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ライトノベル、この一貫して扱うことの難しいもの――『このライトノベルがすごい! 2013』

今年も『このライトノベルがすごい!』の季節がやってまいりました。

このライトノベルがすごい! 2013このライトノベルがすごい! 2013
(2012/11/19)
『このライトノベルがすごい! 』編集部

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ランキングトップ10の内半分くらいは昨年から変わっていませんが、続いている限り業界トップがそうそう動かないのはまあ当然のことであって、新しく入った面々にも「まさか」と思うようなものは少なめ、まあ比較的正当なランキングでしょう。
ただ、『ソードアート・オンライン』は本誌創刊9年目にして初の連覇達成作品だとか。ポイント数では1位と2位を合わせても及ばないほどの圧倒です。

このライトノベルがすごい!2013 ランキング
 (『このライトノベルがすごい! 2013』、宝島社、pp.2-3、クリックで画像拡大されます)

1. 『ソードアート・オンライン』
2. 『とある魔術の禁書目録』シリーズ
3. 『六花の勇者』
4. 『バカとテストと召喚獣』
5. 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』
6. 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』
7. 『デュラララ!!』
8. 『東雲侑子』シリーズ
9. 『サクラダリセット』
10.『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン』


『このライトノベルがすごい!』のランキングは「協力者」(「作家・評論家・ライター・ライトノベル系イベント関係者・大学サークル・インターネットでのライトノベル系情報発信者など、ライトノベルに精通している都思われる方々50人」)、「ホームページでのアンケート」「モニター」(「ライトノベルのメイン読者層と思われる、12歳~18歳の中高生世代」)という3層からの回答を合わせたもので、今年はホームページでの回答数1363人、モニター103人とのこと。
昨年からだったでしょうか、層別の得票ポイントも明かされるようになりましたが、協力者はマイナーな作品を推してメジャー定着すると離れる傾向が顕著。もっぱら協力者の推しで意外な高順位を獲得する作品がちらほら(今年は『六花の勇者』『東雲侑子』『サグラダリセット』辺り)。
他方、モニターはやはりライト層ゆえかもっぱらメジャー作品に投票する、というよりもレーベル単位でマイナーなところにはモニター票がほぼ入らないというのがよく分かります。それがアニメ化でもされて一挙に売れる作品があれば書店でのレーベルの扱いそのものが変わり、広く目に触れるようになる可能性がある……と考えれば、看板作品はアニメ化せずんばあるべからず、という状況も分かります。
しかし、売れ筋作品がホームページ得票数において多くの票を獲得するのはまあ当然なのですが、『バカとテストと召喚獣』『デュラララ!!』のようにホームページ得票数も少なめでモニター票で上位に来ている作品もあることを考えると、ホームページアンケートと別にモニター調査をやっている意義は一応ありというところでしょうか。

ちなみに私もホームページで投票しました(コメントも一つ取り上げられています。漫画雑誌の読者アンケートでもそうですが、こういうものの採用率は意外と高い、つまりきちんとコメントを書いている人はそれほど多くないのではないか、と思われます)が、投票する側としては、長編でまだまだ先がありそうな作品よりも、期間内に完結した作品の方を「これが最後だから」と優先したくなる心情はあります(前者はその後失速したならばそこまでの作品だったということですし)。それゆえ「完結ご祝儀」というものは確かにありますね。

ランキングの話はこれくらいにして、少し細かい話をしてみましょう。
本誌の後半には「今、面白いライトノベルはコレだ!」というジャンル別ガイドがあり、今年は229作品が取り上げられています。ライトノベルが年間1000冊くらい刊行されているとしても、同作品が1年に数巻刊行されているものも少なくないことを考えれば、カバー率は大したものだと思われます。
で、ここの「ジャンル」の中には「ボーダーズ」というものもあります。曰く「日々拡張されるライトノベルの概念。ライトノベルとは似て非なる数々の作品をご紹介」とのこと。
そして今号では、星海社FICTIONSの作品3点(『大日本サムライガール』『ビアンカ・オーバースタディ』、それに『エトランゼのすべて』↓)はこの「ジャンル」に押し込まれていました。

エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)エトランゼのすべて (星海社FICTIONS)
(2011/10/14)
森田 季節

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他はハヤカワ文庫や創元推理文庫、角川文庫等々ですからまあ分かりますが、投票用の「参考作品リスト」に星海社FICTIONSの作品を載せていたのは『このライトノベルがすごい!』自身です。
ちなみに『ビブリア古書店の事件手帖』は堂々と「働く人々」ジャンルにありました(つまりライトノベル扱いでした)。
しかし、メディアワークス文庫がことグレーゾーンであることは過去にも触れてきましたが、『ビブリア古書店~』が100万部(巻辺り)売れていて本誌のランキングにかすりもしないということは、ライトノベルと思っていない読者が大多数ということであり(もしかすると、表にないものに投票するという考えが浮かびにくい心理かも知れませんが、講談社BOXも表にはないにもかかわらず西尾維新『物語』シリーズは41位につけており、キャラクターはさらに上位であることを考えると、それだけが理由とは思われません)、慣例と見なしを重視するならこれはライトノベルではない、ということになるでしょう。

問題にしたいのはライトノベルの定義ではなく、――『〈小説〉トリッパー』の件でもそうですが――1つの雑誌の中でも一貫した取り扱いができないということが、現状を反映しているように思われる、ということです。
「ウチではここまでをライトノベルに含め、これは斥けることにする」と厳密に取り決めることはもちろん原理的には可能ですが、そうして形式的に割り切ることはできないものがあると思えばこそ、ライターにより編集者による考え方の違いがそのまま誌中に現れるという形になってしまうのではないでしょうか。

そんなわけで、末尾の記事「ライトノベルの浸透と拡散」はまさしく、こうした現状をまとめたものとなっていました。

 話題作『天地明察』が映画化され、歴史小説第2弾『光圀伝』も好調の冲方丁の例を出すまでもなく、非ライトノベルにおけるライトノベル出身作家の活躍は、今や珍しいものでもなんでもない。しかし今回の『ビブリア古書店』のヒットは、レーベル自体にそのような動きが見られ、早くもその結果が出ているという天で、これまでの非ライトノベルへの進出とは意義が異なる。これまでは個々の作家の感性が非ライトノベル圏でのヒットを生んでいたのに対し、今回の出来事はライトノベル的感性そのものが非ライトノベル圏で受け入れられるようになった結果だ、と見ることもできるのだ。少なくとも、メディアワークス文庫創刊と『ビブリア古書店』のヒットは、そのための道筋を確実に築いた、とは言えるだろう。
 (「2012年をソーカツ2013年を展望 ライトノベルの浸透と拡散」『このライトノベルがすごい! 2013』、p.166)


他にもWeb小説からの発掘、様々なメディアミックス展開などの話題が取り上げられ(『アラタなるセカイ』の件もここで少し触れられていましたが、あれは商業的に成功する形態でなし、「新たなメディアミックスの形と言え」てもモデルにはならないとは思いますが…)、「今、『隠れた名作ライトノベル』という存在そのものがナンセンスなものになりつつあるのかもしれない」として、来年で10年目を迎える『このライトノベルがすごい!』としても「本書が扱うべき『ライトノベル』の、定義そのものを見直す時期にさしかかっているのかもしれない」という形で締めとなっています。

ところで、ノベライズ作品は『このライトノベルがすごい!』ランキング対象外ですが、するとこれ↓も「楽曲のノベライズ」という扱いになるのだとか。
思いもよりませんでしたよ。

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(2012/05/30)
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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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