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どこまでも熱く馬鹿を――『俺、ツインテールになります。 2』

先日、今月はガガガ文庫の新人作品が3タイトル揃って2巻発売、と言いましたが、そのうちの1つ、『俺、ツインテールになります。』を取り上げます(1巻の発売は『下ネタ~』より1ヶ月先でしたね)。

俺、ツインテールになります。2 (ガガガ文庫)俺、ツインテールになります。2 (ガガガ文庫)
(2012/11/20)
水沢 夢

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1巻レビュー

「属性力」(「属性」とはツインテールであるとかスク水であるとか体操服であるとか、要するにフェチのカテゴリー)を奪いに来る敵・エレメリアンを倒すため、主人公がツインテールの属性力により変身して戦う話……ですが、なにぶん主題が主題であるだけに、敵アジトの場面も主人公と敵幹部との対決も全て、熱くフェチ論議をぶつけるばかり。シリアスな展開になるはずのところでも「くだらない話を熱く交わしてるな…」と呆れて然りという仕様です。
同様にセクシュアリティも欠けていて、男の主人公が変身すると幼女になりながらトランスセクシュアルに伴うエロスを含んだ展開などはまるでありません。

この2巻でも、主人公・総二は戦闘時以外でテイルレッドに変身している場面もありますが、ツインテールを愛でるだけ。「風呂入るなら男に戻るだろ」(p.79)と真顔で答えるありさまです。この性欲のなさは作中でも周囲から疑問に思われるほどですが。
さらに敵の方も、あらすじからして、

(……)一方、戦力を増強した異世界の変態怪物集団アルティメギルは、巨乳属性と貧乳属性の二派閥に分かれ、今にも内乱が起ころうとしていた。


征服どころかこれです。

――といったノリが徹底していることを踏まえてそれを良しとするのであれば、完成度は高い作品です。
ヒーロー物らしい展開(ただし山場となるはずの展開もノリは上述の通り)も、エキセントリックなキャラ達もブレがありません。幼馴染の暴力ヒロインの攻撃を主人公ではなく、もう一人のヒロイン(変態)にぶつけるという新しい組み合わせも安定したものです。

1巻では中盤でその幼馴染ヒロイン・愛香が第2の戦士・テイルブルーに変身してピンチに駆けつけるという王道展開をやりましたが、話が続くとなればさらなる新戦士が登場するのでは、という期待は裏切られません。
第3の戦士・テイルイエローとなるのは、1巻でもそのツインテールの素晴らしさを注目されていながらチョイ役止まりだった生徒会長・神堂慧理那(しんどう えりな)です。
生徒会長・黄色・ツインテール、ついでに3人目の戦士と来れば思い出されるのはキュアサンシャイン(『ハートキャッチプリキュア』)ですが、しかしそのイメージを絶妙なところで外してもいて、戦闘スタイルが重火器満載の砲撃タイプ、しかも1巻でも「ピンチに新戦士が駆けつける」パターンの逆を衝いて最初はさっぱりだったり、さらには密かに登場のタイミングを窺っていたり……。
加えて、そのテイルイエローが覚醒する過程が、冒頭で慧理那のモノローグにより語られるツインテールへの屈折した想いに関係している辺りはやはり巧みです。
ただ、同時に脱衣に覚醒するとは思いませんでしたが……(なぜそうなるのかは実際に読むのが一番でしょう)

まあ脱衣と言っても肝心なところまで脱ぐわけではありませんし、ツインテイルズの衣装の露出度の高さが全員共通なのは1・2巻の表紙を見ても分かる通り。
しかしそれを差し引いても、展開もイラストも見事なほどにエロスを感じさせず、一番露出度の高さとエロスを見せているのが巻末の設定画である辺りも今まで通り。

ただし、終盤でようやくテイルイエローが覚醒なので、彼女の活躍はそれほど多くはありません。因縁ありげな敵幹部の登場で引きとなっていますし、3人での縦横無尽な活躍はまた次巻以降ということでしょうか。

それから、慧理那お付きのメイドである桜川尊(さくらがわ みこと)が高校に体育教師として赴任してきた上、アラサー女の焦りから主人公に(その他の男子にも)婚姻届を書かせようとする暴挙辺りが、コメディ展開としては中盤にアクセントを沿える魅せどころでしょうか。
慧理那がよく敵に狙われているということと関係しないわけではないものの、メインストーリーにはさして関係しないのですが、他のメンバーに負けない濃さでコメディに新たな風を吹き込む要員となったのは間違いありませんでした。


なお、セクシュアリティの排除を本作の特徴と見てきましたが、あとがきには

 続刊したからにはやりたいこと、書きたい展開がどんどん出てきます。例えばテイルレッドに水着を着せて海イベントとか!? 皆様はどんなイベントが見たいですか?「俺はトゥアールや愛香よりエレメリアンの水着姿が見たい!」という方も遠慮なく書いて送って下さいませ。
 (水沢夢『俺、ツインテールになります。 2』、小学館、2012、p.274)


といった記述もあるので、もしかしたら今後は要望次第で毛色の違う展開もあり得るのかも知れませんが…

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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