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ますます何でもあり、けれどツッコむ――『男子高校生のハレルヤ! 3』

今日は朝も比較的早く目が覚めて、昼間もそれほど眠ってはいなかった気がしますが、昼頃から眼精疲労が酷いのかかなり視界がおかしくなっています。

 ~~~

「主人公に対し(読者・視聴者には見え見えの)好意を抱いているヒロイン」と「それに気付かない鈍感主人公」というのは漫画・アニメ・ライトノベル等のラブコメでは定番のパターンです。
ヒロインの好意が明確であればこそ、それを微笑ましく思ったりやきもきしたりしながら楽しむことができ、他方で主人公がただちにそれに応えないことによって、すぐに解決させずに物語を様々に展開させられるわけです。
ただ、この「鈍感」は場合によっては、かなり不自然に見えるのも事実です。

しかしさらに考えてみると、なぜ不自然なのでしょうか。
現実には、「彼女は自分のことが好きなんじゃないか」と思ったら勘違いだった、なんて話は珍しくもありません。だからこそ逆に、そう思っても内心で打ち消してしまうこともよくあります。気持ちなど、そうそう分かるはずもありません。
これはおそらく、「コミュニケーションは完璧であるべき」という前提があるからでしょう。この前提は斎藤環氏が「人間と違い、キャラのコミュニケーションは完璧である」と述べているのに対応します。
そのような前提の下で読まれるべく、専用の文法を築き上げてきたのです。

逆に、そのような文法をもって、登場人物が相互に無理解や誤解を抱えたままで進行する物語を見ると、その間抜けさに呆れたり苛立ったりすることもあるわけです。

 ~~~

さて、そんな話が前置きとなっているかは微妙なところですが、本日取り上げるライトノベルはこちら、『男子高校生のハレルヤ!』の3巻です。

男子高校生のハレルヤ! 3 (GA文庫)男子高校生のハレルヤ! 3 (GA文庫)
(2013/05/16)
一之瀬 六樹

商品詳細を見る

 (既刊のレビュー:1巻 2巻

前巻の引きを受けて、今巻の舞台は南の島です。
1巻は終盤でいつの間にか異能バトルになり、2巻ではすっかり異能の存在を既成事実として、異能を持つ後輩の少女を巡る話を展開していた本作ですが、この3巻では舞台となる島に超古代文明の遺産があるとか、さらに何でもありになっています。

主人公たちの目的はユリウス女学院を共学化することですが、1巻の戦いで損害を出してしまったため、まずは資金が必要、それゆえ夏休みにはアルバイトをする……はずでした。
そのアルバイトと称して、南の島で宝探しに連れて来られていたのでした。
しかも、この島はゲーム化されています。ゲームの世界に入る話は今や珍しくありませんが、本作の場合は電子データではなく正真正銘3次元の世界で、モンスターやらアイテムやらを実体化させる驚異のテクノロジーによるものです。

これも全てはあの厄介な先輩・有栖川マロンの仕業……のはずなのですが、読者にはプロローグでも情報が与えられていますし、マロンの仕業ではない、この島に元よりあったものが介入しているらしいことは想像が付きます。
そして、真理たちも中盤でその辺は察しています。この辺がテンポのいいところでしょう。
こう何でもありになると、初期のように世界観レベルでツッコミを入れる段階でもなくなりますし、受け入れるべきことを的確に押さえた上でおかしいことを指摘するのがツッコミキャラの仕事です。
そして実際、真理はちゃんとハリセンを武器にツッコミで戦っていたりするのです。


ただ、夏休みで南の島と来れば水着回であり、彼らに水着を着せたがるマロンの存在というお膳立ても整っています。女装男子たちの水着がどうなるのかは気になるところでしたが……

男子高校生のハレルヤ!3巻 1
 (一之瀬六樹『男子高校生のハレルヤ! 3』、ソフトバンククリエイティブ、2013、カラー口絵)

結局、描かれたのは口絵のみでした(しかも、男二人は後景に小さく描かれているのみ)。
本文中で水着になっている場面があるのは真理たちのクラスメイト(女子)の北見瑠夏のみ、彼女のイラストはモノクロ1枚きりです。

女装男子のセクシュアリティとか、そういう点にはどうも縁がないようで。真理が魔法少女のコスチュームを着せられたりはしましたが。

もう一つ、イラストと構成の両方に関わるよく分からない点が。

男子高校生のハレルヤ!3巻 2
 (同書、pp.6-7)

なぜか本文冒頭で見開きを大きなフォントを使ってこんな場面が入った後、まったく別の場面でプロローグが始まります。
この巻では中盤まで登場しない祐紀がここで描かれていると言えばそうなのですが、このカットがそこまで重要とは思えないのですが……

しかし、前巻ではマロンに嬲られたりと散々な扱いで、今回も後半になってようやく合流する祐紀ですが、終盤では活躍します。少年漫画主人公風の熱血バカである彼の暴れぶりが爽快なこと。もちろん、真理もちゃんと一緒に活躍します。
そう言えば、フォントの種類や大きさを変えるのが今までに比べると目立たないと思っていましたが(ゲームのメッセージ表示をそれらしく枠で囲ったりする表現はありましたが)、それも終盤への溜めだったのかも知れません。


もう一つ、気になる一節がありました。

 だからといって、真理も桜を女ではないと思ってはいない
 (同書、p.118)


桜の性別は、真理の視点で正式には明かされていなかったはずですが、どこまで分かっているのでしょう(そもそも、めったに話題にすらならないのでいずれでも問題もなかったのです)。
「思って」であって、「知っている」でないのが味噌なのでしょうか。

さて、こういう話の場合、結局宝は失われて徒労、というのもよくあるパターンですが、本作ではちゃんとお金を稼ぐのには成功します。真理としては憧れの先輩である雨宮ソラが留学から帰ってくる来年度までに共学化を成し遂げたいという中で、ちゃんと物語は進行しているようですね。
その雨宮先輩、1巻から只者でない言われていながらここまで登場せず、詳しいことは分からなかったのですが、次巻への引きとなる後日譚の部分でついに登場。次は彼女が波乱を引き起こすようです。

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愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
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