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略奪された女たちが立ち上がる時――『乙女戦争』

猫カフェというところに行ってきました。
客は猫に餌をやれるのですが、とりわけがっついているのが2匹くらい。
こっちが餌を持っていると見ると寄ってきてせがんで、離してくれません。
自分から膝に上がってくるのもいました。他の猫に餌をやろうとしてもかっさらわれてしまいます。

猫カフェにて

こちらが店長。名前が店名にもなっているくらいなので歳なのでしょうか。クッションの上で毛づくろいをしていたりで、1時間の間ついに一度も立ち上がりませんでした。

まるまり

まあ考えてみると、大学には無料で猫が寄ってくるところもありますが…ただ、京大の猫はあまり馴れていないようですが。

 ~~~

ブログ記事として書くネタがあまりないこともありますが、他方で読んだ本の量がブログの更新ペースを超過していて、レビューを書ききれないこともあります。
元々あえてレビューを書く気にもならないような本ならばそれまでですが。
もっとも、読書メーターでは(255字という制限はあるものの)何であれ感想を書いているので、月ごとのまとめを見れば一通り載っているのですが、あれをいちいち当たりはしない人も多いかと思いますし。

ブログで取り立てて記事を書かなかった本について、何冊かまとめて読書メーターからの転載だけでも……という手もありますが、それをやるとまた加筆訂正したくなって長くなりそうで……

 ~~~

……等といったことはまたの機会に考えることにして、今回はこちらの漫画を取り上げさせていただきます。

乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(1) (アクションコミックス(月刊アクション))乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
(2014/01/10)
大西 巷一

商品詳細を見る

書店でたまたま見かけて手に取った1冊でしたが、作者の大西巷一氏の名前は10数年前『アフタヌーン』を読んでいた時に見ていたことに後から気付きました。
当時は『女媧(JOKER)』等の中国史ものを書いていた記憶がありますが、最近は西洋史を扱っているようで、本作もその一環、しかも戦記物です。

舞台は1420年のボヘミアフス戦争の時代です。
ヤン・フスは宗教改革の先駆けとも言われる神学者で、ルターに1世紀ほど先立って教会の腐敗を批判したりしました。
フスは異端として火刑に処せられましたが、彼の教えに従ったフス派の人々と、それを異端として排斥するカトリックおよび神聖ローマ帝国との間で起きた戦争がフス戦争です(ここまでは高校世界史でも習います)。
そんな時代の物語です。

主人公のシャールカはボヘミアの村娘でしたが、異端狩りによって家族を皆殺しにされ、本人も犯されますが、一人生き残ります。
彼女を拾ったのが隻眼の傭兵対象ジシュカ(実在の人物です)。
彼は大砲を量産し、さらに大砲を小型化した銃の原型「笛(ピーシュチャラ)(ピストルの語源)を作らせて、戦争のあり方を変えんとしていました。

乙女戦争 1巻
 (大西巷一『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』、双葉社、2014、p.24)

この「笛」はまだ威力や射程では弩に劣りますが、力が要らず女子供でも使えるのがポイント、というわけで、本作では女性たちがこの銃を撃ちます。

女子供でも戦力になるこの新しい武器と、信仰のためなら命をも惜しまないフス派の農民たちを使って最強の傭兵団を作るのが、ジシュカの目標でした。

冒頭からヒロインがレイプされるくらいですから、その後もレイプがよく描かれます。実際このような「略奪」は、当時の戦争においては一般的なことだったのでしょうが…。
もちろん戦争ですから、無惨に人が死にます。この1巻では主要キャラの死亡率はそこまで高くありませんが、主人公といい関係を取り結んだいい人たちが、平和で心暖まるシーンのすぐ後に殺される辺り、作者はよく心得ています。

というわけで、被害を受ける主人公側から見れば敵が凶悪なのはもちろんですが、味方側の指揮官であるジシュカも、素朴な農民たちの信仰心を利用して戦いに駆り立てるために味方を殺したりと、やることがあくどい。
シャールカも、最初は怯えて戦えなかったり、最初に人を殺した時には後で恐怖に苛まれたりする普通の少女でありながら、ジシュカのあくどいやり口を知りつつ「強くなりたい」と戦いに志願する辺り、一筋縄では行かない闇を孕んでいます。

人々が賛美歌に感動するシーンも、それだけ見れば明るく感動的にも見えるのですが、これによってこの人達が煽られ、戦いによる死へと向かっていくのかと思うと、何とも不安を煽ります。この辺の演出も見事。

当時の文化風俗、チェコ語などもきちんと考証のうえで描かれている模様。巻末には歴史と時代背景の説明もついています。

これは、戦争で略奪されるものであり、現に略奪されて傷付いた女たちが武器を取って立ち上がり、戦争のあり方そのものに一時代を画する――そんな物語なのでしょう。
今後も楽しみです。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
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