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原点回帰でオーソドックスに締めて――『這いよれ! ニャル子さん 12』

今回取り上げるライトノベルはこちら、『這いよれ! ニャル子さん』の12巻です。
アニメ第2期(『這いよれ! ニャル子さんW』)の放送中に発売された11巻から実に11ヶ月ぶりの新巻は、『ヴァルキリーワークス』3巻、『深山さんちのベルテイン』2巻に続く3ヶ月連続発売で、ドラマCD付き限定版が同時に発売されます。
代表作である『ニャル子さん』の刊行間隔が空いたのとは裏腹に、この一年で作者は『ヴァルキリーワークス』3冊、『ベルテイン』1冊、『ニャル子さん』2冊の計6冊と過去最高の刊行数になりました。

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 (前巻の記事

さて、あらすじでも特に触れられていませんが、この巻が最終巻となりました。
内容的には次巻に向けての伏線など要さない話であるものの、最終巻に限定版が付くというのはほとんど先例のないことなので、さすがに予想外でしたが……
そもそも、表紙が女性キャラばかりだった作品で、最終巻になってようやく主人公たち男性キャラが表紙を飾るというのはままあることで、もう最後だからとばかりに売って稼ぐための戦略からは一歩引いてくる方が普通なのですが……
ドラマCDの制作の方が時間がかかるだろうと予想されることから、限定版を出す予定が先にあって完結は後から決まったことなのでは、と推測も可能ですが、詳しいことは分かりません。

内容ですが、ストレートに真尋とニャル子のラブコメに決着をつけての完結となります。
途中で敵の手によりニャル子が記憶喪失になって、それにより真尋が改めてニャル子を大切に想う自分の気持ちと向き合わされる――というオーソドックスな展開もあります。
物語の基本要素としてはこの二人さえいればいい、との基本要素は最初から最後まで揺るぎませんでした。

宇宙人という遠い世界からの来訪者たちがもたらす騒動を描いている物語である以上、締めとして別れにまつわる話を持ってくるのが一つの定番ですが、本作は1巻の最後にニャル子が去り、戻ってきて、向こう300年くらい居座ることが可能と明言してしまっているので、原理的に終わらせどころが存在しませんでした。
その意味では、いつでも可能ながら常識的な終わらせ方だったと言うべきでしょう(常識的な分、本作としては大人しい、という面もありますが)。

上で次巻への伏線など要さないと言いましたが、ただ前巻で地球人ヒロインたる暮井珠緒が真尋に告白するというイベントがあり、さらに修羅場が加速するかと思っていたところで一気にラブコメとして決着という点に意外なものはありました。
ただそれも、告白した珠緒の勇気を真尋の自分の気持ちと向き合う踏ん切りに繋がる辺り、上手くやっています。

再三言っていますが、本作は敵の追跡にしても「敵の足取りは惑星保護機構のほかのエージェントが調べています(あるいは発信機がありますetc.) → 敵の居場所が分かりました → 乗り込み」という流れがほとんどで、「敵の正体や目的、攻略法を捜査・推理する」というストーリー要素は極力排除されています。
日常シーンでの発言が思いがけず伏線になるという毎回お馴染みのネタも、それらの発言が本来ストーリーに関係ないバラバラのネタであるはずだからこそ、ギャグとして成立するのです。細部がそれぞれストーリーにとって意味を持つことが最初から期待されているストーリー作品で最後に伏線が活かされるのとは正反対です。
その意味で本作は、ストーリーの縦糸は可能な限り短くシンプルで、複雑な横糸がそこに交わることもなく、そしてページ数にすれば大部分は糸に繋がらない珠(=日常の掛け合い)で出来ています。

さらに、戦えば基本的にニャル子たちは強いのです。これもまた――しばしばピンチはあれど――究極的には任せておけば良いのであって、敵を攻略するためにあれこれと積極的に動き回る必要がないことに繋がります。
真尋の役目は主として、放っておけば際限なく脱線を続ける邪神たちに後ろからツッコミを入れて軌道修正することです。

この点で『ヴァルキリーワークス』との対照ははっきりしています。
『ヴァルキリーワークス』も、毎回新たな敵がやって来て迎え撃つ、というシンプルな巻き込まれ型のストーリーラインは毎回変わりませんし、主人公は単独では非力です。さらに敵の正体を探るにしても、フェルスズは知識の泉を検索する能力を持っているので、複雑な捜査活動なのは必要ありません。
それでも、『ヴァルキリーワークス』の主人公・理樹は、その圧倒的な女たらしぶりで危なっかしいヒロイン(ヴァルキリー)たちを手玉に取り、非力ながらに危険を恐れず踏み込む行動力を発揮することによって、物語に対して強い主導権を発揮します。戦う力は基本的にヴァルキリーにあり、理樹が合体して戦闘力を得るためもヴァルキリーが術を使わねばならないのですが、それをさせるのは理樹の導きなのです。
より正確に言うと、『ヴァルキリーワークス』も序盤は(主人公とヒロインの性別を逆転した)同工異曲の感が強かったのですが、巻を進め、全体を貫く謎と大きな物語の流れが見えてくるにつれて、こうした対照もはっきりしてきました。

閑話休題。
最終巻になっても『ニャル子さん』の基本は変わらず、下らないオチも健在なのですが、ただ真尋がニャル子のために武装し、自ら音頭を取って出陣するところは、彼が積極的にニャル子への好意を表明したことに呼応していて、最後に相応しいものでした。
ニャル子を助けるために真尋が動くという点では9巻もそうでしたが、あの時は出発した後が割と成り行き任せだったのに対して、今回は出陣後はボスまで一直線です。

定番の仮面ライダーネタですが……とりあえず、鎧武ネタの使いどころは期待通りでした。毎回ニャル子は何か不穏な食べ物を持ってくる+鎧武のテーマはフルーツと来れば……
それから確か、アニメ第2期『這いよれ! ニャル子さんW』の最初で魔法陣を使ったウィザードの変身シーンを着替えに使っていました。そして同時期の単行本11巻で、ニャル子たちが戦闘モードに変身する時にウィザードの変身シーンを使用。
というわけで、今回着替えに鎧武の変身シーンを使ったのはアニメの影響を感じます。服が球体になって上から落ちてくるというのは、魔法陣で服を変えるのよりも遥かに強烈な違和感がありますが、「ネタのために無理をしている」というところまでネタに含めてしまえるのが本作の強みです。

ですがそれよりも、『ディケイド』と『W』のネタが目立ちました。
そもそも、『ニャル子さん』の1巻が刊行されたのは『ディケイド』放映中の時期でした。もっとも、投稿作品が描かれたのは発売よりも大分前なので、その時には最新番組をいち早く取り入れる形にはなっていませんでしたが、以降、リアルタイムで新ライダーのネタを反映し続けてきました。
ディケイドネタ――とりわけ「貴様、何者だ!?」から(『ディケイド』では毎回、敵のこの台詞を受けてディケイド=門矢士が「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」と名乗ります)ニャル子初登場時からお馴染みの名乗り「いつもニコニコ~」に持っていく流れは、最後に原点回帰という意味で実に相応しく思えました。

というわけで完結と相成りましたが、しかし作中世界はこれからも同じような騒動が続くのだろう、と確信できる終わりでもありました。
作者によれば9巻が「劇場版のつもり」だったそうですが、仮面ライダーで言えば映画は本編終了後の後日譚の描く「MOVIE大戦」もあるのが最近の定番です。というわけで、後日譚としてもう1冊くらいやってくれても――と期待したい気持ちもあります。その時には、今回出番のあまり無かったルーヒーとアト子も加えて。
まあしかし、ともあれ、お疲れ様でした。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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