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『このライトノベルがすごい! 2014』

今年も『このライトノベルがすごい!』の発売となりました。

このライトノベルがすごい! 2014このライトノベルがすごい! 2014
(2013/11/20)
『このライトノベルがすごい!』編集部

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今回は表紙にはっきり「作品ランキング1位 受賞者インタビュー」とか書いてあって、表紙が公開された時点で1位が分かるという珍しい事態もありましたが……。
連覇中の『ソードアート・オンライン』(略称:『SAO』)の3連覇を視野に入れて「3連覇作品は殿堂入り」という新ルールがさり気なく作られたりしていましたが、なかなか思うようにはいかないものです。

最近はコンテンツ長寿の時代で、今までも手堅くランクインし続けていた作品がまだまだ続く、ということが多く、どうも毎年変わり映えしないランキングだ、等とも言われてきましたが……
今年もトップ10の内、5作品は作品から引き続いてトップ10防衛です。
しかし他方で、上述の通り『SAO』が5位に落下、5年連続5位以内という圧倒的な安定感を見せていた『バカとテストと召喚獣』が20位まで下降(期間内に新刊が1巻しか出なかったせいでしょうか)、『はたらく魔王さま!』が昨年の60位圏外から6位に急上昇(※)、新作『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』が一気に4位と、思ったよりは動きがあった印象です。

※ 圏外から一挙トップ10入りの先例はありますが、ここには「2011→2012」の集計方法の変化も関係していて、マイナー作品の急浮上という感が強いものでした。『魔王さま』は電撃文庫という大手レーベルの作品で、順調に知名度を上げてきての結果だけに、かえって印象的です(むしろ、昨年までなぜ圏外だったのか、とも問えますが)。

ちなみに余談ですが、私のコメントも一つ採用されました。結果と言い、投票した甲斐はまずまず感じています。


ランキングについて細かい話などをする前に少し気になったのは、期間内の新作部門です。
今まではページの片隅に載っていただけなのが、見開き2ページを使って表紙画像付きで掲載するようになったのですが……

このライトノベルがすごい! 2014 新作部門

なんと、ランキングは昨年の30位までから20位までに縮小されています。
昨年だと、新作部門30位ならば総合ランキングで100位くらいの作品が載っていて、総合ランキング(60位まで)では見えない部分が見える楽しみがあったのですが、今回は新作19位までが総合60位圏内なので、その楽しみがなくなりました。
まあ、去年は総合60位圏内に入っている新作は13止まりだったので、今年は新作が豊富だったという面もあるのですが、新作ランキングを縮小されたことは不満ありです。


それから、ボーカロイド小説の『カゲロウデイズ』が今年は対象となり、41位にランクインしています。
この点に関しての説明は以下の通り。

 本ランキングでは昨年度まで「楽曲のノベライズ」という解釈でボカロ小説はランキング対象外としていたが、ライトノベルレーベルから次々と出版され、『カゲロウデイズ』など売れ行き的にもめざましい作品が増えていることから、無視するのはかえって不自然と判断し、今年度からランキングの対象とした。
 (『このライトノベルがすごい! 2014』、宝島社、p.52)


ランキングの対象とすることそのものに特に異議はないのですが、しかし他のノベライズも「ライトノベルレーベルから次々と出版され」ていることは事実なわけで、では「売れ行き的にもめざましい作品が増え」たらそれも対象にするのか、と考えると、説明不足は感じます。
考えてみると、ノベライズというのは他のジャンルから持ち込まれた内容に依存しているというのが大きな問題でしょう。
そもそもボーカロイド小説は作詞・作曲者が執筆していることが多いものですし、物語を叙述するに当たっての情報量で歌詞と長編小説にはあまりにも大きな差異があるので、「楽曲のノベライズ」なら十分にライトノベルとして独立した作品と見なせる――といった判断ならば、異論はないのですが(しかし、記事に費やせる紙面の問題もあるでしょうが…)。


さて、『このライトノベルがすごい!』のランキングは、「協力者」(「作家・評論家・ライター・ライトノベル系イベント関係者・大学サークル・インターネットでのライトノベル系情報発信者など、ライトノベルに精通していると思われる方々」)、「HP投票」(自由参加)、「モニター」(「12~18歳の中高生」で「ライトノベルを年間51冊以上読んでいる」人、調査会社に以来)の三つの層からのアンケート結果を総合したものです(同書、p.36)。
集計方法を変更した『2012』から、各層からの獲得ポイントの内訳もちゃんと公開しているので、誠実ではあるのですが……
その結果として、「アニメ化された人気作品」(HP・モニター人気)と「コアなマイナー作品」(協力者人気)という、異質なランキングが混在しているかのような印象はどうしてもあります。
実際ポイントの内訳を見ると、「各層からバランスよく票を獲得している作品」が少数なので、仕方ないと言えば仕方ないのかも知れませんが(協力者からの得点が総得点中90%以上という作品が60作品中15作品(1/4)という結果は後述する協力者票の強さと同時に、層によって投票する作品が著しく異なることをも物語ります)。

しかし今回は10周年記念の特集で、過去9年間のランキング中50位までが掲載され、同時に現在の集計方法に直した際のポイントと順位、さらには10年間でのポイント合計によるランキング50位までも表記されています。
そこで見比べると……集計法を変えても、そこまでランキングが激変するわけではなさそうです。ただ、今のランキングに直すことで急上昇・急下降する作品がぽつぽつとあります。急上昇するのは基本的にマイナー作品で……どちらが良いかは各自にご判断あれ。

が、集計に関する話はもう少し続きます。まず、作品は5作品、キャラクター(男性キャラクター、女性キャラクターそれぞれ)とイラストレーターは3人を回答できます。

 集計結果については得点換算方式を基本としました。
 ①[協力者]の回答については、作品は1位=10点、2位=9点、3位=8点、4位=7点、5位=6点と換算。他の3種は1位=3点、2位=2点、3位=1点と換算しました。
 ②[HP]、③[モニター]については、作品は1位=5点、2位=4点、3位=3点、4位=2点、5位=1点と換算。他の3種は1位=3点、2位=2点、3位=1点と換算しました。
 (同書、p.37)


そしてその上で、「それぞれの投票者数を「一定値の母数」に揃えるという手法をとっています。実際の得点を投票者人数と「母数」の比率で換算し、これにより出た数値を「ポイント」とし3種アンケートを合算してランキングとしました」(同所)とのこと。
微妙に分かりにくいというか、現在の集計法になってからのこの「一定値の母数」に揃える傾斜のかけ方は多少変更しているとのことなので、詳細は分からない部分があるのかも知れませんが、基本的には協力者61人、HP1194人という20倍近い人数の差は関係ない、ということでしょう。

5作品をフルに投票すると、協力者の持ち点は計40点。HPとモニターはそれぞれ15点です。
投票者数を「「一定値の母数」に揃える」ので、人数比は関係なく、投票総得点も協力者:HP:モニター=8:3:3になるのだと考えられます。
つまり、全体の内57.1%が協力者の投票によるものです。

今年の投票結果から計算してみると、60位までの全体では協力者からの得点が約63%、10位までに絞ると約59.3%です(公表されているポイントそのものが四捨五入なのであまり正確な数値ではないかも知れませんが)。
若干予測値よりも高めですが、投票枠5つを全て満たさずに投票することも可能で、そうした投票者はライト層(HP、モニター)の方が多いだろうと考えると、ほぼ予測の範囲内です。

ここでふたたび10周年特集を見ると、協力者の回答は1位=10点~5位=6点、その他は1位=5点~5位=1点という得票方式は初回から変わっていないとのことですが、「一定値の母数に揃える」傾斜をかけるようになったのは『2012』から。
コア層たる協力者の持ち点を高めにする操作そのものは良いのですが、集計法を変更するならば持ち点をも見直すという選択肢はなかったのか、これは疑問無しとはしません。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
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