがありますが、あれはいいのか(精神科の病棟におられる皆さんも私と一緒にされては迷惑に違いない)、と思ったりしましたが、今では「障害者」も避けて「がい」を平仮名にしたりするとか。どこまで行くのでしょうか。

ただ、今ではこの言葉、ネット上では多くカタカナで、たいていは対象を否定するネガティヴな意味を持って使われていたりしますが、しかしこの語の本来の含みはもっと広いものでした。
で、私見によりその意味を大まかに挙げてみると以下のような感じでしょうか。

1. 「○○きちがい」で「○○マニア、愛好家」と同義(そもそも「~~マニア」の一般的な訳語は「~~狂」ですが)。
2. 否定的な意味で「異常な人」の意。
3. 精神医学により病気と診断される人のこと。

この語のもっとも広い意味は「並外れた、理解を絶した人」といったところであるのが分かります。
対象となる人物を否定するような攻撃的な用法のは、もちろん2の意味です。

さて、たとえば「太陽が眩しかったから」とか「誰でも良かった」といった、端からは理解しがたい理由で人を殺した人はしばしば「キチガイ」と形容されます。これはまさに「理解しがたい」ことを指しています。
ところが――犯罪者の精神鑑定がよく問題になることとも相まって――これが3の意味と混同され、「犯罪者=精神異常者」「精神病患者=危険」といった風に見なされると、これは社会的偏見も甚だしいものです。
この言葉の差別的な意味合いが問題になるのは、おそらくこうした事情が関係しているのでしょう。

もちろん実のところ、精神医学がいかなる症状と診断しようとそれで犯罪を犯すとは限りませんし、健康でも犯罪を犯す人はいます。

注意しておきたいのは、「理解しがたく、避けられるべきであるような行為に及んだ」ことによって――まさにその理解しがたい事態を「我々の世界」から切り離すために――(2の意味での)「きちがい」と見なされるのであって、(3の意味での)気狂いが犯罪行為の原因かどうかは何とも言えないということ、つまり「きちがい」は事態の原因ではなく判断の結果だということです。

といったことを考えたところで今日はここまで。

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Author:T.Y.
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