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現代の人間と異世界の人間、どちらがメインになるか――『扉の魔術師の召喚契約』

我が家のプリンターは、どうもB5用紙には自動両面印刷できないらしいのです。
そういう旨の表示が出ました。

A4用紙ならば問題はないのですが……どうも紙の面積を損している気がします(小さくも問題ない場合)。

昨年末頃から読書メーターにも登録しています。月ごとに自分の読書データをまとめることもできるのですが、読書メーターのまとめをブログに貼る場合、読んだ本の一覧が結構長くなるのですよね……ついでに貼るには邪魔な気しますが、更新のネタがない時にでも貼るかも知れません。

 ~~~

今回取り上げるライトノベルはこちら。

扉の魔術師の召喚契約<アドヴェント・ゲート> -その少女、最強につき- (HJ文庫)扉の魔術師の召喚契約<アドヴェント・ゲート> -その少女、最強につき- (HJ文庫)
(2013/01/31)
空埜一樹

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先日2巻↓が発売されたのに、今のところ1巻しか読んでいない状態で記事を書くのは少し折が悪い気はしますが(私の場合、記事の主題として取り上げる時には、既刊は一通り呼んでから取り上げていることが多いのです)……まあいいでしょう。

扉の魔術師の召喚契約<アドヴェント・ゲート>II-幻奏の歌姫- (HJ文庫)扉の魔術師の召喚契約<アドヴェント・ゲート>II-幻奏の歌姫- (HJ文庫)
(2013/05/31)
空埜一樹

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本作は異世界召喚物で、現代日本の女子高生・雛菊アヤメが魔法で異世界に召喚されるストーリー……なのですが、問題はこのアヤメが、魔法もドラゴンも素手で叩き潰す強さであるということです。
彼女の血筋に何かあるとのことで、つまり、「現代日本」の方にもファンタジー的な設定があったわけです。それはまあ理解できるとしましょう。

異世界召喚物ということは、召喚される人は現実準拠の世界の住人であり、つまり読者に近い立場です。その視点から未知の異世界を描くことで、読者をその世界へと導入するのがセオリーでしょう。
実際、本作は冒頭2ページ程、アヤメが現代日本で友達と話したりして過ごしている様が描かれ、3ページ目にして召喚される展開になります。

しかし本作の場合続けて、召喚した魔法世界の住人がアヤメの強さに驚く展開に移ります。
ここでは召喚者、ロイ=シュトラスにとってアヤメの方が未知の驚くべき存在ですし、読者にとってもそうです。

そのため、本作、特に前半はアヤメ視点とロイ視点が頻繁に切り替わります。
これは説明の理路からすれば正当ですが、どうも折衷的な印象が否めません。
そして、この折衷的な印象は全体を貫いています。

そもそも、ロイは天才と言われる魔術師ですが、それゆえに周りの人間は自分の力や肩書きばかり見ており、かつて付き合っていた彼女にもそんな目で見られていたので女性不信になって、異世界から女の子を呼び出して恋人にしようとした、というのです。

ただ、そう言っている割には彼の数少ない友達は美少女ですし、また学院の生徒会長(これも美少女)にも明らかに気にかけられています。

魔法で強引に――相手のことなど考えずに――恋人を作ろうとして成功させてしまう主人公(しかし、実は元々結構モテている)という設定は、『恋人にしようと生徒会長そっくりの女の子を錬成してみたら、オレが下僕になっていました』とも通じるものがありますが、『恋人錬成』の主人公が基本的には基本的には冴えない劣等生で、しかも恋人を作るために安易に禁忌を犯すほどきわめて軽率な人物だけれど、実は特殊な才能を持っていてそれゆえに人体錬成をも成功させたのに対して、本作のロイはあらゆる面で優秀という設定で、戦闘には知略の要素も入ってきます。
もちろん、本作での異世界召喚は別に禁忌でもありません(過去に成功例は1件しかないとの、高度な魔術ではありますが)。
しかし、相手のことを考えず恋人にするため異世界から女の子を呼び出すという考えはやはり安直ですし、そもそも実際には彼自身のことを気にかけてくれている女の子達が回りにいることも考えると、“天才ゆえの孤独な自分”に酔って現実が見えていないのではないか、という疑念も湧いてきます。

お互い並外れた力ゆえに浮いた存在であったロイとアヤメが互いに惹かれて行く恋愛は微笑ましいものですが、前向きで爽快なアヤメと比べると、ロイが勝手に孤独な自分とか人間不信を気取っているのがいっそう目立ちます。
いや、だからこそそんなロイがアヤメによって新鮮な風を吹き込まれ、惹かれるということならそれも良いのです。
ただ、そもそもロイの「天才ゆえの苦悩」なるものが、記号的で取って付けたような印象があるのです。

計算違いで元の世界に帰れなくなったと聞いてもすぐに気持ちを切り替えて「他の方法、考えよ?」と言うアヤメは実にサバサバして気風が良く、痛快な性格で、魅力的なヒロインです。
もちろん、こんなにも前向きで、命を懸けた戦いでも自分の力を振るえることを単純に喜んで覚悟を決める彼女も、十分にあり得ない人格です。ただ、そこに単純ながらも明瞭な筋が通っているので違和感なく魅力が感じられます。

結局、本作の売りはと言えばアヤメというヒロインであり、彼女が常識外れの力を振るって魔法もドラゴンも蹴散らし、周りが唖然とするというコメディでしょう(その意味で、本作は真面目にやっている戦闘シーンまで含めてコメディです)。
しかし他方で、男の主人公がいて美少女たちにモテるというライトノベルの定式に当て嵌めてもいる――だから折衷的なものを感じるのです。
ライトノベルの通例さえ気にかけなければ、アヤメが主人公でいい気がします。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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