FC2ブログ

喪女と萌えキャラの一致点――『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』

今回は漫画を取り上げます。
ちょうど先日発売の『このマンガがすごい! 2013』16位にランクインしていたので後追い的な感じになってしまいますが、まあ気にしますまい。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(1) (ガンガンコミックスONLINE)
(2012/01/21)
谷川 ニコ

商品詳細を見る


私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2) (ガンガンコミックスONLINE)
(2012/05/22)
谷川 ニコ

商品詳細を見る

3巻も近日発売予定。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(3) (ガンガンコミックスONLINE)私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(3) (ガンガンコミックスONLINE)
(2012/12/22)
谷川 ニコ

商品詳細を見る

いきなりインターネット上にある「喪女」(「もてない女」の略)の定義から始まる本作。

私がモテないのはどう考えれもお前らが悪い! 1
 (谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 1』、スクウェア・エニックス、2012、p.3)

そして主人公の黒木智子くろき ともこ、中学時代の友達によるあだ名は「もこっち」)はモテるとか友達とか以前に家族以外では話す相手もいない、オタク(乙女ゲーでの恋愛経験含む)、と何だか「ぼっち」と「オタク」のイメージを総合して美少女化したような感じです(思考回路もしばしば極めて男のオタク、もしくはおっさん的)。

私がモテないのはどう考えれもお前らが悪い! 2
 (同書、p.7)

(この場面は『このマンガがすごい! 2013』でも引用されていただけになおさら後追い記事の感が漂いますが…)

しかしそんな智子は可愛い。
目の下にクマのある容貌も、野暮ったい髪型と服装も、男――特にイケメンを前いにして極端に初なところも……
と言うか、こうして列挙してみると実際、「萌えキャラ美少女」の条件を満たしていることに気付きます(本人も自分が「可愛い」ことに気付きイメチェンを試みて失敗したりする辺りが嫌なところで現実的ではありますが)。
そして以下のような智子自身の思考も、彼女のようなキャラクターを可愛いと思う男性オタク読者の思考をよく反映しています。

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 3
 (同書、p.9)

そもそも最初の「喪女」の定義、少なくとも「1 男性と交際経験が皆無」「3 純潔であること」は「萌えキャラ」と呼ばれる美少女キャラクターの大多数に当てはまってしまうのではないでしょうか。
「男子に人気はあるけれど告白は断ってきた」という類ならば「2 告白されたことがない人」からは外れますが、「美少女」という設定だからといってそうでないキャラクターも少なくありません。

現実を省みれば「喪女がこんなに可愛いはずがない」と思うのは然り。
しかし、本作はまさしく「喪女」と「萌えキャラ」の条件が一致する点を突き詰めたのだと気付けば、本作が開拓したイメージのラディカルさが分かります。
「萌えキャラの条件を満たす結果として喪女の条件をも満たす」から「喪女であるがゆえに萌えキャラである」という反転を可能にし、その結果として新たな萌えのカテゴリを創発するまでに――そしてそれが同時に、萌えキャラの本質の追究に至るほどに。


このマンガがすごい! 2013このマンガがすごい! 2013
(2012/12/10)
このマンガがすごい! 編集部

商品詳細を見る

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
01 | 2021/02 | 03
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 - - - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告