スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

漫画の海外翻訳の話

日本語で書いた論文の中で英語の文献を引用するならば、その英語文献の書名や著者名は英語で表記するのが普通です。
一般向け書籍、特に新書だと引用元の頁数まで小うるさく表記しないのが一般的なようですが、それでも巻末には文献表が載っていることがあります。

ではロシア語の文献を引用する場合はと言うと……やはりきんとやるなら、キリル文字でロシア語の書名・著者名等を表記するでしょう(だんだん普通のPCではフォントを出すのが難しくなってきますが)。
右から左に書くヘブライ語やアラビア語となると、少し困るかも知れません。

しかし、逆に英語(フランス語でも何でもいいのですが)で論文を書く時に日本語の文献を引用するとすると、書名や著者名はローマ字ででも表記しないとまず受け付けられないでしょう。だからここには引用の非対称性がある、と私は思っています。


日本の漫画を翻訳する場合、基本的に縦書きの日本語に沿って絵も右から左に進むものを横書きの言語に訳するという問題が出てきます。
絵を左右反転しているケースもありましたが、今では絵はそのまま、台詞だけを置き換えているのが一般的です。個々の台詞は左から右に書かれるので全体では右から左に流れるのは不自然ではありますが、読む方が合わせろということでしょう。
まあ、縦書きの台詞に合わせてフキダシも縦長なので、そこに横書きの台詞を入れると文字が小さくデッドスペースが多くなりがちという問題はありますが。

問題は写植(活字)ではない手書きの文字です。
『週刊少年ジャンプ』など日本語版とほとんど同時に英語版も出ているようですが、これは英訳されているのは写植部分だけで、書き文字はそのままです。まあ、そうでなければ作業工程が間に合わないでしょう。

単行本となるとさすがに、書き文字が英語に書き直されているのが普通になります。

さてそんな中、ちょっと変わったものを手に入れました。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』コミカライズ版『とっておきの嘘』のドイツ語訳です。
タイトルは「Precious Lies Lying Mii-kun and Broken Maa-chan」とすべて英語ですが、中身はドイツ語です。なぜかドイツ語にだけ訳されているようです。

Precious LiesPrecious Lies
(2012/06)
Hitoma Iruma、Atsuki Satoh 他

商品詳細を見る

元々のコミカライズ(↓)はなかなか素晴らしい出来だったのですが、一部映画版に準拠しており原作1巻分限定だったのが惜しまれます。

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘 (角川コミックス・エース 317-1)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘 (角川コミックス・エース 317-1)
(2011/01/07)
佐藤 敦紀

商品詳細を見る

それはさておき、台詞は当然普通に独訳されていますが……

precious lies3
 (Hitoma Iruma/Atsuki Satoh, Precious Lies, Köln, Egmont, 2012, p.28)

折衷的と言いますか、日本語の書き文字(「ジャッ」「バタン」)はそのままで、そこにアルファベットの擬音(「TAP」「KLAPP」)が添えられているのです。ちなみに、このアルファベットは全て手書きではなく活字です。

precious lies1
 (Ibid., p.6)

ただし、「ふら…」等の擬態語は元の文字をを消してありますが。

precious lies4
 (Ibid., p.13)

参考:日本語版の元絵↓

とっておきの嘘
 (入間人間/佐藤敦紀『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん とっておきの嘘』、2011、角川書店、p.13)

以下の箇所は元々活字ですが、縦書きの垂れ幕を横書きに書き換えることは難しかったためか(さらに「祝」と「悦」を間違えるという翻訳困難なネタが混じっているせいか)、文字はそのままで、コマの下に注釈が入っています。

precious lies2
 (Precious Lies, p.11)

ちなみに決め台詞「嘘だけど」は「Das war gelogen」。現在形の「Das ist gelogen」は辞書にも載っている決まり文句です。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。