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谷山浩子註解(2)

研究発表の原稿を書いていると、やはり気になるのは分量です。
4章構成の内1章だけでこれだけの量になってしまって、この調子だと発表時間に収まりそうもないから……等と考えながら書いています。
早めに書き上げて、追って整理しつつ圧縮するという手もある、と言うかその方が良いのですが。
もっとも他方で、まだ修士論文の中間発表であり、発表までの日数が少ないこともあって、リファレンスはあまり詳細に書きすぎないで、論文として完成させるに当たって足せばいい(特に発表で質問を受けたようなところを)という考えがあるのも事実。それでも長いとなると…悩みますね。

 ~~~

以前に谷山浩子氏の歌「カントリーガール」を取り上げたことがありましたが、あれは彼女の歌としては比較的普通の方でした。
彼女は本当に意味不明の歌でも知られています。「まもるくん」等も有名ですが、今回はこれ、「かおのえき」にしてみましょう。



かおのかたちの かおのえき
どこが口やら 眉毛やら
誰もわからぬ かおのえき
どこが改札やら 線路やら


初っ端から訳が分かりません。

「かおのかたちの かおのえき」というと、イメージとしては地面に巨大な顔(あるいは、そのような地形)があって、そこが駅になっているような感じでしょうか。それとも、(上の動画でもそうなっているように)建物が顔の形なのでしょうか。
ところが、「どこが口やら 眉毛やら 誰もわからぬ」のです。本当にそれは顔なのでしょうか。
さらに「どこが改札やら 線路やら」で、「いつかはどこかに行けるかも」、つまり今のところどこにも行けていないのです。もはや駅でもありません。
「かおのえき」はもはや「かお」でも「えき」でもない。かくしてこの歌詞はわれわれを宙吊りにします。

「まもるくん」でもそうですが、「これは何なのか」と問うても仕方ないでしょう。それは連載漫画の今後の展開や物語の中核に関わる伏線を「どうなる?」と話すのに似ています。そんなことは、いずれ作者が明かしてくれるはずの事柄です。
もっともこの場合、「いずれ作者が明かしてくれる」のとは対極で、歌詞はもう完結しており、これ以上判明する可能性はありません。ただ、「何なのか」と問うても合理的な答えがないことは明らかで、それを鑑賞者が話し合っても雑談に留まることは共通しています。

にもかかわらず、この「かおのえき」に関してはっきりしているのは、ここには人々が行き着くけれども出られず、「人がたま」っていく一方であることです。それはまるで迷宮のようなイメージです。
かくして人は「橋をかけ」、「種まき」、「町ができる」のです。
町に駅があるのではなく、駅に町ができるというのも奇異ですが……
迷宮に閉じ込められながらも人はたくましく生きている、と言いたくなりますが、しかしそれは顔が「クシャミ」をすれば吹き飛ぶ危うい繁栄です。

そして最後は「あなたの後ろに 迫り来る」……ホラー的なオチですが、しかしそれまで人々が(何か間違って)辿り着く場所であった駅が「迫り来る」とはこれいかに。
私達はいずれ誰もが「かおのえき」に行き着くのでしょうか。それとも、すでに「かおのえき」に到達してしまっているのでしょうか。どこにも逃げ場がなく、全てがいつ吹き飛ぶとも知れない「かおのえき」に……
そこから「かおのえき」が何かの隠喩であると言うのは、無用のことでしょうが。

ちなみに、この歌はアルバム「花とゆめ」に収録されていますが、作者コメントがまた素晴らしい。

「骨の駅」「空の駅」と駅のつく歌が2曲あったので、もう一曲作って三部作にする!
とライブの本番中に宣言したのが、これを作ったきっかけです。
お客さんにアイディア募集しておいて、結局自分で考えたのを採用しましたが、
最後まで「これにしようかな」と迷ったお客さんの案が「最寄の駅」。難易度が高すぎて断念しましたが。


「最寄の駅」の方が難易度が高いという感覚がまた想像を絶しています。


同アルバム収録曲だと、「しっぽのきもち」等はNHKの「みんなのうた」で放送されたので知名度が高く、また比較的穏当な内容ですが、作者コメントはこちらもなかなかです。

「好きな人といつも一緒にいたいから、しっぽになりたい」
なので、人間のしっぽのつもりだったのです。作った時は。
でもアニメーションが猫のカップルだったので、猫のしっぽになりました。
何のしっぽでもOKOKです。


「人間のしっぽ」と当然のように言う辺りが――



花とゆめ花とゆめ
(2012/04/25)
谷山浩子

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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