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作って、売ることに関わる人々の青春模様――『天使のどーなつ』

今回取り上げる小説はこちらです。

天使のどーなつ (メディアワークス文庫)天使のどーなつ (メディアワークス文庫)
(2013/10/25)
峰月皓

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最近のメディアワークス文庫は女性向け作品が目立ちますが、本作もドーナツという題材に女主人公というところを見れば、その一環とも見えます。
ただ、内容的には恋愛要素があまりないこともあって、青春小説かつ仕事小説という感じでしょうか、そういう話が嵌まる方には性別の問題は少ないのではないか、と思われます。

主人公の灰庭留衣(はいば るい)はドーナツチェーン店「羽のドーナツ」の開発部に勤める社員です。
しばしば地の文で「少女」と表記されるくらいに子供っぽくて、天真爛漫で、けれどもドーナツの味の追求にかける情熱と手腕は一目置かれる留衣。
そんな彼女が企画営業部に呼ばれて、「羽のドーナツ」10周年記念の企画に関わることになります。彼女とともに他部署から企画営業部に呼ばれたのは、経理部に勤める社内では異例の東大卒のエリート・古代奏子(ふるしろ そうこ)と、店舗部の五丈谷時乃(ごじょうや ときの)。時乃は本人も自覚する「寿退社要員」で、この企画へ参加も企画営業部の男性社員・山形が目当てだったりします。

同時に「羽のドーナツ」には大手チェーン店による買収の話も出ていて、さて経営状態を変えるような新商品は、留衣の求める「奇跡のドーナツ」は作れるのか? というのが物語の軸になります。

最初、能力はドーナツ作りのみでまともに企画書も書けなかった留衣ですが、ただ美味しいドーナツを作るだけでなく、他にも色々なことを工夫しなければ商品を売ることができないことを学んでいきます。
同時に奏子と時乃も、留衣のドーナツと熱心な働きぶりに心を動かされて変わっていき、三人で友情を結んでいきます。
最初から希望する部署に配属された留衣のことを嫌っていた奏子も彼女を認め、時乃も男より仕事と友情を取るように……と。

と同時に、専門家というのはただ自分の専門に通じているだけではなくて、自分のやっていることを売り込み、他の部門と上手くコラボレーションしなければならない、ということを描く話でもあります。

220ページ弱と薄めで、さほど意外性もないハッピーエンドですが、仕事や物作りに関わる人間のあり方と主人公の成長を丁寧に描いていて、心暖まる作品です。
ドーナツの食感(「味」よりも「食感」の話が目立ちます)に関する描写もよく伝わり、ドーナツの美味しそうな様が十分に感じられました。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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