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成長の場とはかくあるもの――『暗殺教室 3』

いつ頃から始まったのか定かではありませんが、同レーベルの中でも圧倒的に売れている本は一足早く新刊が出ることがあるようです。
これは大量の平積みで書店の限られたスペースを占拠することと関わりがあるのでしょうか、やはり。
先月も、文庫史上最多の初版80万部を記録したという『ビブリア古書店の事件手帖』の4巻は、公式でも一足早い22日発売(メディアワークス文庫の発売日は毎月25日)となっていました。

そして今日も書店を見ると、公式では4日発売となっているジャンプコミックスの内、まず『ONE PIECE』の新刊の大量平積みが目に付き、ついで、さすがに数は劣るものの『暗殺教室』でした。
もう『ジャンプ』を代表する作品に数えられるようになった、ということでしょうか。

暗殺教室 3 (ジャンプコミックス)暗殺教室 3 (ジャンプコミックス)
(2013/03/04)
松井 優征

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2巻では修学旅行で、他校の不良に渚の班の女子が攫われたところで引きとなっており、この3巻はこの続きです。
旅行から帰った後の後半では、E組を差別するほかのクラスの生徒に意趣返しをする話もありますが、いずれの場合も、殺せんせーの力も借りつつ、生徒達が「暗殺」の訓練で鍛えられた力を発揮し、頑張っているのが良いところです。
一方では「自らの個性た才能を活かすこと」、他方では「短所を補うこと」「他者と協力すること」が教えられ、描かれているのは「大人になること」に他なりません。

ちなみに、ラストではビッチ先生の師匠も登場、先生に関しても与えられた社会に馴染み、成長することが描かれるようです。

それから、この巻中盤のイベントとして、思いがけない転校生が登場。
ここは一つネタバレとして、以下追記に(一応、発売日前ですし)。


もちろん、この設定で新たに学校にやってくる転校生と言えば、当然暗殺者なのですが――



暗殺教室3-1

暗殺教室3-2
 (松井優征『暗殺教室 3』、集英社、2013pp.78-79)

けれども、こんな生徒でさえ、殺せんせーは受け入れます。
そして、暗殺という目的を果たすためにも、生徒として教室の一員になること――すなわち社会化することが重要なのを教えるのです。

このE組の教室は、こんな極端に癖の強い「生徒」をも一員として受け入れ、異質な者達がお互いをそれとして認めることのできる空間になっています。
タイプの近い生徒同士がグループになって、タイプの異なる者とは離れ、その間にヒエラルキーも存在する「スクールカースト」といった状況を考えた時、本来こんな空間で生徒達が成長することこそ学校の目的なのではないか――という理想を、『暗殺教室』は見せてくれます。

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テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

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教育に「上がり」はない――『暗殺教室 4』

特に品切れの本をAMAZONマーケットプレイスで注文すると、思ったのと少し違うものが届くこともあります。 まさにAMAZONというだけあって、言葉のよく通じない原住民と交換している気分
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