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SF的ガジェットは何のため――『おねえちゃん再起動!』

なんと珍しいことにスーパーで売っていました。臭いことで知られる「果物の王様」ドリアンです。

ドリアン

というわけで買ってきてしまいました。3980円
大きさを考えれば妥当な価格にも思えますが、まあ切ってみてどれだけ食べるところがあるかにもよります。

まず最大の問題は、いつ熟すかですね。
熟したかどうかの見分け方は調べれば分かりますが、今実家にいるんですよね。京都に戻るまでに味わえるかどうか。

 ~~~

それはそうと、今回取り上げるライトノベルはこちらです。

おねえちゃん再起動! (一迅社文庫)おねえちゃん再起動! (一迅社文庫)
(2013/07/20)
佐々宮 ちるだ、いわさき たかし 他

商品詳細を見る

主人公・曳馬絢斗(ひくま けんと)には10歳年上の双子の姉・雪音(ゆきね)朱音(あかね)がいましたが、10年前に死んでいました。
それがある日、天才科学者であった祖父・永源(えいげん)の置き土産として戻ってきます。
それも、一つのボディに二人の人格を宿した二心一体のロボットとして……

まず、(少なくとも形式的には)「妹」が隆盛を誇るライトノベルにあって「姉」がメインというのが一つのポイントでしょう。

二人の姉が世を去った時には絢斗が7歳でした。
10年のブランクを経て、歳の離れていた姉が実質年齢は同じになっているけれども、姉たちの頭の中では絢斗はずっと小学2年生のままです。
「姉」の一番基本的な特色「年上である」ということを活かした設定で、この目の付け所は良いですね。

また、顔は同じだけれど性格の違う(髪の色も)双子で、それが同じ身体に宿って交替するという二重人格を思わせる設定も面白いところです。

が、疑問点も多い作品です。
まず、序盤から「死者は生き返らない」というフレーズが見られます。
死者の人格を機械に移すというのは本当に蘇らせたことになるのか、それとも単に機械が故人の「真似をしている」だけなのか……

もちろん、こういう問題については様々な考え方があり得ます。
そもそも、まず大問題は「人格の移植」が原理的にできるかどうか(現代の技術でできないのは当然ですが、そうではなく将来科学技術が発達してもできるようになる可能性があるのかどうか)である、という主張もありです。
そもそも、前提として「人格の移植」が成功したと前提するならば、そこですでにして故人の人格の本物が存続していることはすでに結論されているわけで、そこでその人格が本物の故人かどうかを問うことには意味がない、と。

そして現実にどの考え方が妥当かを問うことも当然できるのですが、ただフィクションとしては、どんな設定であれそうと設定したならそれで良いのです。
ただ、設定は筋を通さねばなりません。
たとえば、幽霊の登場する物語の中で、他方では「霊など存在しない」という唯物論の主張が正しいものとして扱われていたら、誰も納得しないでしょう。

しかし本作では、上記のような「故人の人格を宿したロボットは本物か」という疑問が終盤のシリアスな場面で投げかけられながら、有耶無耶にされてしまった感があります。
仮に、この問題に関しては容易に答えを出さず、2巻以降でも悩ませる予定だとしても、(そもそも一迅社文庫では2巻が出ない率も高いということは別問題としても)問いだけ投げかけてそれきりというのは1巻でのまとまりとしてバランスが悪い印象は否めません。

これは構成全般について言えることです。
300ページ強の1冊の中で、復活した姉の正体が判明するのが全体の4割過ぎ、定番の展開として姉が絢斗の学校に転入してくるのが8割過ぎたところで、転入後の学校内でのイベントはほとんどなし、しかもその間に祖父・永源の弟子である天才少女が暴れる展開にかなりのページを割くというのは疑問なしとはできません。

果たしてこの作品においてSF的なガジェットは、姉をヒロインにしたコメディをするためにあるのか、それとも生と死について問うためなのか、はたまた珍発明でドタバタを起こすためにあるのか……結局、そこにあらゆる方向性を詰め込みすぎてまとまりのなくなった感を抱いてしまう作品でした。

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テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

No title

>ドリアン

身体を張って真実を追求しようとするその態度に、哲学の徒を志した者としては最大限の敬意を払います。

わたしは二の足を踏んでしまう……。

食されたら、ぜひ「生の哲学」としてレビューお願いします。どの店でも見たことないし、4000円もするんなら払えないし……興味津々であります。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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