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解決する、ということの問題――『俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録!? 8』

履修している授業の数が少ないと、場合によっては休日の前後も授業がなかったりで、連休の帰省もしやすくなります。
まあ持って帰れる文献の数は限られますけどね。重いですし。

 ~~~

今回のライトノベルはこちら。

俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録! ?8 (HJ文庫)俺がヒロインを助けすぎて世界がリトル黙示録! ?8 (HJ文庫)
(2013/04/27)
なめこ印

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前巻についての記事

と言っても、もう細々と語るような話でもないので、それほどのことは書かないと思いますが。
一応、前後編で7巻から続きとなっているので以下はネタバレということで。




この前後編の主題はまず、「終わってしまった物語」でした。
一つの「物語」がバッドエンドを迎えても人生は続きます。そこで何ができるのか……

まあしかし、ご都合主義に説得力を持たせるのが本作の魅せ所。
7巻の新ヒロインの一人・澪が未来からタイムスリップしてきたらしき様子だったおとから予想された通り、解決策は「過去に戻ってやり直し」という荒業です。
メタ的に様々な物語の歴史を繙けば、「やり直す物語」も存在するということです。
さすがにこんなことがそうそうできてはかなわないので、今回限りとなるよう設定されていますが。
しかも、まず7巻ですでに「妹と逃げる物語」でバッドエンド(妹の死)に陥っていたヒロインを登場させておいて、この8巻では他の物語まで救えずにバッドエンドになってしまったところでやり直しに踏み切るという構成と言い、「やり直す」能力を使うためにも他の物語と組み合わせる仕組みと言い、その辺も相変わらず巧みです。

他方で、澪は未来で災厄に遭って、タイムスリップしてきました。
彼女が遭遇する災厄は避けられたわけですが、しかし彼女は未来の記憶を持っている以上、その時に受けた彼女の心の傷は残っています。その意味で彼女の物語はまだ「終わっていない」(ハッピーエンドを迎えていない)わけです。
その辺もご都合主義というか、題材の重さからすればあっさり解決してしまうわけですが、そもそも「解決する」ということ自体が一様なものではないことを衝いているのは確かです。

その上で、過去を変えることにより前回は起こらなかった問題も発生します。
それによる戦いをクライマックスに据えて、物語として然るべきところで盛り上げてきます。


もう一つ、近年のライトノベルで流行り(あるいはもうピークを過ぎた?)ネタである「魔王と勇者」も登場します。
そもそも、1巻で烈火は異世界アブラアムに勇者として召喚され、魔王を倒したのでした。
そして、今回登場するのは数百年前にアブラアムに召喚された先代「勇者」でしたが、彼女――コロナは魔王でした。魔王が勇者として、別の魔王と戦う――これも探せばありそうなネタですが、今回のポイントはむしろ「召喚」ということにあります。
アブラアムの人々はよく精霊を召喚して使役しているのですが、今回烈火たちはその精霊たちの世界をも訪れます。そして精霊たちとしては、召喚され使役されることに不満を抱いているようで……

現実準拠の世界の人間が異世界に召喚されるという設定により、召喚される側の苦労を描いた傑作に竹本泉氏の漫画『ねこめ~わく』がありましたが、どこかそれを思わせる話です。

そして同時に明らかになるのは、召喚され使命を果たすべく用意された者などいない、ということです(考えてみれば、当たり前ですが)。
召喚される側にも生活があって迷惑していますし、「勇者」など、それらしき力のある者を無理矢理引っ張ってきて仕立て上げただけでした。烈火に至っては力すらなく、ただこういう事態に巻き込まれる体質だというだけです。
召喚されるのが人格的存在であれば当然、と言うべきでしょうか。

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プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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