オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
上手くいかないのは誰のせい
現在「アベノミクス」と呼ばれている政策ですが、金融緩和とか財政出動(公共投資)というのは過去にも政府と日銀がたっぷり行ってきたことです。その結果として今や日本の銀行預金の金利はないも同然、これ以上何を緩和するのかと思うくらいです。
それでも安倍総理の考えとしては、「まだ足りなかったから、十分な成果が出ていない」ということのようです。
引き際、という言葉が頭をよぎるのは気のせいでしょうか。
「今までが足りなかったから、もっとやればいずれ成果が出る」から「今までのやり方は間違っていたのだから、今すぐやめるべき」に転換するポイントはどの辺でしょうか。
少なくとも、『日本経済の奇妙な常識』の吉本佳生氏や『経済学の犯罪』の佐伯啓思氏は、今までの「構造改革」「金融緩和」「円高対策」の“成果”こそが現在の停滞だと見なしています(「実は「想定通り」なのではないか…(「間違っている」のは誰か?)」も参照)。
どちらが正しいか、という前に、一つの分岐点として、たとえばリーマンショックを「ひとごと」だと思うかどうかがあるのではないか、という気がします。
「ひとごと」というのは「対岸の火事」ということではなく、「日本も被害は被ったが、リーマンショックを引き起こしたのは“アメリカの問題”だ」という考えのことです。
リーマンショックが起きてからまだ5年も経っていませんから、「失われた10年」とか「20年」とかを全てそのせいにはできませんが、少なくともここ4年半のことに関しては「日本のやっていることは間違っておらず、このままなら上手くいくところだったのに、リーマンショックによって水を差された」と考えることも可能です。
――リーマンショックが起こったことに日本の責任がないとすれば。
しかし、たとえば「円高対策」として円を売りドルを買うことは、その買ったドルを運用することで、結果的にはアメリカの市場に大きな影響を与える行為です。
吉本氏は、それが少なくともリーマンショックの遠因の一つではあると考えています。
もしそうであるとすれば、これまでの「構造改革」「金融緩和」「円高対策」をさらに続けることはリーマンショックの原因を続けることであり、第2のリーマンショックを目指すことです。
そう考えるならば、それをこれ以上続けようとは思わないでしょう。
アメリカ発の経済危機は「われわれのなした問題」だと思うかどうか――まずはそこです。
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