オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
世界を命で満たすべくプロレスで戦う――『ギガントマキア』
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作者の三浦建太郎氏は大長編ファンタジー『ベルセルク』を未だ連載中の漫画家です。
ここに来て新作とは『ベルセルク』はどうなったのか? という疑問は当然生じますが……
本作の舞台は、荒廃した砂漠が広がって、多くの生物が絶滅した――遠い未来と思われる――世界です。
ただこの世界、多くの生物が滅びた代わりに何メートルもある巨大な昆虫やら砂漠に住む巨大魚やらが出現しており、何より「巨人」が存在します。

(三浦建太郎『ギガントマキア』、白泉社、2014、pp.4-5)
上画面の鼻がたくさんあるゾウのようにも見えるタコとか、正確な生物描写に基づいたクリーチャーデザインは相変わらずです。
そして、この世界にはいわゆる人間(「人族(ヒュー)」と呼ばれます)の他に、虫人間やラミアのような種族など様々な亜人間(「亜人族(ミュー)」)が生息していますが、巨人という兵器を操る人族の「帝国」が、原始的な生活をしている亜人族を蹂躙しているのが現状です。
本作の主役はそんな世界を旅する二人組。
木訥な大男の「烈修羅(レスラ)」泥労守(デロス)と、特殊な能力を持った少女の風炉芽(プロメ)です。

(同書、p.31)
ちなみに風炉芽はこのポンチョのような衣装の下は裸、しかも空気中から集めた水分や体内の「峰久為流(ネクタル)」を供給することができるのですが、この体勢だと放出口は頭の真上にある、って……

(同書、p.8)
つまり幼女の放尿プレイ……
まあ、レイプを初めとするエログロ満載だった『ベルセルク』に比べればその点では遙かに大人しいとも言えますけれど。
そんなこともやっていますが、本作の本筋はバトル漫画。
それも、前半は人間を憎む亜人族・聖虫(スカラベ)族の戦士と戦ったりしていますが、やはり最大の見所は最初に見た巨人の戦いにあります。いわば巨大変身ヒーロー。

(同書、pp.132-133)
それでいて主人公の戦闘スタイルはあくまでプロレスです。
そこにも、敵の攻撃を受け切るのが憎しみや殺し合いを超えて敵も味方も生きるための道だとか、巨人は全細胞にダメージを与える必要があるとか、それらしい理屈は付けています。

(同書、p.138)
やたらと人名や用語に漢字で当て字をするセンスとか、『覚悟のススメ』を思わせるこの決め台詞なども確かに新境地ではあります。
さて、風炉芽が「脳内エンドルフィン分泌」云々等と現代科学的な物言いをすることは、彼女がかつての文明の知を引き継ぐ存在であることを示唆します。
おそらくは巨人ともども、人工的に作られた存在ではないかと思われます。
その辺の設定や、帝国との戦いというストーリーに深入りしていけば大長編になりそうですが、巻数表記がありませんし、どうなるのでしょうか。
『ベルセルク』と並行して続けていくとすればペースも気がかりなところですし……
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