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先生も色々――『暗殺教室 2』

毎月頭に発売のものは、1月分は一足早く年末に――というわけで、今回取り上げるのは漫画『暗殺教室』第2巻です。

暗殺教室 2 (ジャンプコミックス)暗殺教室 2 (ジャンプコミックス)
(2012/12/28)
松井 優征

商品詳細を見る

1巻レビュー

帯を見ると、何と現時点(つまり1巻のみ)で160万部突破とのこと。

暗殺教室 2巻帯

書店でも大量に平積みされていると思ったら……掲載誌が300万部の『週刊少年ジャンプ』とは言え、低くない水準でしょう。
本作の魅力は何といっても、破天荒な設定ながらきちんと「先生と生徒」を描いた「学校教室物」として成立していることですね。

さて、本作において殺せんせーが「優れた先生」として描かれているのは間違いありません。
ただし「学校教室物」において、「良い先生」は必ずしも「模範的な先生」ではありません
そもそも、「モデル」を提示することが良いとも限りません。「みんなこれを目指せ」という先生の「モデル」を示し、皆がそうなれる――それはそれで気味の悪い話です。
その点、殺せんせーはマッハ20で動き、生徒の暗殺を避けつつほとんどの教科を教えることのできる怪物です。元より誰も真似できませんし、真似すべきモデルだと思われもしないでしょう。

また、防衛省の烏間(からすま)が殺せんせーの監視を兼ねて体育教師として赴任しています。体育の授業で中学生に暗殺のための体術を教えるというのは本人も認める異様な事態ではありますが、彼もまた先生として慕われていますし、また常識人としての眼差しで椚ヶ丘中学校3年E組の教室を観察する役割も担っています。

そして、この2巻は政府に依頼されたプロの暗殺者、イリーナ・イェラビッチ(通称「ビッチ先生」)が椚ヶ丘中学に3年E組に先生として赴任するところから。

暗殺教室 イリーナ
 (松井優征『暗殺教室 2』、集英社、2012、p.27)

実績ある暗殺者として自信を持っていた彼女ですが、この暗殺教室では暗殺者と教師を両立できねばなりません。
「見下した目で生徒を見るな」(p.57)と諭され、プライドを捨てて先生としては初心者としてスタートすることになります。
先生もまた色々であり、一つのモデルを目指すものではなく、新米先生の成長も描かれる――この辺が学校教室物としてきめ細かいところです。

他方で、この3年E組を徹底差別する椚ヶ丘中学のシステムを作り上げた理事長も登場。

暗殺教室 理事長
 (同書、p.96)

殺せんせーとしてはE組の生徒たちに「自分たちはもうE組から這い上がれない」という意識を払拭し、伸びてもらわねばならない。それこそが先生の仕事です。
しかし理事長は「被差別層としてのE組を確保する」という自らのやり方を何よりも優先し、そのためには手段を選びません。

暗殺とは別に、教師としての殺せんせーと生徒達との共通の敵――そして(おそらくは)ラスボスが登場した格好です。
理事長のやり口は手ごわく、殺せんせーも教師としては無敵ではありませんでした。
この理事長を破ってE組を躍進させること――これは最終回まで全編と通した課題となることでしょう。

2巻のラスト2話からは学校生活の一大イベント・修学旅行
とは言え、やはりトラブルは付き物で……
もちろん、人間相手の暴力沙汰など殺せんせーにかかれば何でもないでしょうが、ちょうど先生のいない班行動(6人)の時に襲われ……次巻は生徒達のみで人間相手に戦うことになるのでしょうか。


それから、様々なイメージ映像を用いた表現もこの作者の特徴です。
本作では前作『ネウロ』程に小ネタとしては多用されていない気もしますが、テスト問題が怪物のイメージで描かれ、それが魚に変わって捌かれたりする辺りは相変わらず。
一つ引用しておくと――

暗殺教室 台無し
 (同書、p.185)

元ネタはスペインで教会の壁画を素人のお婆さんが修復、台無しにしてしまった事例ですが……これ、そこまでメジャーになっていたのか……?

 【善意が生んだ悲劇】80代の女性が勝手にキリスト壁画の修復を試みる → 絵が下手すぎて顔が別人に

※ 余談ですが、これは決して遠い国に特有の事件ではありません。
日本だと仏像の修復等で時として起こります(まあ、頼まれもしないのに直してしまった、というケースは稀でしょうが…)。
そもそも、日本の仏像は剥げた金箔や塗装も貼りなおしたりせず、それを古色として尊重するのが普通です。それをピカピカに塗り上げられてしまったら、どうでしょう。何だか土産物みたいに安っぽくならないでしょうか(では、それではなぜ「いけない」のかというと簡単な問題ではありませんが)。


また、この2巻の巻末には麻生周一『斉木楠雄のΨ難』とのコラボマンガも収録。

(旅行中につきこの記事は予約投稿です)

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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