オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
こう見えてもディストピア――『どーにゃつ 4』
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(このシリーズについての記事)
今まではかわいらしい造形のどーにゃつたちが小さくとも表紙にいましたが、今回はエヴァンゲリオンみたいなロボット(作中での呼称は「ロボ崎」さん)が表紙を専有していて、漫画の内容を知らない人が表紙だけ並べて見ると何の作品かと戸惑いそうです。
この世界には時々謎の敵の襲撃があり、ロボ崎はそれと戦っています。
そもそもこの世界の謎――なぜ人間はいなくなったのか、どーにゃつたちは何なのか――について、また敵についてロボ崎は知っているようですが、情報開示に制限がかかっており今まではなかなか教えてくれませんでした。
それから、1巻から登場していたどーにゃつそっくりの黒い奴――3巻では「しげる」と名乗った彼は、どーにゃつを狙っているようでしたが、彼の正体と狙いも未だ不明です。

(コザキユースケ『どーにゃつ 1』、スクウェア・エニックス、2012、p.140)
3巻のラストでどーにゃつはしげるに攫われかけ、異空間に漂流してしまいます。
今巻にて彼が辿り着いていた先は――大阪。

(コザキユースケ『どーにゃつ 4』、スクウェア・エニックス、2014、pp.2-3)
そこで出会った新たな同族――まっちゃんとマルモチーター。

(同書、p.24)

(同書、p.48)
他方で、残されたベーガルたちは消えたどーにゃつを追って捜索を始めます。
もちろん、東京から大阪まで飛ばされた相手がすぐに見付かるはずもありませんが、その過程で東京の地下に眠る新たな謎を発見。

(同書、pp.90-91)
ついでに極端に臆病な新キャラ・フエラムネコとも出会います。

(同書、p.99)
そして、ついにロボ崎の口から明かされる謎の一端――敵の正体。
今までは普段のコミカルな日常シーンと世界の謎やロボ戦が独立している感の強い作品でした。
今回も大きなストーリーの流れ上さほど重要ではなさそうな日常話はありますが、どーにゃつと離れ離れになって捜索せねばならない分、大事を気にせず遊んでいるというわけにもいかず、他方でどーにゃつの方もまっちゃんと漫才コンビを組ませられたりしつつ、皆自分がいなくなってせいせいしているんじゃないかと悩んだり……
そんなわけで、今までで一番、日常エピソードを含めた各話が大きな世界観やストーリーと結び付いている巻でした。
こんなナリながらある種のディストピアSFという独特の味わいを活かすという点では一番の出来で、大きな進展を感じさせる巻となりました。
ところで、どーにゃつたちが人格や知識を持っていることから、彼らの人格はエピソード記憶こそ失っているものの元人間――などと私は想像していたこともありましたが、今回明かされた真相の方向性からすると違うかも知れません。
―――
ついでに、本作の登場キャラは他のクリエイター諸氏のデザインによるものも多いということで、巻末にはデザイン者の名前と原画が載っていますが、マルモチーターの生みの親はこざき亜衣氏、作者コザキユースケ氏の妹だけとか。
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