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ユニコーン騎士部隊の教官――『かくて聖獣は乙女と謳う』

ブロガーの本棚」がサービスを終了しました。
突如……なのか、私が何かのお知らせを見逃していただけか……
このブログの書評記事を載せてくれていたサイトということもあり、芸能人やスポーツ選手の引退よりもずっと衝撃を受けています。

 ~~~

今回取り上げるライトノベルはこちらです。

かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 (オーバーラップ文庫)かくて聖獣<ユニコーン>は乙女と謳う 1 (オーバーラップ文庫)
(2014/11/21)
陸理明

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オーバーラップ文庫が Web 小説サイト「小説家になろう」と連携して開催する「第1回WEB小説大賞」の銀賞受賞作品が本作です。
新人賞もこういう形で開催する時代になりましたか……Web 小説作品を直接スカウトするという形を取らないことで何が起こるのかはまだ分かりませんが。

本作は異世界ファンタジーで、舞台となる世界は「雷霧」という現象による侵食に曝されています。
「雷霧」は黒い霧の塊で、放っておけば消えることはなく広がり続けます。
そして、「雷霧」の中はほとんど視界が利かず、雷が降り注ぎ、おまけに手長・脚長という巨人が棲息しているのです。
しかし、そんな「雷霧」に対抗できる手段としてバイロン王国が生み出したのが、ユニコーンの背に乗った乙女たちの騎士団――「西方鎮守聖士女騎士団」でした。
聖獣ユニコーンの力ならば、「雷霧」の中の厳しい環境にも対抗し、そして滅ぼすことが可能なのです。
ただし、ユニコーンは伝承にある通り、処女しかその背に乗せません。だからこの騎士団員は乙女だけです。
しかも、過去の騎士団員たちは、ユニコーンの力を十分に引き出せなかったこともあり、ほとんどが死亡しており、聖士女騎士団は「自殺部隊」と陰口を叩かれる状況。

そんな世界にあって、主人公セスシス・ハーレイシーは、ユニコーンと心を通わせることができる青年です。
10年前には「ユニコーンの少年騎士」として数々の伝説を作った彼ですが、今はユニコーンの住む人里離れた「幻獣境」で隠遁生活を送っている――というより、許可無くそこから出ることを許されていない状況です。
しかしこの度、聖士女騎士団の「教導騎士」としてお呼びがかかります。

本来は女性にしか使えない技能が使えるため、女の子ばかりの部隊や養成施設にただ一人入る主人公……というのは『インフィニット・ストラトス』を初めとしてすっかり見慣れたものになった設定ですが、本作のセスシスはあくまで指導者という立場です(もちろん、主人公が女の子たちを指導する教官役、というのも今や珍しい設定ではありませんが、当然ながら同輩でなく教師と教え子というのは、主人公とヒロインたちの関係に大きく影響してきます)。
実のところ、彼もユニコーンと会話ができるため、必要とあればユニコーンの背に乗ってその力を引き出すことも可能なのですが、ただ彼自身には武芸のような戦いのための能力はありません。だから、戦うのはあくまで乙女の騎士たちです。

さらに、セスシスはこの世界の人間と人種が違うらしいとか、バイロン王国の公用語の読み書きには不慣れで辞書が存在しないことをぼやいているとか、そもそもこの世界の物理報告と魔導法則の縛りを極端に受けづらいとか、彼が異世界からやって来た人間であることが随所に示唆されていますが、しかしこの点については深入りされることなく、実にさらっと扱われています。そこが大きな特徴といってもいいくらいですね。
10年前、この世界に突如として現れて「ユニコーンの少年騎士」として活躍した時の物語は、まさしく異世界召喚された勇者の物語という様相だったことが推察されます。本作は「その後」の物語です。
異世界召喚物というのも設定の基本は確立した分野なので、色々と捻りを加えたものもあります。異世界に召喚されて活躍した後、現代世界に帰ってきてしばらく経つ主人公のその後を描いた話も複数覚えがあります。
しかし、異世界に定住した主人公が後進を育成する話というのは、管見に入った限りでは意外に見ないタイプのような気がします。

ちなみに、本作のユニコーンたちは一頭残らず、女の胸だの尻だの太股だのと言ってばかりの助平男そのものですが(ちなみに本作におけるユニコーンは全て雄という設定)、「処女しかその背に乗せない」ユニコーンと会話できるようになればこんなものなのかも知れません(普通の人たちはユニコーンの言葉は分からないので、実態を知る由もありませんが)。

ヒロインたちは元気で健気で可愛い子たちです。
ユニコーンに乗るためには乙女であり続けねばならないので、決して深い関係になることは許されないのですが、だからといって悲壮になることなく、主人公に対して積極的にアピールしたり、恋の駆け引きに出たりする姿がまた可愛い。
きっと、大切な人のために生きて帰ろうという想いが、彼女たちを生かすことでしょう。

ただ、この1巻の内だと、主人公の教え子となる第十三期の騎士団員も名前とキャラをきちんと印象付けたのはまだ一部です。
カラー口絵で姿と名前が紹介されているのにあまりスポットが当たらなかったメンバーもいる一方で、口絵に登場していないキャラの方にもっと多くの台詞があったり……これは口絵の問題とも言えますが。
とにかく、キャラ紹介というだけでもまだこれからなのでしょう。

物語的にも、まだ第十三期騎士たちの初陣(それですら、予想外に早くやって来てしまったもの)までです。

これから話を発展させるに当たって、ポイントになるのは敵でしょうか。
「手長」「脚長」(※)は身長3~5mの巨人で、人間よりは遙かに強大な力の持ち主ですが、剣や弓矢を武器に戦うだけで、超常の力を持った存在ではありません。
普通の人間が戦う相手なら、脅威だがやりかた次第で何とかなりそうな相手、というくらいの絶妙なところかも知れませんが、この世界の騎士は「気」で身体を強化するなどの技能が使える上、ユニコーンの力を使いこなせれば(直接攻撃能力こそないものの)補助系のスキルとしての強さは絶大です。
「雷霧」内部の過酷な環境にもユニコーンの力で対抗できるとなると、――過去の騎士たちはユニコーンの力を十分に引き出せなかったから死んだ、というのはよく理解できますが――十三期の彼女たちがユニコーンの力を引き出せばこのままの敵だと物足りなくなるのでは、という雰囲気もあり。

※ 世界観と少し毛色が違って日本の妖怪なのも何かの伏線でしょうか? とも思いましたが、魔物や「雷霧」に関わらないところでも度量衡(尺貫法)や「気」などの用語は東洋的なものが混じっていたりするので、少々判断しかねるところです。

ただ、この1巻終盤で早速、今までなら見られなかったような魔物の動きがあり、何者かも不明な敵勢力の動きがあることも示唆されました。
物語の今後も、この敵の正体や動き次第でしょう。


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(2013/04)
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Author:T.Y.
愛知県立芸術大学美術学部芸術学専攻卒業。
2012年4月より京都大学大学院。

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