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魔法も電子データで――『聖絶のラングエイジ』

今回取り上げるライトノベルはこちらです。

聖絶のラングエイジ (スーパーダッシュ文庫)聖絶のラングエイジ (スーパーダッシュ文庫)
(2013/09/25)
星住 宙希

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舞台は「科学により魔法というシステムが解明され」(p.16)、「魔導科学」が広く実用化された世界で、主人公の本条秋継(ほんじょう あきつぐ)は、軌道エレベーター上にある「魔科学都市バビロン」にある「魔導技術攻究養成校」の学生です。
物語も、冒頭こそ秋継が地上でチンピラと戦ったりしていますが、その後はほぼ全編バビロンで展開されます。

特徴的なのは、魔法のスペルが電子データであって、携帯端末を使って魔法を使用するといういかにも現代的な設定です。しかも、そんな中でもとりわけ秋継はハッキングの名人で、(普段は使える魔法に制限があるという設定により、撃ち合いでは敵の方が強いという事情もありますが)活躍も武力より電子戦によるものが主体です。


さて、あとがきによれば本作は「少年漫画原作用のものをベースにした話」(p.254)とのこと。
作者は小説・コミック投稿サイト「E★エブリスタ」で活躍中のクリエイターとのことですが、商業出版ではこれがデビュー作です。少年漫画原作なるものがどういう事情で構想されていたのか、詳しいことは不明ですが、まあいいでしょう。
こうした作品の来歴を知ると納得するものはありました。つまり、絵や映像としては映えそうなのですが、読んでいても今ひとつビジュアルイメージが湧きにくいのです。小説化に当たって、文章で面白くなるよう色々と設定に手を加えたようですが、それでもなお、です。
設定に関わる作中専門用語が多いのはまあいいとして、イメージを喚起する描写が短くあっさりとしていて、説明や専門用語に押され気味なせいかも知れません。

それから、モノクロイラストはかなり粗いのですが、まあそれは小説の質からは度外視しておきましょう。


それからキャラクターですが……主人公は喧嘩っ早い問題児に見えて、と言うか実際そうですが(ついでに、イラストだと見るからにガラが悪いこと)、上述の通りテクニックに長けた頭脳派な面もあり、さらに奔放で破天荒な幼馴染の秋姫に手を焼いていたりして、常識人として周りに悩まされる面も見せます。これは良いでしょう。
大きな出番のある女性キャラは4人いるのですが、こちらが少し引っ掛かります。
まず、秋継の幼馴染である悠弦秋姫(ゆうげん あきひめ)は、冒頭から登場している割に、秋継をも悩ませるそのキャラ像が摑めるのに少し時間がかかった感があります。しかも、話の都合か意外なところで出たり消えたりしますし。
それから、秋継が授業補佐をすることになった初等部の女生徒、アーニャ・グラヴィティス。彼女も高いスキルを持っているのですが、前半で秋継と関わった割に、後半は微妙な出番しかありませんでした。
続いて秋継が巻き込まれる騒動の中心人物として登場するアルファ。登場するのは100ページを過ぎてからですが、物語中でのポジションからすると彼女がメインヒロイン、と言うべきでしょうか。アンドロイドなので無表情で、独特の常識からズレたところのある美少女です。
そして最後に、秋継の相棒である電子精霊のアーデル。彼女も最初から登場していますが、彼女の存在そのものが極めて特殊であり、物語と設定の核心に関わっていることはほとんど最後で、今後への引きとして明らかになります。

こうして見るとやはり、――真ヒロイン登場までに時間のかかる作品はままあるとは言え――いささか全体としての構成に疑問を感じないではありません。

最後で明らかになるのは、秋継の目的――父親の捜索――と、魔導科学という世界設定の根幹に関わる謎が結び付いているという、王道ながらそれなりに楽しみな設定です。
実際、そうした大きな設定と物語も、魔法の設定やそれを使ったアクションも、キャラクターもそれぞれに魅力的で、悪くはないのですが……

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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