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メディアとは夢のごとく…?――『這いよれ!ニャル子さん 11』

学生が自らの興味関心や研究テーマに即して独自に勉強会を開き、授業よりもそちらでこそ勉強する……というのは良いことですが、打ち解けたメンバーで集まると、ついつい雑談で時間を浪費してしまうこともあります。
そもそもかつての京大では、教室に行っても先生が現れないことがざらで、3回目くらいでそろそろ来るのをやめようと思っていたら授業時間の終わり近くになってようやく先生が姿を見せて少しだけ喋っていった、などという話がありますから、これこそが“伝統に則った”あり方かも知れません。
とは言え、このノリを外に持ち出してはいけません。会議で一部の人たちが内輪の話で盛り上がっていたら、残りの人たちは時間を空費させられて、うんざりして去っていく可能性が高いですから。

 ~~~

さて、今回取り上げるライトノベルは『這いよれ!ニャル子さん』の新刊です。

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(2013/04/16)
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前巻のレビュー

今巻は電子書籍『GA文庫マガジン』に収録された短編2本を収録、後半は書き下ろしとなっています。
時系列の問題があり、短編は10巻でアト子が登場する以前の話なので、回想という形になっていますが、短編集であった7巻に比べると、短編の内容も若干後半のストーリーに(強引に)繋がっていたりします。

で、電子書籍掲載の最初がこれです。

「荘子は言いました。『メディアの違いを理解せよ』と」
「多分、一言も言ってないだろうな荘子」
 朝っぱらから目に痛いほどの銀髪を誇るのは、八坂家第一の居候であるニャルラトホテプ。遙か宇宙の彼方から真尋を、延いては地球の平和を守りにやってきたという建前で、本音は純粋に下心で地球滞在しているという宇宙人だ。
「何を仰います真尋さん。胡蝶の夢って有名な逸話がありましたでしょう」
「え、あれってメディア論だったのか」
「……私の独自解釈としてはそうなります」
 都合が悪そうに目を逸らす銀髪碧眼の自称美少女。
 (逢空万太『這いよれ!ニャル子さん 11』、ソフトバンククリエイティブ、2013、p.14)


もっとも、紙と電子書籍というメディアの違いが内容にメタ的に反映されているかというと、あまりそれは感じないのですが(むしろ、どうやったら反映できるのでしょうか)。

ただ、この「メディアの違い」はネタとしてはきっちり活用されています。
まず声優ネタの目立つこと。
そもそも、前巻でアニメ版の話を「違う世界線の話でしたか」と言っていたくらいですから、今回も同じようにしてネタとして取り込んで行きます。

 いったい真尋の周りにはどれほど平行宇宙の忌憶が紛れ込んでいるのだ。もしかしたら真尋の一人称が『俺』だったり、クトゥグアが猫舌のはずなのに熱々のたこ焼きを丸飲みしたりする世界線もあるのかも知れない。
 (同書、p.233)


前者(真尋の一人称が『俺』)はコミックアンソロジーのネタという辺り、何でもカバーしてきます。
以前からあとがきでは『這いよれ!スーパーニャル子ちゃんタイム』(こちらの3巻もこの原作11巻と同時発売)を絶賛する一方で他のメディアミックスには触れていないのですが、他はこういう形でフォロー(?)あるいは利用にかかったようで。
そして、上では胡蝶の夢とか言っていましたが、夢の世界ということでは幻夢境がありました。
この強引な繋がりは、終盤の割とシリアス寄りな場面まで引っ張ってきます。
平行世界に体現される無限の可能性、それはまさしく胡蝶の夢のごとく――

そして、この11巻のメインとなるのは――カラー口絵での扱いを見れば予想がつくのですが――地球人である真尋のクライメイト、暮井珠緒(くれい たまお)です。
アニメのオープニングではニャル子・クー子とともに主題歌を歌い、画面上でもやたらと目立っていた彼女でしたが、さて蓋を開けてみるとアニメ本編では、イス香の精神に憑依された彼女が活躍(?)する原作3巻の話も2話で終わりましたし、はてあの押しは一体何だったのかと……
今巻はそのアニメでの玉緒押しを引き受けた印象です。

アニメから逆輸入されたのが設定よりもキャラクターよりも、まずキャラの扱いであるとは……(推定ですが)
まさにメディアの違いは何を生むか分かりません。
これで珠緒は一気にストーリーにコミットし、恋愛面でも参戦してきた感じです(ついでに付け加えられた設定は、9巻で明かされた真尋の体質と同じで、これ以上深く考えるものではないのでしょうが)。

他方で、前巻で登場したアト子は(キャラの強さという意味でも、力関係という意味でも)強すぎたのか、仕事でふたたび八坂家を離れ、出番は少なめです。

とにかく、メディアミックスを利用したネタと珠緒およびイス香、そして夢の世界たる幻夢境の設定が強引ながら絡まり合ってストーリーになっているのには驚かされます。

ネタの密度は相変わらず。『仮面ライダーウィザード』の主題歌から「本気(Magic)か? 本気(Magic)で!? 本気(Magic)だ!!!!」ネタは3回くらい出てきます。同時発売の新作『ヴァルキリーワークス』のキャラクターの早速出演していました。



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ところで、

6巻 … クー子メイン
7巻 … 短編集(シャンタッ君の回あり)
8巻 … ハス太&ルーヒーがメイン
9巻 … 真尋メインと言っていいでしょう
10巻 … 新キャラ・アト子が話の軸
11巻 … 珠緒メイン

となると次は……また新キャラでなければ、真尋の友人の余市健彦にも可能性が?

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
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