オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
もちろん台湾は旧字使用
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連休に実家からこちらに帰る直前ですから、今週の月曜日だったでしょうか、TVで漢字を扱ったクイズ番組をやっていました。
書き順の問題にも色々と問題はあるのですが(書き順というのは文字を学習するための目安であって、違っていてもそれを不正解とするわけではないとはっきり定められているものですから、その正否をはっきりした正解のある問題の正答誤答と同列に扱ったとすれば、それ自体が間違いです)、気になったのはその後、「ろうそく」という漢字の書き方でした。
正解は↓で、「虫は三匹ようはねている~」とか何とか覚え方が述べられていましたが…
蝋燭
この「蝋」という字を見た時のえもいわれぬ違和感。
試しに漢和辞典を調べてみると、案の定、こちら↓の字しか載っていませんでした。
蠟
確かに「猟」は旧字体では「獵」でしたが、新字体で「猟」となったのでした。
しかしこの旧字→新字の変更は常用漢字についてしか行われていません。ですから、常用漢字にない「蠟」については適用されず、誰も「蝋」などという字を作った覚えはないのです。
ところがJIS規格において、文字の部品単位で新字が第一水準とされてしまったため、自動的に非常用漢字についても新字体ができてしまったのです。
変換できないと旧字を出すのに苦労するようになります(その辺の事情は以下の書を参照)。
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それでも、「摑む」「冒瀆」等については大抵のPCで変換できるためか、旧字を使っている人が結構見られますね(携帯電話――非スマートフォン――だと表示すらできなかったりしますが)。
「ろう」については、実は以前に経験がありました。
PCを使えない先生の原稿打ち込み作業をアルバイトで行っていた時、旧字の「蠟」に直すよう先生が修正を入れてくるのですが、あいにく普通変換して出すことはできないのです(探してきてコピー&ペーストしましたけれど)。
書けない漢字でもPCでなら出すことができる、あるいはPCを使っているから文字を忘れる、といったことはよく言われますが、逆に手書きならばいくらでも書けてもPCだと苦労する、ということもあるのです。
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漢字繋がりで、ライトノベルの台湾版の話の続きでも少々。
尖端出版によるライトノベルの中国語訳は、ページの左端に註(元ネタ等の解説)が載っているのですが、

台湾角川の場合は文中にカッコで註を入れていることが分かりました。

写真は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』冒頭部ですが、いきなり「校長の名前が藤原基経で、生徒会長が菅原道真、二年の学年主任が橘広相ですよーって書いておけばいいんじゃない?」(p.12)という台詞で「どれも日本の歴史上の人物の名前」と注釈が必要になっています。
別のところでは「人情と刃傷は日本語では同じ読み」とか言葉遊びを注釈しているところもあって、上手いやり方ではないのかも知れませんが苦肉の策を感じさせます。
ついでに、ページ右上にはフェンスの金網模様(イメージイラストでしょうか)とタイトルロゴが薄く印刷されています(ちなみに中国語タイトルは『說謊的男孩與壞掉的女孩』――「嘘つき少年と壊れた少女」です)。
表紙の質感なども含めて、割と贅沢な装丁ですね。
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訪問のほう遅れてどうもすいません