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問題含みなのは謎の物体か人間か――『つきたま 2 ※ 公務員のお仕事楽しいです』

↓この作品は、1巻が出た時にはリアルタイムで読んでいたのですが、2巻は発売されてから2ヶ月以上放置してしまいました。

つきたま 2 ※公務員のお仕事楽しいです (ガガガ文庫)つきたま 2 ※公務員のお仕事楽しいです (ガガガ文庫)
(2013/03/19)
森田 季節

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 (1巻レビュー

1巻のラストは、主人公が課長補佐により大きなプロジェクトに参加させられてしまう、というところで引きとなっていましたが、むしろ主人公としては大きなプロジェクトに賭けて出世するよりも安定が欲しいわけで……
というわけで、1巻以上に目立ったのが地の文で「安定」を強調する主人公です。

「みんなの期待する通俗的イメージに応えている」感が露骨です。

職場の倒産やリストラのリスクが低いのも、勤務時間や手当ての面で恵まれているのも事実ではあるのでしょう。
しかしだからと言って、そればかりが公務員という仕事の特徴であるということにはなりませんし、ましてや当人がかくも出世や成功よりも安定を重んずる人間であるかどうかは話が別です。
窓口業務の話などは、職業を取り上げた小説ならではのもっともらしさがありましたが、この点に関してはむしろわざとらしいというか、むしろカリカチュア的なものを強く感じます。

さて、1巻ではつきたまという、ただぷにぷにしているだけのものが見る者次第で様々な意味を持ってしまう様を描いていましたが、この2巻ではつきたまの意外な生態(?)も描かれます。
「捕食」する場面はなかなかに衝撃的でした。

しかもそれは、今まで一般には知られていなかったことであるにもかかわらず、つきたまに好かれ、つきたまと密着して生きているエナやマノたちは不思議とも思わず受け入れていることでした。

 本当につきたまは食料を吸引する(食べる?)のだ。
 それがあまりにもどうでもいいものだったり、量が少なかったりして気づかなかっただけなのではないか? つきたまも何らかの目的で捕食行為はやるのだ。
 いや、素直に納得していいのか……? いくら地味とはいえ、食事をするかどうかなんてことは、研究の初歩も初歩だぞ。どのつきたまでもやってるなら解明されているはずだ。
 (森田季節『つきたま 2 ※ 公務員のお仕事楽しいです』、小学館、2013、p.150)


知っている人には当然であることが、主題的に解明しようとすると見えなくなることもあります。

他方で、この巻では自称・魔法少女の薬師寺エナの妹・カナが登場(表紙向かって右)。
つきたまについても色々なことを知っていて、何か企んでいる様子の彼女はまったく謎に包まれています。
得体の知れないのは人間なのかつきたまなのか、「どうとでも意味が取れる」ことと客観的に解明可能な謎はどちらが問題なのか――と、今後どちらに転ぶかによって印象が変わってきそうです。

ただ――この巻の山場は鈍感な鶴見が女の子の気持ちを汲めず、エナを怒らせるというきめわて定番のラブコメ展開です(そこにつきたまの起こす謎の現象が関わっているので、大事になりかねないという事情はあるのですが)。

 すごく独特の感性を持った人が、「もっと多くの人に受け入れられるものを!」などと考え、新作を発表するとものすごく凡庸で既存ファンまで離れてしまうということが間々ある。
 (p.139)


↑この文章が自虐なのかどうか分かりませんが、ネタやテーマは独特の面白いものを持ってきながら、肝心のところで「ものすごく凡庸」なベタを持ってくるのはなぜかというのは、この作品にも問いたいことです。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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