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ヒーローたちはどこへ向かう――『ワンパンマン 7』

今回はこちらの漫画を取り上げさせていただきます。
『ワンパンマン』、7ヶ月ぶりの新巻です。

ワンパンマン 7 (ジャンプコミックス)ワンパンマン 7 (ジャンプコミックス)
(2014/12/04)
村田 雄介

商品詳細を見る

 (今巻の記事

購入特典として虹色に光るラミネート加工のポストカードが付きました。一般書店でも付いてくるようです。

ワンパンマン7巻 ポストカード

前巻ではヒーロー協会本部にS級ヒーローたちが召集され、現在登録はB級ヒーローであるサイタマも同行していたところに、巨大宇宙戦艦が襲来して戦いになりました。
戦艦の砲撃や地上に降りてきた宇宙人の幹部と戦うS級ヒーローたち。
そして、戦艦に乗り込み宇宙人のボス・ボロスと対決するサイタマ。

そして今回7巻の前半は、丸ごとボロス軍との戦い――とりわけサイタマvsボロスに費やされます。
何しろボロスは、初めてサイタマのワンパンチで倒れなかった敵でした。

ボロス
 (ONE/村田雄介『ワンパンマン 6』、集英社、2014、p. 170)

これだけで過去のどんな敵よりも強いのは分かりますが、今回は戦闘の内容もかつてないぶっ飛んだスケールになり、彼らの具体的な強さがよく伝わります。
サイタマが強いのは分かっていましたが、まさか生身であそこまでやってくれるとは……
描写技法も(さすがに雑誌連載では困難と思われる)破格の見開き連発などで、圧倒の迫力です。

vsボロス1
 (ONE/村田雄介『ワンパンマン 7』、集英社、2014、pp. 28-29)

vsボロス2
 (同書、p. 58)

とは言え、結果は言うまでもありません。
元々、どんな敵でもあっさりワンパンチで倒してしまい、歯ごたえがないことで情熱を無くしているヒーローとして描かれていたサイタマ。
今回、かつてない強敵とそれなりの激戦を繰り広げたことで、少しは満足したでしょうか。
そういうわけではなさそうで、彼はあくまで淡々としています。

これだけやっても、まだ彼の本気には程遠かったから? もちろん、それもあるかも知れません。
しかしそれ以上に、ここに見えるのは彼のヒーローとしてのストイックな姿勢ではないでしょうか。

今回、ボロスとヒーローたちの間には明確な対比があります。
大予言者シババワが告げた危機の予言により、地球を守るために召集されたヒーローたちに対し、宇宙の覇者としてもはや敵もおらず退屈していたボロスは、自分と対等に戦える者が地球にいるとの占いによって地球侵略にやって来たのでした。
そして、ボロスもサイタマと同じく強すぎて退屈していたものです。
しかし、サイタマはそんなボロスを「馬鹿かお前。退屈な人生に刺激が欲しくて他の星を襲うなんてOLでも考えねえぞ」(6巻p. 169)と切り捨てます。
さらに、サイタマはヒーローとしての名声を追い求めもしません。
今回も巻末の番外編「カツ丼」では、世の中のために身を粉にして働いているという自覚を持ち、「チヤホヤされたくて動いてる」ヒーローを信用しない警察に対し、決して自己アピールすることなく自ら進んで人を助けるヒーローとしての姿をサイタマが見せます。

だから、サイタマはボロスのように強敵と戦えることを喜ばず、「当たり前のことをしただけ」という顔を貫きます。それが彼のヒーローとしての矜恃なのでしょう。
あまりにもストイックすぎて、彼自身の救いはどこにあるのかと思ってしまうくらいです。

しかし、少なからぬヒーローたちはサイタマと違い、プライドが高く厄介な人たちであるというのが実態なようで。
いかにも武道の達人らしい人格者でサイタマのことも正当に評価しているバング(シルバーファング)や、今回漢気ある戦いぶりを見せたプリズナ-、アトミック侍、金属バット等は立派な方です。
外見は美少女だが実年齢は大人と思しきタツマキは街を破壊する砲撃を念動力で跳ね返すという、S級ヒーローの中でも圧倒的な力を見せましたが、サイタマに突っかかるなど性格的には困った面も見せました。それでも、彼女はバングに諫められて引き下がるだけマシな方です。

タツマキ
 (同書、p. 141)

5巻ですでに顔見せしていたA級1位ヒーロー、イケメン仮面アマイマスクは、案の定嫌な奴でした。

アマイマスク1
 (同書、p. 125)

ヒーローは迅速に悪を排除せねばならないと主張し、結果から他のヒーローたちをこき下ろす彼ですが、どうやらS級に匹敵する実力者らしく、さらに彼の苛烈な態度にも色々と背景はあるようですが……

アマイマスク2
 (同書、p. 129)

アマイマスク3
 (同書、p. 137)

そして、戦いが終わってからやって来ておいて、最後に壊滅した街の戦後処理で活躍をさらっていったのはロボットのS級ヒーロー、メタルナイトです。
S級ヒーローの一人・駆動騎士がジェノスに「メタルナイトはお前の“敵”だ」(同書、p. 14)と忠告するなど、色々と因縁を匂わせていますが……
そう言えば、ジェノスは仇を追っていたんでしたっけ。あまりにも触れられないので忘れそうでした。

今巻の後半はこの戦いの後日譚とその他あまり関係のない日常寄りエピソードに割かれており、新章は次巻からとなりそうです。
ここ2巻、ボロス軍との戦いそのものはオーソドックスなヒーロー対侵略者の戦いを描いていましたが、上位のヒーローたちが顔見せしたことで、ヒーローたちの間での様々なドラマに繋がりそうな今後への布石を数多く打つことになりました。
問題児も多い個性的なヒーローたちのぶつかり合いはどこへ向かうのでしょうか。

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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
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