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2014年8月の読書メーター

先月の読書メーターまとめです。
31冊8305ページでした。

読書メーター2014年8月

漫画が多いとは言え、(論文作業とかやることはあった割には)途中までは結構なペースで読んでいました。終わってみればちょうど1冊/1日に終わりましたが。
登山中とか、ともすれば昼間の半分くらいは歩き回っているものの、山小屋に着いた後はできることが限られるので普段以上のペースで読んでしまう、というのもあるかも知れません。
自分で購入したのでなく、山小屋にあったものを読んだのも2冊ほど。普段は借りた本に限って読まないのですが……

以下、記事で取り上げていないものを抜粋。


【ライトノベル】

アルカ 創生のエコーズ III (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)アルカ 創生のエコーズ III (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)
(2014/08/03)
project-ALCA-

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 (前巻の記事

今回はメイの話が多め。エルゼムを脱出しレイメイに向かうメイ達。他方で若葉はエルゼムで一命を取り留める。巫女の代役を務める若葉、ラズと教次郎の交換取引…と、ようやく若葉とメイがそっくりなのが筋に活かされてきたかな。二人がそっくりな理由の他、17年前の「ゼロの落日」に真相と黒幕、ラズの陰謀、両国上層部の大人達の人間関係と、重要情報も次々明かされてまもなくクライマックスという感じだが、重要情報に限って出し方があっさりしているせいか、どこが要所なのか印象に残りにくい。この物語を観る美春と合わせてどこへ向かうのか。


アウラド(クローンビト)について偏見を植え付けられていた主人公が、実際に会ってみればいい人たちであるアウラドの姿を見て認識を改める……とここまで見ればいい話ですが、他方でアウラドたちは記憶や認識を人工的に操作されていたり、普通の人間なら死んでいる状態でも戦いに向かっていく能力があったりと、知れば知るほど不気味な面もあります(主人公の若葉たちは、まだその辺をよく知りませんが)。

「実際に見ることでかえって不気味に感じ、差別が助長される」というケースもあるのです。

本作の反エルゼム組織・ガディアのメンバーもそうした思いを抱いています。
それと、アウラドに会って親近感を抱くようになった若葉との対比一つ取っても、中々面白そうな題材なのですが……わずかなページ数しか登場しないガディアのメンバー視点からさらっと描かれるだけなのでどうも物足りません。
他には、アウラドは特定の年齢で生まれ、そこから成長することはない、という設定にも触れられました。まあ、エルゼム建国が17年前(その時点ですでにアウラドがたくさんいたわけではない)にもかかわらず、老若男女が揃っているという状況を考えれば、道理ではありますが……
クローンビトであるセトの特異な能力は1巻でも披露されていましたが、あれだけだとライトノベル的には「カッコいい力」にも見えますし、クローンビトの不気味さを印象づけるには弱いでしょう。

とかく、話の要点が印象に残らないのは、話が複雑なせいだけではありますまい。魅せ方の問題です。
(今回は巻末に用語集があり、複雑な話と設定を押さえる上では助かりましたが)

そして、前巻の最後では物語のもう一つの位相が姿を見せました。
ここまで展開されてきた若葉とメイたちの物語は、女子高生・奈良原美春(ならはら みはる)が見せられている物語だというのです。
美春の世界では、「マザー」はインターネットの総称、「アウラド」はウェブ世界でのアバターと、全く違った意味を持っています。美春がなぜこの物語を見せられているのかは定かでありませんが、世界観があまりにも異なるので、どうもただの過去の事実というだけでは済まなさそうです。
さて、どうなるのでしょうか。


【漫画】

魔女の心臓(5) (ガンガンコミックスONLINE)魔女の心臓(5) (ガンガンコミックスONLINE)
(2014/08/22)
matoba

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滅亡寸前の国で城に残る姫と一人の騎士、教会の命で暗殺を行うシスター、山賊の頭を務める娘、猫耳の人達の街…。いい話、あるいは残酷でありながらどこか美しい人間模様。他方でいかにもファンタジーな世界の話も。支え合いも憎しみも含めて、人は他者と共に生きている。それは人と異なる時間を生き旅を続けるミカも。ただ、ミカの目的についてはあまり動きなし。新メンバーのリツカはあまり活躍しなかったが(喋れない分掛け合いにもならないからか)、猫に狙われるところとかいい味出してる。


本作の主人公ミカは、旅の行く先々で色々な人と関わり、無表情でクールに見えて感情移入も豊富で、暖かみのある付き合いをしますけれど、あまり説教臭くなることはなく、良い選択も悪い選択もそれぞれの人の手に委ねます。ただ、「選択肢が多いのは悪いことではない」と言って、人の選択肢を広げることに協力したり、人が選んだことを実現するには協力します。その距離感が独特の美しい雰囲気を形作っているのでしょう。
ちなみに当初からのお供であるランタンのルミエールに加え、前巻ではネズミの姿に変えられた青年・リツカもお供に加わりましたが……

人間の殺し合いに関わる悲しい(それでも暖かさを含む)エピソードがある一方で、ファンタジー的な種族も登場し、コメディタッチな話もあります。
今巻最後の「猫耳恋々」など実に可愛くて楽しいです。
皆が猫耳を付けている街。「猫祭りの最中だ」という説明ですが……

魔女の心臓5巻1

魔女の心臓5巻2
 (matoba『魔女の心臓 5』、スクウェア・エニックス、2014、p.166, 168)


乱視の国のアリス(1) (アクションコミックス(コミックハイ! ))乱視の国のアリス(1) (アクションコミックス(コミックハイ! ))
(2013/06/12)
ししくら あさこ

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美竹ありすは眼鏡を外すとあまりの美少女のため、物語の登場人物の男性まで魅了してしまい、かくしてお伽噺のヒロイン達が彼女の命を狙ってやってくる…。天然なありすは可愛いし癖のついお伽噺のヒロイン達とのやり取りもまずまず楽しいが、眼鏡が容姿のマイナス要因としか捉えられていないのは残念。絵的にもそんなに劇的に変わるように見えないし。しかし、最後でありすの正体が示唆され、この先の展開はなかなか楽しみなことに。


乱視の国のアリス(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))乱視の国のアリス(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))
(2014/03/10)
ししくら あさこ

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美竹ありすの正体についてはもう一~二転し、新たな物語の世界のお姫様もレギュラーに加えつつ、全ての真相が明かされ完結。物語とは何なのか……といった問題には必ずしも踏み込まず、ヒロイン達のコメディタッチな掛け合いや生き方を主として描いた話。まあこういのもいいか。


まあ、読書メーターのレビューに書いた通り。


女子力向上カツドウキロク 1 (バンブーコミックス)女子力向上カツドウキロク 1 (バンブーコミックス)
(2014/08/07)
大塚 志郎

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根暗のナオコ、性悪秀才のチエ、ギャルのソラという3人の女子が、女子力向上を目指してパンツを見せ合ったり、化粧を公開したりと(空回りした)活動に励む…。一ジャンルとなった感のある喪女・ぼっち系少女だが、ネタもコメディも普通ながらそれなりの出来かな。線が細く控えめな絵柄で描かれているのがまた可愛い。


『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』に比べると主役3人娘のダメっぷりはそこまででもありません。
ダイエットの失敗など、いわゆる「喪女・ぼっち」に焦点を当てた作品でなくてもありそうなネタも。


ドカコックドカコック
(2014/08/01)
渡辺 保裕

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全国の工事現場(中には鉄道や漁の現場も)を渡り歩き、力飯を振る舞って問題を解決していく流しのドカ、京橋建策。一人劇画調の主人公が派手なアクションで料理の腕を奮い、料理の過程が工事の工程や道具の使い方に喩えられ、その音を聞き姿を見た時点で皆が感動、料理名やフレーズに必ず「ドカ」を付けるというシュールなセンスと、各地の郷土料理を活かした創作力飯の美味そうな表現が、何とも独特な味を出している。ただ、収録が発表順になっていないのは謎。発表順に読んだ方が馴染みやすいような。


何かと問題を抱える工事現場。
そんな現場をで、流しのドカ・京橋建策(きょうばし けんさく)がおもむろに料理を作り始め……

ドカコック1

材料は建築素材に、料理の音や動作は工事の作業に喩えられ、その音を聞き過程を見るだけで皆興奮し始めます。

ドカコック2

料理の完成は「竣工」と表現。料理名には必ず「ドカ」が入ります。

ドカコック3
 (渡辺保裕『ドカコック』、一迅社、2014、pp.72-75, 78-79、クリックで画像拡大されます)

そして「ドカうま~」と感激、問題解決。
最後に京橋は「君はもしやあの伝説のドカコック」と聞かれるものの、「自分はただのドカですよ」と言って去っていく、という完璧な黄金パターン。

『週刊漫画ゴラク』『ヤングキング』『週刊漫画サンデー』等を渡り歩いた本作ですが、この度ついにきちんとした単行本になりました。
しかし最大の怪挙は、(一迅社の漫画部門からではなく)ライトノベル一迅社文庫の編集部からこれが出たことでしょうか。
さらに奥付には「Special Thanks 京都大学SF・幻想文学研究会 有志一同」の文字が……何故。


【その他】

エースの品格 一流と二流の違いとは (Clickシリーズ)エースの品格 一流と二流の違いとは (Clickシリーズ)
(2008/05/15)
野村 克也

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山小屋にあったものを読了。ここでの「エース」とは投手に限らず、チームの勝利を目指すという野球のあり方に即して鑑となる存在のこと。全体としては半ば自伝のような形で著者の経験を綴っており、主要なエピソードは他著作でも見られるもの。評論家時代に講演依頼が殺到した話と、阪神の問題を著者の現役時代に遡る問題と見ている辺りが印象的だった。著者が東北楽天の監督だった時期の著作なので、当時の楽天の選手についての話はその後のことを念頭に置いて今読むとまた面白いことも。


野村氏の著作は1~2冊読めば、かなりの内容は被っています。
本書も例に漏れず……ですが、評論家時代のエピソードは私は初めて読みました。
後は、野村氏の現役時代、オープン戦で甲子園球場の選手食堂に行くと、選手が派閥に分かれていて、番記者まで派閥ごとに分かれ他の派閥とは口を聞かないという異様な光景――そんな感じで阪神には昔から悪しき伝統があった、とか。
氏の現役時代というと、こと話の内容から判断して小山正明が在籍していた頃となると、阪神は結構強かったはずなのですが……'90年代になって急に暗黒期に突入したわけではなく、もっと根深い問題があったのかも知れません。

私が読んだのは元の版ですが、文庫版↓も出ているようです。文庫化に当たっての加筆・追記などがあったのかは未確認です。

エースの品格 (小学館文庫)エースの品格 (小学館文庫)
(2010/07/06)
野村 克也

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山小屋はいらないのか山小屋はいらないのか
(1995/06)
三俣山荘撤去命令を撤回させる会

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山小屋にて読了。林野庁による山小屋の地代決定方式の変更、そしてそれに反対する三俣山荘への立ち退き命令に反対して書かれた一冊。三俣山荘の伊藤氏の文の他、シンポジウムや多くの登山関係者の寄稿、この件の背景(林野庁の赤字)に関する分析も。山小屋は多大なコストをかけて、単なる宿泊施設ではない幅広い仕事を行う、近代アルピニズムには欠かせないボランティアであるが、そのことは中々理解されない。林野庁による国有林の私物化等、この件には大きな問題が絡んでいる模様。


そもそも登山に縁のない人は、「山小屋」というのがどんなものか知らない場合があることに最近気付きました。
山小屋は旅館法の適用される宿泊施設で、宿泊料を払うことで泊まることができます(食事付き)。
ただし下界の旅館と違い、電気も水道も舗装道路もない山の中で、自前で水を汲み、発電機を回し、屎尿処理を行っているのです。さらには道の整備、自然保護、遭難者の救助・救命など、ほとんどあらゆる仕事をせねばなりません。
食料などは下界からヘリコプターで運んでいる(ヘリがチャーター可能になる以前は歩荷(ボッカ)が担いで)ので、ジュース1本が300~400円したりしますが、コストを考えれば当然でしょう。1泊2食で9000円ならば安いくらいです。

そんな山小屋の仕事を下界の役所は理解せず、下界の理屈を押しつけ、さらには林野庁の赤字解消のために開発(自然破壊)を行い、山小屋に対しても地代値上げを迫っている……というのが本書の趣旨です。
本書の出版から20年弱、調べてみると訴訟は敗訴したようですが……

そう言えば、当然ながら山小屋は現金払いで、小屋の経営者はお金を銀行に持っていくことも1~2ヶ月に一度しかできません。当然、細かい小銭のやり取りなどできるはずがなく、消費税増税に合わせて税込価格を細かく上げることなど不可能です。
300円を400円に値上げするようなことをしない限り、消費税は山小屋の収益から支払わざるを得ないはずですが、増税は山小屋にどう影響するのか……法律の文面さえ仕立てれば、どこでも同じように税金が支払われると思うのは錯覚です。


読んだ本の一覧は追記にて。


2014年8月の読書メーター
読んだ本の数:31冊
読んだページ数:8305ページ
ナイス数:566ナイス

白暮のクロニクル 3 (ビッグコミックス)白暮のクロニクル 3 (ビッグコミックス)感想
無届けで姿を消すオキナガ、そして過疎の集落にオキナガらしき転入者が集まっている…? 調査に向かう伏木達。オキナガの娘を持つ夫妻の秘密。今回は独立した事件のようだが、オキナガの“吸血”に関する習性と伝承の吸血鬼との違い、周辺住人の目などオキナガの起こす社会問題と、「そういうものが存在する世界」の掘り下げを見せた巻。数百年を来ているオキナガが二人登場、歴史を超えた特異な生き方を見せたのも印象深いところ。
読了日:8月1日 著者:ゆうきまさみ
銀河女子中学生ダイアリー(1) お姫様ひろいました。 (ファミ通文庫)銀河女子中学生ダイアリー(1) お姫様ひろいました。 (ファミ通文庫)感想
2087年、超光速宇宙船(二人乗りの小型サイズ限定)が日常的に使用されるようになった世界で、ロガーヘッド(宇宙船乗り)のビギナーズ大会に出場した女子中学生トモエとサヤは、異星の小国シュリンゲンジーフ王国から亡命してきた元宰相の娘コダチと出会う。女子中学生の緩い日常スペースオペラ。トモエとサヤ、それにスポンサーも交えた女の子達もいい取り合わせで楽しい。しかし異星の国の政変に関わる方はまだ序章も序章、ストーリーに関してはひとまず先を待ちたい。
読了日:8月2日 著者:庄司卓
深き迷宮と蒼の勇者 -銀閃の戦乙女と封門の姫外伝 (一迅社文庫)深き迷宮と蒼の勇者 -銀閃の戦乙女と封門の姫外伝 (一迅社文庫)感想
『放課後ランダムダンジョン』改題+加筆修正。加筆により『銀閃』に関わる話やキャラクターのゲスト出演もあり楽しめる。さらに書き下ろし後日譚は『銀閃』後の話で、和馬達がフレイ、梨花とともに六道島に集う。アルルメルルが安定の暴走具合(形容矛盾)、ダンジョンの根幹を揺るがすとかやってくれる。内容については元バージョン時に書いたけれど、こうして『銀閃』及び後日譚と併せると、強大な力を持って生まれ多くのものを背負わされた子供達の物語として綺麗に締めているかと思う。
読了日:8月3日 著者:瀬尾つかさ
ギガントマキア (ジェッツコミックス)ギガントマキア (ジェッツコミックス)感想
荒廃して多くの生物が絶滅、そして巨大な虫等が跋扈するようになった世界。人間の「帝国」は「巨人」を兵器として亜人種を蹂躙していた。そんな世界を旅する大男・泥労守と少女・風炉芽の二人組。彼らの正体と目的は……。巨大変身ヒーローだけど戦闘スタイルがプロレスとは。相変わらず生物の形態をきちんと押さえたクリーチャーデザインと、迫力ある戦闘描写が見事。話を広げようと思えばどんどん広げられそうだが、どうなるのかね? ベルセルクをどうするのかも気になるが……
読了日:8月4日 著者:三浦建太郎
ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 1巻 (ビームコミックス)感想
森の木の根本の家に住む小人の少女ハクメイとミコチ。虫や獣と小人が共存する社会で、慎ましく仕事をして暮らしたり、賑やかな商店街に買い出しに出かけたり、近隣のちょっと変わった住人と交流したり…。背景や動植物の描き込みは丁寧で、料理は美味そうで、何ともリアルかつ楽しく穏やかな生活が味わえる。たまに彼らのサイズ(身長9cm)と比較して動植物や小道具のスケールが疑問なこともあるが、なかなか良かった。
読了日:8月4日 著者:樫木祐人
銀煌の騎士勲章1 (一迅社文庫)銀煌の騎士勲章1 (一迅社文庫)感想
3種の聖獣を駆り戦う騎士が魔物と戦う帝国。田舎の村の少年カイン=パルスは騎士になるため帝都へ上京する。しかし身を寄せる予定の家は差し押さえられており……。帝都で出会う様々な騎士志願者達、そして騎士登用試験における不正の陰謀。この巻では魔物はほとんど姿を見せず、聖獣戦も僅かで、魔物と帝国騎士という強大な力同士が拮抗する世界の特異性は、終盤になってようやく示唆される。主人公の栄達も最後でスタート地点だし、ゆったりしているというべきか。最後がルーファの短編で主役を乗っ取ったかのよう、雑誌掲載の短編だったのか
読了日:8月5日 著者:川口士
ハクメイとミコチ 2巻 (ビームコミックス)ハクメイとミコチ 2巻 (ビームコミックス)感想
雰囲気は相変わらず。元気なハクメイが怖がるところも、そして大工仕事にかける意気も見られる。リモンチェッロやブドウのパンのサンドイッチといった食べ物もいいが、卵の家の美容室というのが小人らしくていい感じ。巻末に載っているカラー漫画も自然の鮮やかさを感じさせて素晴らしい。この世界でも鳥は喋らないようだが、人柄の良さには変わりなし。
読了日:8月5日 著者:樫木祐人
銀煌の騎士勲章2 (一迅社文庫)銀煌の騎士勲章2 (一迅社文庫)感想
皇女の従衛となり日々励むカイン……なのだが、今回の前半は騎士になったカインの腐れ縁アヴァルや、敵であるインフェリアの連中の視点が多め。田舎出身の主人公が新たに得る知見とは別のところで世界観を見せていく辺り、なかなか大胆な展開。しかしインフェリアの動きと終盤に合流する辺りはさすが。そして衝撃の引き。ネズミ講詐欺を扱った短編は同じ事件を三つの視点で描いたもののようなので、3巻の収録される3話目待ちか。
読了日:8月8日 著者:川口士
安達としまむら (3) (電撃文庫)安達としまむら (3) (電撃文庫)感想
バレンタイン編。今回は大部分が、バレンタインまでの10日間という、同じ期間の出来事を安達としまむらそれぞれの視点から描いている。こちらの視点だとあの件の真相は…というのはいつもながら巧み。安達の挙動不審は止まるところを知らず、二人の関係が保っていること自体に相当の危うさを感じさせていたが…。そんな中、しまむらの旧友の登場で、疎遠になった旧友との関係のぎこちなさや遠ざかる寂しさも絶妙に描いて、最後はそれらが結びついて、二人がなかなかいい関係を築いていることを印象付けて綺麗に締める。やっぱり流石の手腕。
読了日:8月9日 著者:入間人間
アルカ 創生のエコーズ III (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)アルカ 創生のエコーズ III (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)感想
今回はメイの話が多め。エルゼムを脱出しレイメイに向かうメイ達。他方で若葉はエルゼムで一命を取り留める。巫女の代役を務める若葉、ラズと教次郎の交換取引…と、ようやく若葉とメイがそっくりなのが筋に活かされてきたかな。二人がそっくりな理由の他、17年前の「ゼロの落日」に真相と黒幕、ラズの陰謀、両国上層部の大人達の人間関係と、重要情報も次々明かされてまもなくクライマックスという感じだが、重要情報に限って出し方があっさりしているせいか、どこが要所なのか印象に残りにくい。この物語を観る美春と合わせてどこへ向かうのか。
読了日:8月10日 著者:project-ALCA-
魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)感想
普通でない魔法少女達「ピュアエレメンツ」の仲間に迎えられた平凡な魔法少女プリズムチェリー。「人造魔法少女」の調査に各方面から集まってくる魔法少女達(スノーホワイト含む)。今回はプロ魔法少女が多く、魔法少女業界の政争に踏み込んでいることを感じさせる。戦いの勢力対立は割と単純、複雑なのはむしろ背後の連中の駆け引き。今後のことはまた分からなく。人造魔法少女の作者については謎だったが、“規格化された仲間に悪い敵”という茶番は単なる実験か、革新への道か…。活躍も死に甲斐も少ない魔法少女が結構いたのがやや残念かな。
読了日:8月11日 著者:遠藤浅蜊
アヴァロン42 理想郷に響く銃 (2) (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)アヴァロン42 理想郷に響く銃 (2) (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)感想
学園「アヴァロン42」を一つのコミュニティに統一した涼司たちだが、適合者選抜試験はまだ続く。ようやく説明される選抜試験の意味。さらに物語が進むにつれ、この選抜試験の裏の意味も明かされ、それを巡る陰謀が裏にあることも示唆されてくる。何より、この世界でゲームオーバーになった人間は現実世界でも姿を消すという噂の当事者が身内から出て、事態は核心に近づいてきたか。他方で、他校のマスター達はどうも微妙なキャラだった。
読了日:8月12日 著者:吉野匠
エースの品格 一流と二流の違いとは (Clickシリーズ)エースの品格 一流と二流の違いとは (Clickシリーズ)感想
山小屋にあったものを読了。ここでの「エース」とは投手に限らず、チームの勝利を目指すという野球のあり方に即して鑑となる存在のこと。全体としては半ば自伝のような形で著者の経験を綴っており、主要なエピソードは他著作でも見られるもの。評論家時代に講演依頼が殺到した話と、阪神の問題を著者の現役時代に遡る問題と見ている辺りが印象的だった。著者が東北楽天の監督だった時期の著作なので、当時の楽天の選手についての話はその後のことを念頭に置いて今読むとまた面白いことも。
読了日:8月12日 著者:野村克也
山小屋はいらないのか山小屋はいらないのか感想
山小屋にて読了。林野庁による山小屋の地代決定方式の変更、そしてそれに反対する三俣山荘への立ち退き命令に反対して書かれた一冊。三俣山荘の伊藤氏の文の他、シンポジウムや多くの登山関係者の寄稿、この件の背景(林野庁の赤字)に関する分析も。山小屋は多大なコストをかけて、単なる宿泊施設ではない幅広い仕事を行う、近代アルピニズムには欠かせないボランティアであるが、そのことは中々理解されない。林野庁による国有林の私物化等、この件には大きな問題が絡んでいる模様。
読了日:8月14日 著者:
南蛮服と火縄銃 (スマッシュ文庫)南蛮服と火縄銃 (スマッシュ文庫)感想
永禄6年、イエズス会の少年宣教師ミゲルは、「因子もち」という異能者を求めることを真の任務として来日していた。堺の商人の娘かがせはミゲルと会うことで、13代将軍義輝の暗殺という予言された未来を変え、兄を救おうとしているが…。前半の少年少女キャラによる異能バトル物は地味、後半「未来を変える」ことと「歴史を変える」ことの差異が明瞭になり、実在の人物が多々登場した辺りで架空戦記としての面白さが出てきた感。しかし前者と後者の乖離も少々感じる。キャラクター小説的な部分より、後者の方が著者の本分なのかも。
読了日:8月15日 著者:静川龍宗
盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)盟約のリヴァイアサンII (MF文庫J)感想
ルルク・ソウンの緋文字を得た竜族、パヴェル=ガラドが日本に襲来。織姫やアーシャ、羽純と共に迎え撃つ晴臣。学校生活で女子力アップに励まされるアーシャ。今回ようやく竜弑しの緋文字の意味やそれに関する設定が説明され、主人公の戦闘スタイルもある程度見えてきて、2冊でプロローグという感じ。望むと望まざるとに関わらず逃げられぬ竜王への道。王の道に必要なものは女達とその力をモノにすることか、それとも女関係にかまけている暇はないのか。
読了日:8月16日 著者:丈月城
あじさいの季節に僕らは感応する (ファミ通文庫)あじさいの季節に僕らは感応する (ファミ通文庫)感想
水上瞬は7年前から、時折「まゆこ」という少女と感覚・感情を共有するというテレパシーを経験していた。修学旅行で本物の「まゆこ」の姿を目にした彼は接触を図るが…瞬の近付き方がストーカー的になるところも含めて、しっかりして味わいある青春小説だったかな。しかし、自分の恥も含めて、一心同体であるかの如くに全てを知る理解者ぎたら……という問題設定は分かるのだが、その関係は「恋愛」なのだろうか、と考えてしまう。話運びから言えば繭子が恋愛相手という意味でもヒロインで、原田さんはいいアシスト役なのだろうけれど。
読了日:8月17日 著者:志茂文彦
盟約のリヴァイアサン 2 (MFコミックス アライブシリーズ)盟約のリヴァイアサン 2 (MFコミックス アライブシリーズ)感想
原作1巻の2/3くらい、ラーク・アル・ソスの「館」襲来辺りまで。忠実かつまずまずのクオリティで、原作の設定と展開を復習するにもちょうどいい。ドラゴンの手足を使った人間的な動きはカリカチュアめいて見えやすいところだが、まあ原作設定がそうであるし、作画表現としては及第点か。キャラクターのイメージはよく出ている。アーシャのパンチラが多いのは彼女のキャラに応じてかとも思ったが、織姫にもあるしあまり関係ないか。
読了日:8月17日 著者:舘津テト
ドカコックドカコック感想
全国の工事現場(中には鉄道や漁の現場も)を渡り歩き、力飯を振る舞って問題を解決していく流しのドカ、京橋建策。一人劇画調の主人公が派手なアクションで料理の腕を奮い、料理の過程が工事の工程や道具の使い方に喩えられ、その音を聞き姿を見た時点で皆が感動、料理名やフレーズに必ず「ドカ」を付けるというシュールなセンスと、各地の郷土料理を活かした創作力飯の美味そうな表現が、何とも独特な味を出している。ただ、収録が発表順になっていないのは謎。発表順に読んだ方が馴染みやすいような。
読了日:8月18日 著者:渡辺保裕
女子力向上カツドウキロク 1 (バンブーコミックス)女子力向上カツドウキロク 1 (バンブーコミックス)感想
根暗のナオコ、性悪秀才のチエ、ギャルのソラという3人の女子が、女子力向上を目指してパンツを見せ合ったり、化粧を公開したりと(空回りした)活動に励む…。一ジャンルとなった感のある喪女・ぼっち系少女だが、ネタもコメディも普通ながらそれなりの出来かな。線が細く控えめな絵柄で描かれているのがまた可愛い。
読了日:8月21日 著者:大塚志郎
勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(上)勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(上)感想
魔王を討伐した「勇者」の少女。そのあまりの強さに仲間からも化け物と恐れられ、自分の名前も無くした彼女は、魔物を殺すことだけを目標に迷宮に潜る。気がつけば周りには新たな仲間も集まるが…。相変わらず、戦えば無双だけれど血と破滅の匂いが付きまとう荒んだ少女の造形が素晴らしい。世界を救う程の力を持つ「勇者」という存在のダークサイドを追究した作品としても読み応えがあるが、それでいて適度にコミカルなやりとりもありすんなり読めた。『死神を食べた少女』ともリンクがあるのか。ダンジョンは、物語が終わった後によく似合う。
読了日:8月21日 著者:七沢またり
乱視の国のアリス(1) (アクションコミックス(コミックハイ! ))乱視の国のアリス(1) (アクションコミックス(コミックハイ! ))感想
美竹ありすは眼鏡を外すとあまりの美少女のため、物語の登場人物の男性まで魅了してしまい、かくしてお伽噺のヒロイン達が彼女の命を狙ってやってくる…。天然なありすは可愛いし癖のついお伽噺のヒロイン達とのやり取りもまずまず楽しいが、眼鏡が容姿のマイナス要因としか捉えられていないのは残念。絵的にもそんなに劇的に変わるように見えないし。しかし、最後でありすの正体が示唆され、この先の展開はなかなか楽しみなことに。
読了日:8月21日 著者:ししくらあさこ
勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(下)勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(下)感想
勇者の過去が明らかになる。仲間に裏切られても、自分は勇者だというアイデンティティのため戦い続ける勇者。救われず外道に堕ちる人間、魔物との人格的な交流といった、善悪について揺さぶられるエピソードもありつつ、それでも戦いに向かう姿勢は変わらない。しかし勇者の身の限界が示唆される中で、大きな危機を前にして彼女と今の仲間達は…。凄絶な戦いに、ほろ苦さもありつつ爽やかで美しいエピローグ。最後には『死神を食べた少女』への直接の繋がりもあり。良い作品だった。
読了日:8月22日 著者:七沢またり
エクゾスカル零 7 (チャンピオンREDコミックス)エクゾスカル零 7 (チャンピオンREDコミックス)感想
雷電・黒須京馬も登場。全ての人間が心を失い人を食らう到達者となる宿命の世界で、安楽死という「救い」を齎すためにヒーローは求められた。しかし覚悟は、全人類を安楽死させその「火」を永遠に保つことを拒否して、今まで通りに今を生き抜くことを支持する…交わらぬ道。ヒーローの不可能性の極限。覚悟vs憐は決着し、地獄編完結。新たなエクゾスカル戦士・御菩薩木紡を主人公に、少し絵柄も昔風になって、牙なき者達の数多く登場する「煉獄編」が始まるが、ここでもディストピアの本質は変わらず……。
読了日:8月23日 著者:山口貴由
白い街の夜たち 1 (ビームコミックス)白い街の夜たち 1 (ビームコミックス)感想
服飾専門学校生の文子は、新宿のトルコ料理店に強引に連れ込まれてアルバイトをすることになる。それはやる気をなくしていた学校生活にも影響を与え…。トルコのアクセサリーや料理、ベリーダンスの描写と豆知識が楽しく、いい加減な店主ホジャさんやそれを叱るダンサーのざくろ、それに店の猫といったメンバーが織りなす日常もいい雰囲気。トルコへの導きに一つ。
読了日:8月23日 著者:市川ラク
魔女の心臓(5) (ガンガンコミックスONLINE)魔女の心臓(5) (ガンガンコミックスONLINE)感想
滅亡寸前の国で城に残る姫と一人の騎士、教会の命で暗殺を行うシスター、山賊の頭を務める娘、猫耳の人達の街…。いい話、あるいは残酷でありながらどこか美しい人間模様。他方でいかにもファンタジーな世界の話も。支え合いも憎しみも含めて、人は他者と共に生きている。それは人と異なる時間を生き旅を続けるミカも。ただ、ミカの目的についてはあまり動きなし。新メンバーのリツカはあまり活躍しなかったが(喋れない分掛け合いにもならないからか)、猫に狙われるところとかいい味出してる。
読了日:8月24日 著者:matoba
イマドキの動物ジャコウネコ: 真夜中の調査記 (フィールドの生物学)イマドキの動物ジャコウネコ: 真夜中の調査記 (フィールドの生物学)感想
ジャコウネコ科の動物パームシベット。食肉目だが果実を主に食べ、人の手の入った森え活動し、開けた場所に糞をする彼らは、熱帯雨林の種子散布と植物の多様性の維持において、いかなる役割を果たしているのか。ドリアンの種子散布から研究を始めた著者がやがてボルネオ島のパームシベットに研究領域を移し、最後はアフリカに研究の部隊を移す。そこには、「手つかずの自然」ではなく、人の手の入った森での生態系のあり方という大きな問題がある。シベットコーヒー(コピ・ルアク)についても説明あり。
読了日:8月24日 著者:中島啓裕
ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (4) (電撃文庫)ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (4) (電撃文庫)感想
敵幹部との対決、それぞれの道。根本的にすれ違う道を行く相手に、その声は届くのか。そして生命進化の起源たるシメーラの実態。前巻での布石をきっちり回収しているので、今更コメントが不要なくらいの完成度。パリを消滅させるほどの大計画の背景にあるブリュム・ド・シャルールと首相ティエールの大儀。だが、これが務めだ、必要な犠牲だという口実の下、人は正しさを求めていたはずがいつしか正しさを見失う。そこで人が立ち返るべきものは…。登場人物それぞれの声のぶつかり合いもバトルも非常に熱く良かった。第2部アメリカ編もあるかな?
読了日:8月25日 著者:物草純平
引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている3 (一迅社文庫)引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている3 (一迅社文庫)感想
夏のイベントは学園ふわ不思議探索、そして海。皆と関わるようになり変わっていく紫羽だが、そんな中で春哉と彼女の関係にも微妙な変化が…。喧嘩というほどでもない、だからこそ難しい距離感を描く手腕は想像以上に見事。他方でオカルト研究会の双見妖子に前巻で登場した真紅の魔女と「依頼人」が立て続けで詰め込みすぎの感、本筋と繋がりを欠く面も。怪談の真相解明後本物の…とか、いつもと違い紫羽が解決の主役になる等は良かったが…。牛タンくん編は戯画的なキャラばかりのギャグ話で落差が強烈。でも面白かった。終わりなのが残念。
読了日:8月26日 著者:棺悠介
乱視の国のアリス(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))乱視の国のアリス(2) (アクションコミックス(コミックハイ!))感想
美竹ありすの正体についてはもう一~二転し、新たな物語の世界のお姫様もレギュラーに加えつつ、全ての真相が明かされ完結。物語とは何なのか……といった問題には必ずしも踏み込まず、ヒロイン達のコメディタッチな掛け合いや生き方を主として描いた話。まあこういのもいいか。
読了日:8月30日 著者:ししくらあさこ
裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)感想
著者の専門はアリヅカコオロギと筆頭とする好蟻性昆虫で、その研究のために東南アジアや南米に行った話も出てくるが、本書はそれに限らず、自伝的に著者の行ってきた幅広い生物の研究・観察を綴っている(主な舞台は長野県の裏山)。カエルや哺乳類(ヒミズとネズミ)、鳥等の話も。どこにどんな生物がいた、というだけの些細な報告から、すでに知られていることの追体験まで、全ては知識欲のため。そして足下の虫達の世界にはまだまだ発見されうることが眠っている。
読了日:8月31日 著者:小松貴

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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