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アリ/蟻/Ants

私は専門外の本も気になったらどんどん手に入れてしまうので、色々なものを持ってはいますが、ふと振り返ってみると驚くこともあります。たとえば……

アリ本

なぜこんなにアリ本を持っているのでしょう。

『The Ants』の著者によれば、アリは種数・個体数・バイオマスともに多い生物でありながら、生物学でも人気のある対象ではないとのことですが、大学生協で生物学書のコーナーを見ても、アリ関係の本は結構あります。
そこで、どんな本があるのか、私も持ってはいないものも含め、目に付いた限りでちょっと見てみることにしました。
アリの研究に興味のある方はご覧あれ。


働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)
(2010/12/31)
長谷川 英祐

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巣の中にいるアリたちを観察しても、瞬間的に見ると7割くらいのアリは「働いている」と見なせる行動をしていません。
たまたまその時は休憩していたのかも知れませんが、1匹ずつマーキングして追跡調査しても、1~2割のアリは一生働かない、と言います。なぜかと言えば、働かないアリはいざという時のためのリザーブ要員であり、これによって「司令塔」のいないアリの巣全体が効率的に仕事をこなせるようになる……というのがタイトルの話です。
しかし、本書はそれだけではなく、アリを初めとする真社会性昆虫に関する様々な研究成果を紹介していきます。
真社会性生物にあっては、自分の子孫を残すのに寄与しない性質がいかにして進化したのか、というのが進化生物学上の大きな問題の一つですが、その説明として血縁選択群選択という理論が提示されています。もっとも、著者は現場の研究者らしく、「美しすぎる理論のワナ」に警鐘を鳴らしてもいますが……。
さらには、「意味がある」働かないアリと異なり、決して働かずに自分の子孫ばかりを残しコロニーを滅ぼす「チーター」のいるアリ新女王は初代女王のクローンであるシロアリ、果てはオスとメスの系統が決して交雑しないアリ等、自分の遺伝子を残すことを巡る数々の世にも奇妙な事例が紹介されます。


アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に (フィールドの生物学)アリの巣をめぐる冒険―未踏の調査地は足下に (フィールドの生物学)
(2012/09)
丸山 宗利

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アリの巣の中には、当のアリ以外にも様々な生物が住み着いています。そうした生物は「好蟻性」生物と呼ばれますが、アリの集めてきた餌を食べるもの、アリの幼虫を食べるもの、アリの仲間になりすましてアリから口移しで餌を貰うものまで、その内容は様々です。
本書はそんな好蟻性昆虫の研究者による研究紹介です。


裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)裏山の奇人: 野にたゆたう博物学 (フィールドの生物学)
(2014/08/06)
小松 貴

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こちらの著者も好蟻性昆虫の研究者ですが、当然扱っている種類やそのアプローチは異なります。
さらには、好蟻性昆虫に限らず、論文にはならない程度の観察まで含め、著者が長野県の「裏山」で出会い観察してきた様々な生物の話も多く書かれています。


アリの巣の生きもの図鑑アリの巣の生きもの図鑑
(2013/03)
丸山 宗利、工藤 誠也 他

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上の「フィールドの生物学」シリーズ2書の著者も編纂に関わった希書がこちら。
日本の好蟻性生物に特化した図鑑です。アリの巣の中にいて普段は目にすることの難しい生物たちを、しかもフルカラー写真で紹介。


日本産アリ類図鑑日本産アリ類図鑑
(2014/07/24)
寺山 守、江口 克之 他

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そういう奇書を目にした後だと、こちらは物足りなく感じます。
網羅的な図鑑には違いないのでしょうが、カラー図版は50ページ弱で、大半のページはモノクロ図版すらなく、1ページ3~4種のペースで各種アリの分布、大きさ、外見的特徴、生態などが簡素に綴られているだけです。
図版がないと、野外見たアリを同定するのには使えなさそうですね。


アルゼンチンアリ: 史上最強の侵略的外来種アルゼンチンアリ: 史上最強の侵略的外来種
(2014/03/20)
田付 貞洋

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こちらはアルゼンチンアリのみに絞った本格的な研究書。


アリの背中に乗った甲虫を探して―未知の生物に憑かれた科学者たちアリの背中に乗った甲虫を探して―未知の生物に憑かれた科学者たち
(2009/12)
ロブ ダン

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ダウト。これはアリに関する本ではありません。
分類学の父リンネに始まる、分類学者たちの苦闘を描いた科学ドキュメントです。

リンネは弟子たち(「使徒たち」と形容されます)を各地に派遣し、世界中の生物を命名・分類しようとしました。その野望は今も分類学者たちに受け継がれていますが、しかしその達成は近付くどころか、予想よりも遙かに生物種は多いという目算もあり、そしてその多くが知られぬまま絶滅しようとしている……という話です。
「アリの背中に乗った甲虫」は要するに好蟻性昆虫、それもその存在を確認して命名分類することすら困難な希少種で、この道の困難さを象徴する存在として邦題に選ばれたのかと思いますが、実質的にはほとんど登場しません。


The AntsThe Ants
(1990/03/28)
Bert Hoelldobler、Edward O. Wilson 他

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英語ですが、アリ学のバイブルと言われるのが本書。アリの研究を志すなら必携の書です。
アリとは何か、いかなる特徴によって規定されるのか、最古のアリはいつ頃出現したのか、どれくらいの種類がいてどう分類されるのか、どんなユニークな生態を持ったものがいるのかetc...
700ページを超える大著で、数十ページに渡って分類表が載っており、各グループごとの特徴も丁寧に図解されているのだから圧倒されます。

The Ants

最後にこの『The Ants』の目次を訳出しようかと思ったのですが、専門用語が多いので各章タイトルだけにしておきます。

1. アリの重要性

2. 分類と起源

3. コロニーのライフサイクル

4. 利他主義とワーカーカーストの起源
 
5. コロニーの匂いと血縁認知

6. 女王の数と支配

7. コミュニケーション

8. カーストと分業

9. 社会的ホメオスタシスと柔軟性

10. 食料収集戦略、なわばり、個体数調整

11. 種共同体の組織化

12. アリの種間での共生

13. 他の節足動物との共生

14. アリと植物の共生

15. 特殊化した捕食者

16. 軍隊アリ

17. キノコを育てるもの

18. 収穫アリ

19. ツムギアリ

20. 収集、飼育、観察


こうして見ても、アリにおいていかに集団生活や共生の比重が大きいかよく分かります。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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