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怪談から自然の驚異まで――『岸辺露伴は動かない』

しばらくお休みしてしまいました。
修士論文を書く等の作業で忙しいから…というのあるのですが、加えて気分の浮き沈みが激しくて、気が乗らないので不貞寝していたりとか……

が、今回はまた漫画の話と行きましょう。
これ↓、近所の書店では発売前日に平積みの一区画を大きく空けて、「明日発売で並びます」と宣伝していました。

岸辺露伴は動かない (ジャンプコミックス)岸辺露伴は動かない (ジャンプコミックス)
(2013/11/19)
荒木 飛呂彦

商品詳細を見る

『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に登場する漫画家・岸辺露伴(きしべ ろはん)が活躍する……というか、あちこちで怪事に遭遇して回る短編集ですね。

最初のエピソード「懺悔室」がそのまま「岸部露伴は動かない」というタイトルで『週刊少年ジャンプ』掲載されたのは1997年、つまりもう16年前のことになるのですが……当リアルタイムで時ジャンプを読んでいたので覚えています。
読者アンケートで「読み切りを描いて欲しい作家」を問い、上位10人に新作読み切りを描かせるという企画だったのですが……「他誌での作家でもOK」といったところで、日本一の部数を誇る『週刊少年ジャンプ』でそんな企画をやれば、現在形でジャンプ本誌で活躍している作家ばかりになるに決まっています。
連載中に企画優先で新作読み切りを求められる作家の負担は言うまでもなく、微妙なものも多かったような。誰が得する企画だったのやら、と思います。

まあしかし、こんなシリーズを生んだなら収穫はあった、ということでしょうか。


◇ 「懺悔室」では、イタリアに取材に行った露伴は間違って教会の懺悔室の神父が入る側に入ってしまい、一人の男の世にも奇妙な告白を聞くことになります。
それは怨霊に復讐される男の話ですが……結末にどんでん返しがあります。

◇ 「六壁坂」は、山中の村「六壁坂村」で露伴が取材した妖怪の話です。
ちょっとした諍いから事故で恋人を殺してしまった大地主の娘……しかし奇怪なことに、恋人は完全に死んでいるはずなのに、その傷口からは血が流れ出し続けます。

岸辺露伴は動かない 六壁坂
 (荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない』、集英社、2013、p.89)

◇ 「富豪村」――山の中の、そこに通じる道路は一本もない村。その住人は全員大富豪で、ヘリで村に出入りしていると言います。
しかもそんな村なのに、土地が安く売りに出されている、という話を露伴ももとに持ってくる女性編集者。何でもこの村の住人たちは全員、この村の土地を買ってから成功して富豪になったという話で……

岸辺露伴は動かない 富豪村
 (同書、p.127)

◇ 「密漁海岸」――この話ではやはり『ジョジョ』第4部のキャラクター、イタリア料理人のトニオ・トラサルディーが登場。
『ジョジョ』第4部の中でももっともストーリーに関わらなかった一発キャラの一人である彼が思いがけない再登場、しかも日本までやってきた事情が明かされるとは嬉しいファンサービスです。
彼によれば、この杜王町の海岸では特別なクロアワビが採れる――しかも年に一度、それが簡単に密漁できるようになる日があるとか。

岸辺露伴は動かない 密漁海岸
 (同書、p.189)

しかしもちろん、一筋縄ではいきません。
最初の3話は妖怪や怪奇現象の登場する話でしたが、この「密漁海岸」はあえて言うならば自然の驚異というところでしょうか。

◇ 「岸辺露伴 グッチへ行く」

ファッションブランド「GUCCI」を題材に『SPUR』に掲載された短編。
祖母の形見のグッチのバッグが、金目の物を入れると無くなるという怪現象を起こすので、はるばるイタリアまで修理してもらいに来た露伴。
しかし実はこのバッグには不便なだけではない効力があって……

カラーだったのが白黒での収録になっているのが残念。


「懺悔室」では単に聴き手の役に徹していた露伴ですが、「六壁坂」~「密漁海岸」の3編ではいざとなるとスタンド(一種の超能力)「ヘブンズ・ドアー」を使って活躍もします。
若くして成功し、立派な一軒家に住んでいるかと思いきや、「六壁坂」では取材のために山の土地を買って破産していたりと、漫画を描くためならば手段を選ばない露伴。法もモラルも踏み越え、また他人が踏み越えることにも無頓着であったり、むしろ加担したりしますけれど、仲間を助けようとする熱さも備えています。できる限り観察者の役に徹しながら、ギリギリのところでスタンド能力も使って活躍、そして最後は他人が色々問題を残していようと「取材終了」としさらっと立ち去ったり……と、確かに驚くほど、怪談の語り手向きのキャラクターでした。

素晴らしい怪奇譚集です。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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