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パンツの力で戦うバトルヒロイン、なのか?――『ストライプ・ザ・パンツァー』

本日はこちらのライトノベルを取り上げさせていただきます。

ストライプ・ザ・パンツァー (MF文庫J)ストライプ・ザ・パンツァー (MF文庫J)
(2013/11/22)
為三

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第9回MF文庫Jライトノベル新人賞の優秀賞受賞作品でこれが作者のデビュー作、とのこと。

単刀直入に説明しますと、本作の主人公・ストライプはパンツです。
パンツ型宇宙人――と言いますか、“型”という表現にすでに語弊がありますね。「生けるパンツ」そのものという宇宙生物です。
人型種族によって穿かれることで「寄生」して、それによって自らの人格を形成して生きているという生物です。

しかし本作は、ストライプがそれまでの「所有者(オーナー)」を失って記憶喪失になっているところから始まります。
そんな時、彼(ストライプの人格は男性です)は交通事故で瀕死の重傷を負った少女・姫川響子(ひめかわ きょうこ)を発見し、彼女を「所有者」にしてその命を救います。
響子も行方不明の兄を捜していて、二人で一緒にストライプの記憶と響子の兄を探す冒険が始まります。
と同時に、響子の通う高校では、水泳の授業中に女子更衣室からパンツが消えるという事件が発生するようになり……

設定はなかなか奇抜ですが、ストーリーは真面目、とりわけ後半、響子の兄の消息に関わる物語はシリアスです。
確かに、パンティストだとかパンツァーだとかの脱力するような作中用語(ネットスラングに由来するものもあって、「独自のカッコいい用語を考案する」方向からはかけ離れています)でバカバカしい設定を説明する様は確かに可笑しいのですが、ストーリーそのものが「徹底して馬鹿をやる」という方向ではなく、また常識人としてそれを聞かされる立場である響子が嫌悪感を示したりすることはあれどツッコミ役ではなくて、会話の掛け合いで楽しませるスタイルでもなかったので、あまりコメディとしては強くありません。
むしろストーリーとしては、パンツ生命体に寄生されることで力を手に入れた響子が悪い宇宙人と戦うという、オーソドックスなヒーロー物という感じです。


私が連想したのはあさりよしとお氏の漫画『ただいま寄生中』です。
この漫画は人格を持った改造寄生中に寄生された少女が戦うヒーローストーリーですが、変身する時には肛門から寄生虫が出てきてそれを全身に纏うことになります。
作者のあさり氏としては、「エロい」設定のつもりで考えたはずが、誰にもエロいと思ってもらえなかったとのことですが……

そう言えばこの『ストライプ・ザ・パンツァー』も、――それが意図したことなのかどうかは定かでありませんが――主題が主題だけにパンツの見えるイラストが多いのは確かですが、それを除くとそこまでエロスはなく、フェティシズムもさほど感じませんでした。
……主人公が女の子の股間を直接包んでいるという設定にも関わらず。むしろ、あまり深入りすると冗談で済まないという判断でしょうか。

ただポイントとして、漫画の場合、語りはともかく絵は三人称です。当然、寄生虫やら下着やらという外から見えないものよりも、宿主である女の子の方が行動の主体になります。
それに対して、『ストライプ・ザ・パンツァー』は全編がストライプの一人称です。

ただそれでも、――ストライプ単独でも動けるとはいえ――基本的に動くのはストライプを穿いた響子です。
だから、バトルヒロイン物としての性格が期待できるかとも思ったのですが……ラストバトルでは男の人格の方が前面に出てきて、結局これは「男の子の戦い」だった、という印象が残りました。
(ストライプと響子の関係がウルトラマンとハヤタの関係に見えて、実は前の所有者も交えてもう少し捻れた関係があったことが判明しますし)

ちなみに、ストライプの失われた記憶に関する真相は序盤から大体予想が付くのですが、200ページくらいでそれが判明した後にもう一捻りがあります。
ただそれも、結果として、この物語は「響子とストライプの絆」よりもむしろ「ストライプと前の所有者(男)」の絆を描いていた、という印象を強める形になりました。
何とホモソーシャル(≠ホモセクシュアル)。

これは響子のキャラ造形とも関連しているかも知れません。
当然ですけれど、人格を持って喋れるパンツ(しかも男)を穿くなんて、普通の女の子は拒否します。響子も最初はそうでした。
それもすぐに受け入れざるを得なくなる事情があるのですが、この点で彼女は常識的な女の子らしい反応を見せます。
他方で彼女は快活でアクティブであり、ヒーロー物に憧れる面もあって、ストライプの寄生によって大きな力を得られるとか、それで特訓するとかいう話になると乗り気はところを見せます。

「常識的に考えられる女の子としての拒否反応」と「ストーリー上求められるアクティブさ」――この両者がチグハグということはないのですが、しかし必要かつ常識的な造形に留まっている感もなきにしもあらず。
この点でもバトルヒロインとしては今ひとつ存在感が弱かったような…。

とかく悪くはないのですが、設定のインパクトの割に、ストーリーもキャラ造形も至極まともなのですね。


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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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