FC2ブログ

驚異の祝祭――『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』

昨日公開の映画『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』を観てきました。

'11年春の映画『オーズ・電王 レッツゴー仮面ライダー』では歴代オールライダーの共演のみならず、ほとんど通りすがり的な登場ながらキカイダー、キカイダー01、イナズマン、怪傑ズバットまで登場しました。
映画で他シリーズのヒーローが出るようになったのはこの辺が端緒でしょうか、'12年春の『スーパーヒーロー大戦』はスーパー戦隊と共演。

これらの映画は歴代ヒーローの共演するお祭り作品なので、おそらくは実際にかつて主役を張ったヒーロー本人という設定で、少なくとも外見はそのままですが、他方でかつての作品へのオマージュというのもあります。
たとえば『クウガ』の怪人のラインナップは最初がクモ、次いでヒョウであり、またコウモリは序盤から終盤から登場し続けますが、これは『仮面ライダーBlack』を踏襲していました(さらに最初がクモなのは初代『仮面ライダー』に遡ります)。
『フォーゼ』も宇宙開発に関わって開発されたという設定は『仮面ライダースーパー1』と重なるものがあった作品で、そのため昨年の『MOVIE大戦 MEGA MAX』ではオマージュとして敵ボスが『超銀河王』、部下の怪人が「サドンダス」でした(いずれも『スーパー1』映画版の「銀河王」「サドンダス」より)。

そして『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』はヒーロー共演映画ではないながら別作品へのオマージュを取り込み、敵が宇宙鉄人キョーダイン、さらに大鉄人17も登場となりました(もちろん、名前だけで設定は無関係、デザインも似てはいるものの新作です)。
今回の『MOVIE大戦アルティメイタム』もその流れを受け継ぎ、敵がアクマイザー3、さらに『フォーゼ』パートではイナズマン、『ウィザード』パートでは美少女仮面ポワトリンが登場します。
若い役者たちは当然、多くの場合元の番組を知らないわけで、パンフレットの出演者インタビューを見ていると今回初めて知って…というコメントが多い、特にポワトリンに集中しているのが実に面白い。
『美少女仮面ポワトリン』は1990年当時、一世を風靡した作品なんですね。(役者としてではなく)「ポワトリン」としてバラエティ番組に出演したりもしましたし(私がリアルタイムで多少なりとも観ていた覚えがあるのは、2年後の同シリーズ『有言実行三姉妹シュシュトリアン』でしたが)。浦沢義雄氏の脚本らしく独特のギャグの効いた作品でしたが……そして『MOVIE大戦アルティメイタム』も『ウィザード』パート及び『MOVIE大戦』パートの脚本はTVシリーズのメインライターであるきだつよし・香村純子両氏ではなく、浦沢氏です。
浦沢脚本にしてはむしろストーリーがまともで驚くくらいでしたが……しかしやはりと言うべきそのぶっ飛び具合を示す例として、ポワトリンの決め台詞だけ挙げておきましょう。

「たとえミーツ・マングローブが許しても、マツコデラックスが許しません」

元の『ポワトリン』では「たとえ○○が許しても、この美少女仮面ポワトリンが許しません」でしたが、○○が何の関係もない芸能人ネタだったのは事実です。

↓これがポワトリン。コスチュームはかなりオリジナルに忠実です。

ポワトリン

しかしギャグの一方で、結構毒もあります。
何しろポワトリンが登場するのは「アンダーワールド」という精神世界であって、そこで彼女はひたすら同じ一日を繰り返し、人々から喝采を浴びることで現実の虚しさを埋め合わせる願望を満たしているのですから……
ですがそれはアクマイザーに利用されてのことであって、目覚めて現実に帰ろうと呼びかけるウィザード=晴人。
たんに説教として見れば月並みですが、他でもないヒーロー映画の中で「ヒーローになること」を虚しい願望充足として否定し、しかもそれを違和感なく物語として見せているのはやはり類稀なる手腕です。

ついでに、全てを持っていくようなオチも効いていますよ。

後半である『ウィザード』パートの話が先になってしまいましたが、『フォーゼ』パートもいつも通りにお見事であると同時になかなか飛ばしています。。
何しろ、舞台は5年後弦太郎が新天ノ川高校の先生になっています。
冒頭はインターポールの捜査官になっている流星が犯罪組織と戦い、ゾディアーツスイッチに行き当たるところから。『みんなで宇宙キターッ!』に登場したインガ・ブリンクもインタポールの同僚になっているようです。
他の皆も、ユウキは宇宙飛行士になるという夢を史上最年少で達成、賢吾は大学院で研究を行っており、JKはジャーナリスト。美羽がモデルで隼がアメフト選手というのはいかにもという感じながら、意外なのは友子が作家になっていること。友子に関しては流星と再会したシーンで抱きついてもいましたが、流星の方は仕事で日本を離れていることも多く、しかも仕事ではインガと一緒。……不穏さはそのままであまり動いていないような気もします。
さらに、事前情報で告知されていたことではありましたが、美咲撫子(宇宙生物SOLU)=仮面ライダーなでしこも再登場、こちらと弦太郎と抱擁を交わします。
『MOVIE大戦 MEGA MAX』でスーパー1スイッチを遺して殺されたものの、人格としては存在し続けているような描写がされていた撫子。当時はこうやって身体を持って復活できるような状態だという話とは思わなかったのですが、その辺説明はなし。でもまあ、いいでしょう。
何より嬉しいのは、「XVIIに会って」弦太郎の話を聞いたからまた会いたくて戻ってきた、という言葉ですね。過去の映画2本に登場した宇宙の「友達」までもが揃って関わり、結集しているという事態が弦太郎のやってきたことの厚みを思い起こさせます(XVIIの姿も少しだけ登場)。
また、天ノ川高校の先生達も、大杉先生はもちろん、一時期弦太郎達の担任を務めた宇津木遥先生も登場。さらに生活指導だった佐竹先生が校長になっています。

ストーリーとしては、立派な大人になったもののそのままではまだ「本当の先生」にはなれないと佐竹校長に諭された弦太郎の悩み、そして教え子達の間の確執といった事柄を巡るものですが、さすがに映画の1/3である分、人物が改心し解決するまではあっさりしている印象はあります。
それでも、他者を受け入れることというテーマはいつものフォーゼで、それを「自分が相手と友達になるだけでなく、教え子同士の関係を導かねばならない」立場になった弦太郎のことと絡めて描いているのは安定の出来です。

ただ気になったのは、先の映画『みんなで宇宙キターッ!』でフォーゼとウィザードは会っているんですよね。しかし晴人が魔法使いになったのは比較的最近のこと。そしてこの映画の作中時間は現在放映中の『ウィザード』TVシリーズとほぼ同時期のはずなのですが……またパラレルになるかと思いきや、タイムトラベルを入れてきました。
あまり詳しい設定も深い事情もなくタイムトラベルという面倒な要素を入れてくる辺りが脚本の無茶さを象徴していますが、一応タイムパラドックス的な要素がMOVIE大戦パートの中核部分に関わってもいます。


『フォーゼ』と『ウィザード』両パートがそれぞれまとまったテーマとストーリーを備えさらにそれらが合流して決める、しかも両ライダー以外にも様々なヒーローが登場する祝祭的な代物をきちんと纏め上げており、昨年に引き続き良い『MOVIE大戦』だったかと思います。お勧めできます。


ちなみに、最後になりましたが、敵ボスであるアクマイザー3のリーダー・ザタンの声はデーモン閣下で、主題歌も担当。なかなかよく決まっていました。

 オファーをもらったときの率直な感想としては「ついに来たか」と。こういう話がいつ来てもおかしくないと思っていたから、あまり意外な感じはしなかったな(笑)。
 (デーモン閣下インタビュー、パンフレットより)



FOREST OF ROCKSFOREST OF ROCKS
(2012/12/12)
デーモン閣下

商品詳細を見る


ところで最後に次の春の映画の予告がありましたが、『スーパーヒーロー大戦2』――ライダーとスーパー戦隊の共演に加え、今度はギャバンと対決だとか。
あれをやってしまうと次はあり得るのかと思いましたが、新作映画で復活したギャバン、また登場するのか……

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
02 | 2021/03 | 04
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告