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この試験はどこへ向かうのか…――『アヴァロン42 理想郷に響く銃 2』

今回取り上げるライトノベルはこちらです。

アヴァロン42 理想郷に響く銃 (2) (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)アヴァロン42 理想郷に響く銃 (2) (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)
(2014/08/03)
吉野匠

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 (前巻の記事
本作はヴァーチャルリアリティの世界で刀や銃、魔法を使って戦うバトル物、と言っていいでしょう。
ヴァーチャルリアリティの世界なので、死んでも現実に死ぬわけではありませんが、ゲームオーバーでこの世界からは消えることになります。そして、このゲームは「適合者選抜試験」であって、主人公たちにはこの試験を勝ち残らねばならない理由があるのです。

一体何の「適合者」を選抜しているのか、1巻ではまったく説明がありませんでしたが(なぜかあらすじには説明があったものの)、この2巻冒頭でようやく説明が入ります。
汚染され、さらには2年後には小惑星衝突の可能性が高いという地球を脱出する「箱船」に乗って、異星へと移住できる人間の選抜なのです。
……やはりこの設定、「なぜ主人公が必死で戦わねばならないのか」の理由という大事なものですし、早めに説明しておいた方が良かった気がしますが。この2巻まで伏せておいたことによる演出効果なども見当たりませんし。

さて、主人公藤間涼司が所属しているのは「ユートピア4」というヴァーチャルリアリティの世界にある42の学園の一つ、「アヴァロン42」です。
前巻で、学園「アヴァロン42」内を自らのコミュニティに統一することに成功した涼司。しかし、これで終わりかと思うと選抜試験はまだ続きます。今度は「ユートピア4」内の42の学園全てを一つのコミュニティに統一せねばならない、というのです。
「ユートピア4」にも数字が入っているので、これが終わったら次は複数の「ユートピア」を統一しろとか言われそうな気がしてきますが……。まあ今後のことはさておいても、これは試験作成者の意地の悪さ、あるいはそもそも表向きの試験の「ゴール」(適合者としての合格)が存在するかどうかの疑わしさを示すための演出かも知れません。

したがって、他校のマスターと「どちらが相手のコミュニティに統合されるか」という抗争になるのですが……同じ学園の人間を殺すと減点というルールがあったのに対し、他校相手だとそういう縛りがないので、駆け引きの要素は1巻よりも弱くなっている気がします。
そして、他校のマスターの人物像や存在感がどうにも微妙です。

一人は最初から、涼司に対する敵対意志はありません。その理由もあっさりしたものですし、しかも涼司自身知らない(覚えていない)理由でそうなっているので、彼との間に緊張関係や駆け引きの生じる余地はありません。
もう一人も……まず「なぜそうなったか」という背景以前に、現在の彼女の行動について「突然、得体の知れない力を得て、その力を自分以外のために使おうとして暴走する、危なっかしい女の子」(p.143)と表現されていますが、その「自分以外」の範囲が狭いと言いますか、「現代のジャンヌ・ダルク」に喩えられるような人物とは思えません。

ただ本作には、より大きなレベルでのストーリーに繋がっていると思われる要素があります。
この適合者選抜試験の参加者で、現実においても超能力のようなものに覚醒する人間がいるということ(こちらは1巻で主人公が体験済み)と、ヴァーチャルリアリティの世界で死んでゲームオーバーになった(作中では「蜘蛛の糸が切れる」と表現されています)人間は現実でも姿を消すという噂です。
2巻後半ではこれらの件についても動きがあって、どうやら「現実で超能力に覚醒する」ことこそ、この選抜試験の真の目的であるとも言われます。なるほど、魔法の存在する世界でのサバイバルなど、これからの現実における「箱船」での生活をシミュレートした試験と考えると不可解なものでしたが、そもそも能力開発が目的ならば理解できます。
「経験値稼ぎ」のためのダンジョンもあって、この2巻では一気にとてつもなく難易度の上がったダンジョンも描かれますが、そのダンジョンの内容そのものはあまりストーリーとは結びついていない感がありました。ですが、それも能力開発のためにこんな面倒な仕掛けが必要だった、ということなのでしょうか。

そして、この計画に反対する人間の介入もあるようで……?

それから「蜘蛛の糸が切れた」人間が現実で姿を消す件に関しては、これまでのところ噂止まりでした。
主人公の妹の友人にもそんなことがあったようで、また作中のテレビもそのことを報道したりしていますが、調査の尾世だ範囲内でそういうことが複数あったからと言って、「誰もが」姿を消すのかどうか、それが適合者選抜試験と因果関係があるのかどうかは分かりません。
しかし今巻、ついに主人公の身の回りにその当事者が出ます。身をもって「人が消える」異変を体験した涼司は……

というわけで、現実世界での動向と、それとヴァーチャルリアリティ世界との繋がりに関してはなかなか面白そうな動きが見られました。次巻以降ではそちらのさらなる展開を期待したいものです。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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