スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

無茶はさらなる無茶で通す――『男子高校生のハレルヤ! 2』

今回取り上げるライトノベルは3ヶ月で2巻目となる『男子高校生のハレルヤ!』です。

男子高校生のハレルヤ! 2 (GA文庫)男子高校生のハレルヤ! 2 (GA文庫)
(2013/01/16)
一之瀬 六樹

商品詳細を見る

1巻レビュー

本作の主人公・山田真理(やまだ しんり)は女装して女子校に通うことになった男子です。
1巻で彼が手違いにより女子校に入学することになるエピソードも、入学式の当日まで制服を確認せず、しかも女子の制服を着て行ったりと強引もいいところでしたが、しかしこの手の(そこそこありがちな)設定そのものが現実的には無茶なのですから、多少の強引さは必要です。
しかし、このユリウス女学院は密かに「一生女の子として生きるなら」女装した男子を生徒として受け入れており、しかもかなり強引な解釈をしてまでわざわざ女装する男を入学させたがっています。「手違いで入学してしまった男子生徒」より女子校そのものの方が余程とんでもない存在でした。
そこには同窓会の反対を乗り越え共学化を目論む腹黒い理事長の計略があるわけですが、かくして真理は他にも2人の女装男子仲間を紹介されることに。

――とまあ、無茶で無茶を押し流し暴走を重ねていくのが本作の真骨頂です。
その結果、気が付けばオーラで竜を出したりする異能バトルと化していました。
さすがに1巻でやるだけ暴走したせいか、この2巻ではあたらな驚きは控え目ですが、基本は変わりません。
何しろ、今回は冒頭でいきなり謎の異能バトルが始まります。

「熱いバトル。読者が『もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな』とまで思っていた主人公を、人差し指から出た下級魔法で黒焦げにしてしまったラスボス。大魔王からは逃げられない!」
 祐紀は突然、熱のこもった漫画のあらすじ解説を始めた。
「もう誰もヤツを止められん! という絶望的な状況の中、奇跡的な現象によりラスボスを倒すものがあったはずだ。その原因となっていたのが、主人公とヒロイン、二人の愛の力――」
「……それで?」
「当時はまゆつば物だとばかり思っていたのだが、あれは実際に存在する力だ。愛の力はこの宇宙のエントロピーを凌駕し、不可能を可能にする」
「わけがわからないよ」
 (……)
「オレたちの闘気は、あくまで自分自身の能力を向上させたり、自然現象を操ったりするに止まるものだ。ゆえにその力は、現実世界の物理現象の常識に支配される」
「まるで自分たちが常識人みたいな言い方をするんだね」
 真理の苦言をよそに、祐紀の解説は続く。
「しかし、漫画によりその存在のみが伝えられていた、愛の気。……それは本人の能力や闘気の容量とは無関係に、感情の高ぶりに応じて様々な奇跡を引き起こすとされているのだ!」
「……そうなんだ。すごいね」
 そしてうさんくさい。
 (一之瀬六樹『男子高校生のハレルヤ! 2』、ソフトバンククリエイティブ、2013、pp.24-25)


怒涛のパロディ(おおむねはオーソドックスなネタですが)もさることながら、この「漫画によりその存在のみが伝えられていた」ものが設定だということになって、主人公がツッコミを入れながらもそれで戦いが展開されてしまいます。

…といったドタバタは導入部であって、第2章からが1巻ラストの引きの続きとなります。
ここで、発言を本音に変換してしまう超能力を持つ少女音無蕾花(おとなし らいか)が登場、この能力が自動発動してしまうため一切嘘が吐けない彼女の友達作りに協力する、というのが2巻メインの物語です。
冒頭のいきなりフル暴走なバトルでなし崩しに異能の存在を「アリ」としてくる辺りが構成の妙でしょう。

また、蕾花の友達作りを巡るエピソードでは真理が割とメインで活躍しています。
やはり彼には十分に熱い主人公の資質があるようで、さらには思いがけず恋愛フラグを立てるような発言もしてしまいます。
1巻あとがきで作者が「そうならなかった」という趣旨で言っていた、「周囲のクラスメートがいつの間にか主人公を好きになってしまって……」という要素は、何だかんだであるのではないでしょうか。

…まさに偽りなし↓

ハレルヤ! 2巻帯
 (帯)

フォントいじりについて、「大声で叫ぶところを片っ端から大文字にするのは過剰に思われる」等と言いましたが、蕾花の能力で変換された台詞は字体を変えたりといった使い方はなかなか凝っていて、全体としてはまずまず上手く行っているかと思います。
1巻ラストで登場した、切り抜きによる脅迫状も。

ハレルヤ! 2巻
 (同書、p.61)

パロディネタは最近のネタと、20年から前のジャンプ漫画ネタが目立ち(上の引用箇所でも『ダイの大冒険』や『魔法少女まどか☆マギカ』が見られる通り)、作者のベースを思わせますが…ネタの古さというものがどう作用するのかは未知数です。
ただ、コスプレした人物にアニメの台詞を言わせるはずが、指定の台詞ではなく本音を言ってしまっても別の台詞としてちゃんと嵌まっていたりする辺り、きわめて堂に入ったネタの使い方を感じました。

作者あとがきの後に次巻への引きとなるエピソードが入る構成も相変わらず。

なお、「女装男子3人」が本当に3人とも男なのかについては、ラストで蕾花の能力で試そうとするも未遂に終わっているところを見ると、まだ引っ張るつもりのようで。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

ますます何でもあり、けれどツッコむ――『男子高校生のハレルヤ! 3』

今日は朝も比較的早く目が覚めて、昼間もそれほど眠ってはいなかった気がしますが、昼頃から眼精疲労が酷いのかかなり視界がおかしくなっています。  ~~~ 「主人公に対し(
プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。