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ゾンビが跋扈している…

学問の世界にも「ゾンビ」がいます。
つまり、間違いを指摘されても、そもそもその指摘を理解できない人には意味がありませんから、本来「死んでいる」はずの考えがいつまでも生き残るのです。

もちろん、どこの学会にも変な人はいますし、一人や二人基本のなっていない人がとんでもないことを主張していたところで、どこにでもあることと言う他ありません。
ただ、それに同意する人が一定数存在して、影響力を持つとおかしなことになってきます。

以下の本は、まさにそんな話です。

ゾンビ経済学: 死に損ないの5つの経済思想ゾンビ経済学: 死に損ないの5つの経済思想
(2012/11/08)
ジョン クイギン

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本書で取り上げられる「ゾンビ」――つまり「実はもう死んでいる経済学説」は以下の5つです。

● 大中庸時代:一九八五年に始まる次期は、前代未聞のマクロ経済安定の時期だったという発想
● 効率的誌上仮説:金融市場がつける価格はあらゆる投資の価値に関する限り最高の推計なのだという発想
● 動学的確率的一般均衡(DSGE):マクロ経済分析は、防疫終始や債務水準といったマクロ指標的などを気にすべきではなく、個人の行動に関するミクロ経済的モデルから厳密に導かれるべきだという発想
● トリクルダウン経済:金持ちにとって有益な政策は、最終的には万人の役に立つという発想
● 民営化:いま政府が行っているあらゆる機能は、民間企業のほうがうまくこなすという発想
 (ジョン・クイギン『ゾンビ経済学 死に損ないの5つの経済思想』山形浩生訳、筑摩書房、2012、p.13)


先に言っておきますと、本書の若干の難点は訳者もあとがきで表明している通り、まず以下の点があります。

 不満はある。ゾンビというからには、墓場から蘇った後で華々しく活躍してほしいところだ。通常のゾンビ映画では、ゾンビ役は映画の始まり時点ですでに墓場に入っている。遅い場合でも、タイトルバックか最初の一〇分で墓場におさまり、そして三〇分後に墓場から出てきて、一時間くらいは仲間を増やしたり悪役や女の子を襲ったりして愛嬌をふりまくのが定石だ。
 ところが本書では、こうした思想の死はほぼすべてが二〇〇八年金融危機で、誕生から死ぬまでが各章の九割をしめる。その後の復活編はどこかのブログに言い訳がましいことが書かれているとか、論文が一本くらい出たとか、そのくらいに留まり、全体のわずか一割だ。あんまりゾンビとしての活躍がない。ゾンビ思想というよりは、ゾンビになりそうな経済思想というほうが正しいかもしれない。
 (「訳者あとがき」、同書、p.286)


ただし、上の5つの中に現在の日本でも政策決定に当たって幅を利かせているものがあることを考えれば、「ゾンビ化している」ことの証明としては十分かも知れません。
そして、この本の議論を突き付けたところで、政策を実行している者達は考えを改めはしないでしょう。
そもそも、本当に信じて実行しているとも限らないのです。たとえば「トリクルダウン経済」の場合、それを信じているわけではなく、実は自分たち金持ちを優遇するのが最初から目的ということはないでしょうか?

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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