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これが男らしさ、なのか?――『男子高校生のハレルヤ! 4』

今回取り上げるライトノベルはこちら、『男子高校生のハレルヤ!』の4巻です。

男子高校生のハレルヤ! 4 (GA文庫)男子高校生のハレルヤ! 4 (GA文庫)
(2013/09/17)
一之瀬 六樹

商品詳細を見る

 (前巻の記事

前巻ラストの引きで真理の想い人・雨宮ソラが登場し、今回は真理の家に泊まり込んでいる彼女が引き起こす騒動から始まりますが……まあ、彼女が不穏な企みをしているのは予想の範囲内。
そもそも真理は「白いツメエリの男子制服を着た自分の姿」をソラに見せるべく、ユリウス女学院の共学化を目指して頑張っていたのですが、彼が現在女装してユリウス女学院に通っていることは、隠しているつもりでもソラにバレていました。
その上でソラは、真理を女にすることを狙っていました。

「中学の頃のあなたをずっと見てたから、わかるよ。あなたはどこへ行っても男子にはなれない。かといって、女子校にいても仲間を認めてもらえない。でもあなたは優しいから、そのことを決して誰かのせいにはしない。その代わりそんな曖昧な自分を、誰よりもあなた自身が許せないんだ。――だから真理、私があなたを、助けてあげる」
 心が、不意を突かれたように固まってしまった。
 自分の人生を振り返ってみると、先輩の言っていることの意味がわかる気がしたからだ。
 男子からは女子扱いされ、かといって堂々と女子の輪に混ざることもできない、そんな自分。
 もっと男らしくなれていたら、もっと背が高かったら。
 そう思い続けてきた自分の人生にこびりついた矛盾は、正真正銘の男ではなく、正真正銘の女になることで確実に解消されるだろう。
 (一之瀬六樹『男子高校生のハレルヤ! 4』、ソフトバンククリエイティブ、2013、pp.76-77)


その上、想い人は結局「女としての自分」を求めていたのだとしたら、学院の共学化という当初の目標も見失われてしまいます。

同時に学院では「変態男子」出没の噂が飛び交い、学内の意見は一気に共学化中止に向かいます。
真理はそれに抵抗する動機を見失っていますが、そんな中、桜が共学化実現に向けて戦うことに……

そもそも、本作の主役たる女装男子3名は、女装しながらも「男らしさ」を目指していました。
真理は今まで男と見られてこなかった自分を男としてアピールするために白いツメエリの制服を求め、裕紀は強い男、最強の剣士を目指して、鬼瓦萌子と再戦するために女装してユリウス女学院に入り、そして桜は最初から「女装男子を自称しつつ実は女」疑惑が濃厚ながら、男としての自分を主張しようとしていました(性同一性障碍でもなさそうなので、詳しい事情には不明点がありますが)。
しかし、「男らしさ」とは実は幻想なのでしょうか。

たしかに、「外的事情には左右されない自分」なるものはそれほど確固としたものではありません。外からの扱いによって自己が形成される面は大いにあります。
ですが、性別がそこに還元されるものなら、性同一性障碍という問題は存在しないでしょう。

たとえ周りからなかなか男と見なしてもらずとも、自分なりに貫ける「男らしさ」があります。

「それに裕紀は、もう女の格好をしててもしてなくても、自分は男だって胸を張って言えてる。正直、僕は裕紀が羨ましいよ」
 (……)
「オレは、馬鹿だからな」
 やがて裕紀が、そう言った。
「全て自分の中だけで答えを出して、それで納得してしまう。それが果たして正しいのか、間違っているのか。そんなものはいくら考えてもわからない。ただ自分に見えた一本の道を、信じるままに進むだけだ。……だが、真理、お前はそうはいかんのだろうな」
「……」
 真理は前を向いたまま、黙ってそれを聞いていた。
「そんなお前を、オレは時々羨ましくさえ思う。だから真理。オレのように生きろとは言わん。お前はお前が納得いくまで悩み、そして答えを出せばいい。お前がそれができるヤツだということは、オレが一番よく知っている」
 (同書、pp.85-87)


そして、そんな真理に惹かれる者たちも確かにいたのです。

今回はバトル担当の裕紀の活躍は控え目(まあ、前回に爽快な活躍を見せましたし)で、桜が頑張り、終盤の山場で真理が助けに駆け付けるという展開でした。上記のテーマと合わせて、締め括りに相応しい内容でしたね。
また、2巻で登場した異能を持つ後輩・音無蕾花もその能力と毒舌で意外な活躍を見せます。

締め括り――と書いてしまいましたが、あらすじには「白きツメエリをめぐる男子のバカ騒ぎ、決着なるか!? な第4弾!!」とあって、最終巻なのかどうかは微妙な書き方でした。
あとがきによると、しばらく「お休み」で次は新シリーズを刊行する予定だけれど、続きはあり得るとか。
ストーリー的にも一段落し、1巻から仄めかされていた桜の本当の性別の件もほぼ判明しましたし。

ただし……あとがきの後に「After School」と題されたパートが入る構成も相変わらず。予想の斜め上(下?)を新たな騒動が起こります。
いつも通り次巻への引きとも取れますし、「これからもこの通り、同じようなバカ騒ぎが続く」というエンディングにも見えないことはありませんが……はてさて。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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