スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

それを当然と思えば日々是平穏――『シンリャクモノデ 2』

今回はこの漫画を取り上げてみましょうか。

シンリャクモノデ 2 (ビームコミックス)シンリャクモノデ 2 (ビームコミックス)
(2014/06/25)
竹本泉

商品詳細を見る

 (1巻のレビューは2013年11月の読書メーターに少しだけ)

本作は毎回異なるキャラクターで展開される一話完結の読みきり連作シリーズですが、ただ「侵略縛り」というコンセプトがあります。
とは言え、ひとくちに「侵略」といっても、トカゲ型宇宙人サールスによって支配された近未来の地球という本格的にハードな状況(一つ間違えば街が焼き払われる)から、同居人によって生活空間が侵略されるという日常レベルまで、侵略の深刻さは様々です。
なお、この2巻冒頭に収録されている第7話だけは第1話(1巻収録)の続きで、異空間から学校の中庭に現れる謎の存在と交渉して追い返す部活「交渉部」の活動を描いています。

シンリャクモノデ2 交渉部
 (竹本泉『シンリャクモノデ 2』、エンターブレイン、2014、p.13)

そして竹本氏の定番ネタ・雪だるま

シンリャクモノデ2 雪だるま
 (同書、p.34)

『アップルパラダイス』や『よみきりもの』で、雪だるま型の雪が降ってくるとか雪だるまが自力で歩いてくるとか数々の「変な話」を描き、ついには謎の雪だるまが出現してまるで説明がないことまでありました。今回も、それほど雪がないのに雪だるまが出現します。
この雪だるまもシリーズのコンセプトに従い「侵略者」ではありますが……

読みきり連作では過去作品の続編のようなものや、世界観に繋がりのある作品が描かれることもあり、今回だと地底人を描いた「チノソコライフ」では、『よみきりものの…』の「ヒトライフ」のキャラクターが再登場。

よみきりものの… コオニライフ (ビームコミックス)よみきりものの… コオニライフ (ビームコミックス)
(2006/09/25)
竹本 泉

商品詳細を見る

『よみきりものの…』のこの巻に収録されている短編「コオニライフ」「ヒトライフ」は、小鬼が人間の赤ん坊を自分の子と取り替えていくというヨーロッパの伝承に従った世界観で、それぞれ人間に育てられた小鬼の子と、小鬼に育てられた人の子を描いていました。
種族の違いは外見にも明らかなので目立つこともありますが、彼女たちは実に明るく、普通に生きていました。
そんな彼女たちと比べた地底人の姿は……今回もなかなか衝撃的な展開でした。

それから、23世紀の地球を舞台に、様々な仕事を引き受ける役所「その他省」に勤める少年少女の日々を描いた『てきぱきワーキンラブ』の新エピソードがふたたび。

さて、この『てきぱきワーキンラブ』世界においてはどういうわけか、男女が一緒に寝ていたり、女の子が風呂に入っているところの様子見に行ってもまったく平気です。

シンリャクモノデ2 てきぱき
 (同書、p.71)

エダルト(左側)は男の子です。可愛いし家事も得意だけれど、男の子です。

これが『てきぱき』の主役3人に固有の事柄なのかどうかは定かでありませんが、あるいは未来世界では男女関係に関する事情も大きく変わっているのかも知れません。
少なくとも、同じ世界観の『トランジスタにヴィーナス』では、生まれる前に遺伝子操作で容姿をいじることがごく普通のこととして扱われていました。
性欲も必要な時以外は現れないよう操作されている可能性はあります。

そうした生き方の変化がまったく何食わぬ顔で描かれ、倫理的に問題が問われないことに竹本作品の特徴があります。
技術は価値観を変え、現代人から見れば異様に思えることも当然のこととして受け入れられる時が来るかも知れない――こうした視座は実にSF的でもあります。

本作のほのぼのした空気も、それと関係があるでしょう。
確かに、こと今巻では「侵略があったことすら気付かれないまま侵略者が諦めて去る」という話も複数あり、それが「侵略」をテーマにしていても牧歌的な空気の一因になっていますが、前巻ではサールスに支配された近未来のようなハードな設定の話もありましたし、『トランジスタにヴィーナス』では戦いで登場人物が大怪我をすることもありました。
にもかかわらず、誰もそれを忌むべきことと思わず、平然と生きているがゆえに、それはまさしく平穏な「日常」となるのです。

 ―――

ちなみに、竹本氏が『まんがライフ』で連載している『がーでん姉妹』2巻もほぼ同日発売となりました。

がーでん姉妹 2 (バンブーコミックス)がーでん姉妹 2 (バンブーコミックス)
(2014/06/25)
竹本 泉

商品詳細を見る

そっくりな三つ子の長女~三女の空子・風子・花子、元気な次女・池子、そしてアメリカ人の夫アーロンの連れ子の五女・カナリ(金髪碧眼、ただ日本暮らしが長いので英語は喋れない)という庭家の五人姉妹を描いたシリーズ。
こちらは連載期間に応じて登場人物がリアルタイムで歳を取っていくので、連載開始時には中学生だった三つ子が1巻の最後で高校生に、当初は小学生だったカナリが中学生になり、今巻では池子も高校生になりました。
いつまで続くのでしょうか。

同作者の『てけてけマイハート』だと当初は24歳だったのぞみが30代となり妊娠出産しましたし、『さくらの境』は主役の女の子たちが浪人生という状態で終わってしまいましたが……
やっぱり、浪人生のまま終わるのは庄司薫君だけで十分ですね。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 哲学へ
にほんブログ村 人気ブログランキングへ

テーマ : 大学生活 - ジャンル : 学校・教育

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

当ブログはリンクフリーです。

引用もフリーです(出典明記していただけるとより有難いですが)。

コメントは返信しないことも多いですが、基本的にちゃんと読んでいます。

実名での仕事
7ページだけですが、拙稿が掲載されています。
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
参考文献
私が展開している思考の拠り所など(一部)。
スポンサー広告
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。