オタクと形而上学(旧:山中芸大日記)
愛知県立芸術大学出身のある学生によるブログ。
新番組
いえ、自分の勉強に関わる本を読むとか、そういうことはしているんですが、と同時に来週の試験勉強もしなければならないと思いつつ、どうもそういうことは先送りに…
さて、7日日曜日には新番組『ハートキャッチプリキュア!』が始まりました。
第1話タイトルは「私、変わります! 変わってみせます!!」――転校を機に自分を変えたいと思っている引っ込み思案な主人公・花咲つぼみの声です。ストーリーはと言うと、つぼみが新しい学校の同級生・来海えりかに引っ掻き回されるという内容、後半でようやく敵と出会い、主人公が変身したところで続く。
が、少々意外だったのは予告編でした。「えりかさんが主役であってもなくても、私、精一杯の力でお助けします!」「精一杯の力が弱すぎる!!」という掛け合いがあった後、次回タイトル「私、もしかして史上最弱のプリキュアですか?」。
次回予告が楽屋での掛け合いになっているアニメは結構ありましたが、ストーリー上、特につながりのない過去の「プリキュア」シリーズを踏まえたメタなギャグになっているところがなんとも…まあ斬新という程ではないと思いますが。
さて、この辺で時々考えることを書きます。変身ヒーローに「なる」のは誰なのでしょう。
子供の頃、変身ヒーローに憧れた方はどの位いるでしょうか。私は必ずしも変身ヒーローに「なりたい」とは思わなかった気がしますが。
それはともかく、「ヒーローに憧れる」という時、想像しているのは「この自分」がヒーローになってしまい、友達に正体を隠したり、初めての戦いにビビったりしている状況なのだと思います。しかし、果たしてそれは同じ「この私」でしょうか。
有名な例を挙げると、『ウルトラマン』の第1話で死んだハヤタはウルトラマンの命を与えられ、ウルトラマンに変身できるようになります。しかし最終話、別の命を与えられてウルトラマンと分離したハヤタは、第1話でウルトラマンと接触してから今までの記憶がない様子なのです。とすれば、これまでずっとハヤタとして生活し、変身したりしていたのもウルトラマンの人格であって、ハヤタの立場になっても「ウルトラマンに変身する」経験はできないことになります(ここでは細部の矛盾には立ち入りません。それと、この辺の設定は「ウルトラ」シリーズの他の作品では全く違うことも多いです)。
仮に記憶が連続していたとしても、変身して以前になかった強い力を得るのであれば、その時には多かれ少なかれ人格も変わっている必要があるでしょう。仮に肉体的な、あるいは超能力なり何なりの力を得たとしても、元の「弱い私」にそれを扱う回路はないはずです。これは「普段は気弱な性格」であったりして、変身と共に性格も変わる設定のヒーローを見ればより分かりやすいでしょう。
まあ、職場と家とで、あるいはオフィス内と客に接する時とで態度が大きく違うと言った例を見れば分かるように、これは誰でもやっていることだとも言えます。しかし、命を賭けた戦いに臨むとあれば、経験しなければならない変革も相当に大きいのではないか、という想像もできます。
ここまで言えば自ずと明らかですが、今回の『ハートキャッチプリキュア!』の場合、つぼみが「変わりたい」と言うのと「プリキュアになること」が重ね合わされているようです。しかも、物語途中で「変わりたい」という言葉をえりかに聞かれてファッションを変えられ、「私が変えたいのは見た目じゃなくて中身なの!」という場面があるという念の入りよう。当然、外側がプリキュアになっても駄目でしょう。
ただし、さらにもう1点。
私の見る限り、つぼみは本人が言うほど「変えるべき性格」には見えません。こうした自己評価と他者評価のズレは常にあるものなのですが、加えて、あまりにマイペースで強引なえりかに振り回される中できっちりと断ったり、敵に「許せません!!」と言い放ったりと、結構ちゃんと主張するところも見せているんですね(やはり人間は「変わる」というより外圧によって「変えられる」ものなのでしょうか)。中身を変えるというならこれ以上何を望みましょうか。
内面の強さを示し、外側はプリキュアに変身しても、なお戦う力はあまりにも足りない…この中々に複雑な状況をどうするつもりなのか、読み切れない部分もあります。(本来プリキュアが2人揃ってからが本番なのかも知れませんが、もう1人になるはずのえりかが現在捕まっている訳ですし)
※ こういうくだらないことを書いていられるのも相当に暇な証ですね。
(芸術学2年T.Y.)
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コメント
はじめまして♪
Re: はじめまして♪
私の考察とアニメ実物の印象は、かなり違うかも知れませんが…
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いつもブログ読ませて頂いています、今日は思わず感動したので書き込みしてみました(^^)
変わらなくちゃ、という気持ちと
変身願望について、興味深い考察だなと感じました^^
アニメって、人生の過疎期には、こころに響いてくるちからをもっていると思います。
私自身も子どもの頃のテレビアニメもむーみんで、よくこんがらがった悩みがふっとかいけつされたり、ということがありました。・・・・
プリキュア、このアニメ、次回ちょっと見てみようかな?
ヒントをいただけてありがとうございました^^