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買われてファンタジーの世界へ――『魔法使いの嫁』

今回取り上げる漫画はこちら。2巻まで刊行中の作品です。
ちょっと前には書店に平積みにされてたりと、話題になっている模様。

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本作は魔法ファンタジーですが、舞台は現代で、魔法をコンピュータプログラムに喩えて説明する箇所すらあります。
主人公は日本人の少女、羽鳥智世(はとり ちせ)です。
両親を亡くし、しかもこの世ならざるモノが見える能力を持っていたことで気味悪がられて身寄りのなかった彼女は、自ら望んでオークションで人身売買にかけられます。

魔法使いの嫁1巻1
 (ヤマザキコレ『魔法使いの嫁 1』、マッグガーデン、2014、p.3)

彼女を買い取ったのは、動物の骨のような頭を持つ異形の魔法使いエリアス・エインズワース
優しいけれど、人間的な気遣いがあるとは言い難いエリアス。

魔法使いの嫁1巻2
 (同書、p.9)

チセはいきなり裸にされて風呂に入れられたりもします。

魔法使いの嫁1巻3
 (同書、p.20)

ですがとにかく、イングランドの片田舎の屋敷で、たくさんの妖精にも囲まれて、一緒に暮らすことになります。
エリアスはチセを弟子に取るだけでなく、将来はいずれ嫁として娶るつもりだというのですが……

魔法使いの嫁1巻4
 (同書、p.68)

名前・台詞があってそこそこ活躍する妖精もいますが、このウーパールーパー風の妖精のように何食わぬ顔でさらっと出てくるのが可愛かったりします。

さて、チセはエリアスの魔法使いの仕事についてあちこちを旅し、様々なファンタジー的存在に出会います。
アイスランドに住むドラゴンとか、

魔法使いの嫁1巻5
 (同書、p.105)

喋る猫たちとか。

魔法使いの嫁1巻6
 (同書、p.132)

猫の街の名がウルタール(出典はラヴクラフト)というのが少々気になるところですが……

魔法使いの嫁1巻7
 (同書、p.134)

こうしたファンタジー的存在たちの描写は美しく、それらが自然の中に昔から息づいていることを感じさせる田舎や原野の風景描写と合わせて、大変魅力的です。

ただ、本作の売りは「人外×少女」――つまり「美女と野獣」的カップルにあるとのことですが、チセとエリアスの関係の印象は埋もれている感もあります。
1巻の終盤からはエリアスと少なからず因縁のあるらしい敵も登場、バトルの要素も入ってきますし。

魔法使いの嫁1巻8
 (同書、p.174)

ただそんな中でも、チセははっきりと「エリアスが私の手を離すまでは、私はあのヒトのものです」と決然とした態度を取って見せます。
2巻では、いわば妖精のあぶれ者というエリアスの正体も判明、彼が人間の感情に疎いことも語られて、優しいけれど気遣いに欠けた奇妙な態度の理由も説明されますし。
そしてチセは、相手の真意がどうであれ、自分の「帰る場所」を設けてくれたことを大切にして、ついて行こうとしている。そんな彼女にエリアスの方が惹かれていく描写も、確かに見られます。

「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)と呼ばれる、魔法に関わる世界では極めて貴重なチセの能力と、それに伴うチセの将来明るくはない宿命、そしてその能力を巡る様々な思惑も描かれますが、それも二人の関係に結び付いてくることです。

また2巻では、魔法使いの弟子として学び、少しずつ成長を見せるチセの姿も描かれます。
さらには、妖精王オベロンティターニアまで登場したり。

魔法使いの嫁2巻
 (『魔法使いの嫁 2』、マッグガーデン、2014、p.114)

ついでにマンドレイクが可愛いこと。

総じて、事件やバトルでストーリーを進めて、恋愛要素はその中で、というところはいかにも少年漫画的だな、と感じました。
ただ、当初は不幸に沈んでいたこともあってダウナー系で、その分冷静で、けれども優しく、出会うファンタジー的存在への感情移入の強いチセの姿が魅力的で、彼女がこの世界への案内を務めてくれている分には安心して読める作品です。


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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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