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神なき禁断の果実の神話

ローカルなTV番組事情のせいか、京都で昨日(24日)放送された『仮面ライダー鎧武』と『ハピネスチャージプリキュア』は一週前(17日)の放送分でした。私は愛知の実家で先週に観たものをまた観るという妙な体験をしました(さすがに前半で気付きますが)。
そして、24日放送分は今日(25日月曜日)の午前10時から放送されました。

そんな中で、最近の『鎧武』の展開を振り返ってみます。

ロシュオが威厳と品格を持ち、「人間が救うに値するかどうか確かめる」と言うような存在だと知った光実は、舞をロシュオの元に託します。「彼女こそ救うに値する人間だ。あなたが彼女を切り捨てるなら仕方ない」と言って。
「紘汰たちが必ず自分を助けに来る。私は仲間を信じてる」という舞に対し、ロシュオは「あの光実というのもお前の仲間ではないのか」と問います。光実が「仲間」だと肯定する舞。
「お前の言うことは矛盾だらけだ」――「一度裏切られたことは、信じない理由にはならないよ」
そして舞は問い返します――「あなたは、一度裏切られたら信じるのをやめるの?」 「当然だ」とロシュオが言った時の舞の言葉は――「だからこのお城は、こんなに空っぽなんだね」

たとえば少年漫画において、「仲間の裏切り」は時にタブー視されるくらい、大変扱いの難しい題材です。
一方で仲間との絆の大切さを描きつつ、他方で仲間の裏切りを描いたのでは、筋が通らないからです。

しかし考えてみると、たとえば「仲間が助けに来る」ことを「客観的に判断してそうだと分かっている」のならば、「信じる」という動詞は使いません(往々にして「客観的に分かっている」レベルで仲間が都合のいい存在になってしまうことがあるのが、話作りの難しいところですが)。
本来、「信じる」ことは「疑う」ことと一体です。裏切られても、確かでなくても信じることにこそ、重みがあります。

さて、ユグドラシルタワーに乗り込んだ紘汰は、レデュエにより幻覚を見せられます。自分がインベス化し、人々に迫害されるビジョンを。
知恵の実の力を使えばそうなるし、紘汰の身体はすでにそうなり始めている。それでも人類を守るのか――と問いかけられます。

舞のもとにもDJサガラが現れて語ります。ヘルヘイムが一つの世界を浸食するごとに一つ実る知恵の実は、森を支配する王を生み出すためのもの。
もし森を退けて人類を守れば、残った王は行き場を無くす、というのです。
その強大すぎる力は必ずや恐怖と迫害の対象となるだろう、と。

もちろん、ここまで来れば主人公の採る選択は一つ、待っているのは人類の敵となる運命だろうと、人を守るために戦い続けます。

さて、ロシュオはかつて、知恵の実の力を手にして同胞のフェムシンムたちを森の侵食から救いながら、結局フェムシンムたちは力に溺れて互いに殺し合い、ほとんどが滅びてしまったという過去を持っています。
だからロシュオは、そんな愚かな種族を救おうとした己を自嘲し、亡き妃も「悔やんでいることだろう。このような愚かな男に知恵の実を託したことを」と言います。
けれども舞は言います。「それは違うよ。それでも皆を助けようとしたあなただからこそ、奥さんは力を託したんでしょう?」
それを聞いたロシュオは、「知恵の実はお前に託す」と言って舞の体内に知恵の実を送り込むと、舞を地球に送り帰してしまいます。

戒斗は光実と対決。
かつて光実が紘汰を後ろから撃った時には「俺の敵は、強者を後ろから撃つ、お前のような奴だ!」と行っていた戒斗ですが、今や「お前はもう強者でも弱者でもない。ただのバカだ」と言い放ちます。
「オーバーロードに利用されているのが分からないのか」と言われても、「奴らを利用しているのは僕の方だ」と言い続ける光実ですが……しかし足止めのライダーたちに逃げられたところで、光実にレデュエが言い放ちます。
「あの女をロシュオに預けることで、私の裏を掻いたつもりか? お前、意外と間抜けだねえ。考えててもみなよ、ロシュオが本当にあの女を気に入ったのなら、お前みたいな危ない奴のところに置いておくと思うかい?」

娯楽で人間を殺し、さらにロシュオの妃を蘇らせるための生贄として人間を攫うレデュエに対し、光実は自分の選んだ人間は助けて貰うよう取引をしていました。しかし、相手がいつまでも約束を守っているとは、当然思っていません。
だから舞だけは守るためにロシュオのもとに……という意図だったのですが……

狡猾で悪辣なレデュエとの化かし合いで裏切られたのならば、光実は「もっと上手くやるべきだった」と思うだけで、決して「人を騙して上手く立ち回ろうとしてきたこと」そのものを悔やみはしなかったでしょう。
しかし、人を騙してきたことのツケは、お互いに騙し合う気などさらさらない相手に信用されないという形で、払わされることになりました。この顛末は見事というべきでしょう。
もちろん光実は、「反省する」にはあまりにも、もう戻れないところまで来ているのですが……

森に一人残ったロシュオは圧倒的な力で紘汰と戒斗を迎え撃ちますが、勝負が決まった瞬間、レデュエに背後から撃たれることになります。
勝ち誇るレデュエ。しかし「知恵の実」はすでに舞に託された後……
その後、一度破壊されたカチドキロックシードを復元するなどさらに知恵の実(の一部)の力を発揮した紘汰によりレデュエも倒され、かくしてフェムシンムは一人残らず滅びることになりました。

知恵の実の力を手に入れて一つの世界を滅ぼす森を掌握し、同時に絶望をも味わい、その上で二つ目の知恵の実をも手中にしていたロシュオの次なる役割は何といっても、将来を担う者(地球人)を「信じて」託すことであり、それを果たしたところで、役目を終えたということなのでしょう。
17日放送分はここまでした。

そして今回ですが……チーム鎧武の拠点に戻った舞は、知恵の実を体内に宿した影響で倒れます。
しかし、事態をいち早く察していた光実と戦極凌馬により身柄を確保されます。
このままでは知恵の実の影響で、舞も人間をやめることになる、という凌馬。そこに現れたサガラによれば、そうして舞は「最初の女」になるのだと。
お前は何者なのか、と問われたサガラは答えます――「ある時にはただ蛇と呼ばれた。お前たちが与えてくれた名を名乗るのもいいな――ヘルヘイム、と」
彼はヘルヘイムという森の意志そのものであり、その目的は森の侵食という滅びを通して、生物を進化させること。滅びも新たな創造のための一段階に過ぎない、という彼にとって、人間的な善悪を問うことは無意味なのでしょう。

蛇はまずイヴを誘惑し、イヴがアダムを誘ったという神話の通りに、禁断の果実は蛇から女へ、そして男に手渡されます。
ただこの場合、誘惑者たる蛇が同時に果実を実らせる森そのものである、というのが味噌です。果実の管理者にしてそれを食べることを人間に対して禁ずる神はどこにもいません。
ただ、それはポジティブな意味をも持ち得るはずです。この世界において禁断の果実を食することは、「神の戒めに背く」という意味での「罪」ではないのですから。

他方、戒斗はこの期に及んでも、滅びを歓迎します。森に勝てぬ弱者は滅びればいい、と。
幼い頃に生まれ育った街が奪われるのを見てきた彼には、「自分の居場所は新しい世界にしかない」という思いがあるようです。
しかし、彼もフェムシンムに受けた傷(緑色に変色しています)が悪化し、先の命は危うい模様。
そして湊耀子は、「正気なの!?」と問い質しつつ、戒斗の行く末を見守るつもりのようです。

凌馬は、舞の身体から知恵の実を摘出する算段はある模様。
「ただし、障害になるのが葛葉紘汰だ」と彼は光実に言います。「彼は知恵の実の力を手にして人類を救うことを願っている。つまり舞君が『最初の女』になることを望むだろう」
そう聞いた光実は「舞を救う」ため、装着者の生命力を吸い取る危険なロックシード、ヨモツヘグリロックシードを凌馬から受け取り、命がけで紘汰との戦いに臨みます。

野望破れて、最後に大切な女性を守るために命を懸ける……とこれだけ言うと改心したように見えますが、何のことはない、捨て鉢になった分今までよりも安易に悪党に利用されるようになっただけです。
元々はっきりした目標のないまま、「上手く立ち回る」ことが自己目的化していた人物にあって、それが破綻した時の末路とはこういうものなのでしょうか。
なんかもう、光実に関しては救いがあるとしたら死に際くらいのものになりそうですが……

次回はそろそろ、「最初の女」となる舞の方が決断を迫られそうな様子でもあり。クライマックスで、非常に楽しみです。

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T.Y.

Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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